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★エッセイ『ことなひまめのオッペケペーですっとこどっこいな日常』
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『積善クラゲの極秘写真入手!』300

 楽しそうだ。
 ダメ出し前の彼らは本当に楽しそうだった。
 それが・・・。(ちなみに手前がスズキさんです)

積善クラゲ

 (2010.12.12)   このページのトップへ

 

『誰か入れ歯知りませんか?』299

 ボクの入れ歯が行方不明だ。
 昨日からズーッと探しているのだが見つからない。
 スズキさんからはメールがあり、「帰ってリュックを開けたら、『秋田コープ』のボールペンがあった。すまん、間違って持ってきちゃったみたいだ。25日に返す」と書かれていた。
 スズキさん、ボクの入れ歯も探してみてくれませんか? 
 リュックの底のほうとかにあったりしませんか? 
 念のために口の中も確認してみてください。

 (2010.12.12)   このページのトップへ

 

『チョコ富豪』298

 ワインの空き瓶5本。チョコレートやケーキの山。
 そういうものを見つめながら、ボクは思っています。
 ワインが好きとかチョコレートが好きなことを、このエッセイで発信しておいてよかったと。
 誕生日に集まってくれた3人は、いつもボクのエッセイを読んでくれているらしく、ボクらの好みをよく知っていた。 
「盆と正月が一緒に来たみたいだね」 
 年内には食べきれないほどのスイーツの山を片付けながら、妻はほくそえんでいる。
「でも、ワインは飲み切っちゃったね」 
 ボクがそう言うと、妻はニヤッと笑ってこう言った。
「へへ、1本だけとってある」
 おお! こいつ、密かに温存していたな! 
 これぞ、吝嗇家の本分!
 でも、そのことを妻は心のどこかで懺悔しているようで、
「私、天使にはなれないかもね」と言った。
 う〜ん。微妙だ。

 (2010.12.12)   このページのトップへ

 

『心の涙だよ(本編)297』

 オードブルは、コパンにチーズ&ネギミソを載せたものと、同じくクリームチーズ&プチトマトを載せたものと、同じくツナ&バジルを載せたもの、さらにマカデミアンナッツチョコと青オリーブだった。
 さらに、スモークサーモンのマリネと鶏の唐揚げとポテトフライとサラダ。
 それから何だっけ? そうそう、トマトソースと生バジルソースに海老とニョッキを入れて、前の日からクツクツ煮込んだもの。ええと、あとは、鶏肉、サトイモ、カブ、ブロッコリなどをカレー風味で煮て水菜を散らした「ハリハリカレー鍋」だった。
 そういうものを作った。実際作ったのは妻である。ボクはスズキさんとイトウさんのギターの練習を傍観していたからだ。 
 定刻通り午後一番に集まってきた彼らは、夏以来の再会だというのに、テンションは最高潮、息もピッタリで、ライブ用に個人練習してきた曲を、次々に演奏していった。
「おう!」「ブラボー!」妻もボクもその演奏の素晴らしさに歓声を上げて聞き惚れた。
「イトウさん、なかなかいいんじゃない!」スズキさんはご機嫌だった。 
「スズキさん、ギター完璧じゃん!」
「いや、イトウさんこそ、歌上手いよ。おれ、ギター弾いてて思わず聞き惚れちゃったよ。お前、本当に上手いよ!」
「そおお? それほどでもねえが。そう言うスズキさんこそ石川鷹彦みたいだったぜ。相当練習したんじゃない?」
「オレ、自慢じゃないけど、1限、2限終わってから1回家に戻って練習して、それからまた5限の授業に行ってたんだぜ!」(注)予備校教師の彼は、池袋と取手を往復してまで練習したことを言わんとしている。
「完璧だな!」
「おお、申し分ない!」
 彼らは得意満面でそう言って、うまそうにビールで祝杯をあげた。
 それから3時間後、あるまんど山平が到着、さらに勘兵衛さんがワインやシャンペンや手に余るほどのプレゼントを持って到着。宴会は一気に佳境に入っていった。
「じゃあ、そろそろオレたちの演奏を聞いてもらおうか!」
 スズキさんがご機嫌な顔でそう言った。
「そうだな。プロであるあるまんど山平には全体をプロデュースする立場から、勘兵衛さんには『フォークの日実行委員長』であり、ボーカリストとしても一流の立場から主にボーカル面のチャックをお願いしたい!」
 自信満々でイトウさんが言った。
 しかし、それから1時間後、彼らが立ち直れないほどの失意のどん底に突き落とされるとは、ボクはこの時思いもしていなかった。
「全体として全然息が合っていない気がする。細部にわたって全く統一感がない。ライブのトリは任せられないかもしれない」口調は静かだが、あるまんどの厳しい評価が容赦なく下された。
「スズキさんは声が出ていない。もっと自信を持って大きな声で歌うこと。選曲も個人的にはオリジナルのほうがいい。英語の曲は基本あんまり好きではない」勘兵衛さんからは、選曲面にも鋭い指摘がなされた。
 こうして、悪夢のような「ダメ出し」は1時間以上に及んだ。振り出しに戻っての再練習ということになった。
 しまいには相棒のイトウさんまでもが、リーダーに向かってこんなことを言う始末。
「スズキさんは自分のギターにばっかり意識が行って、こっちに合わせる配慮が足りない気がする。ボクはスズキさんと合わせるとどうも歌いにくいんだよな、正直言って」
 スズキさんはガックリと肩を落としうなだれた。
 ボクは、ボコボコのガタガタのズタズタになったスズキさんが哀れでならなかった。あんなに練習してきたのに。わざわざ取手から雪道を通って来てくれたのに。さっきまであんなに自信満々だったのに。しかもメンバーからもそんなことを言われて・・・。不憫なスズキさん、切ないスズキさん。
 翌日、ごちゃごちゃになった譜面を片付けながら、スズキさんはイトウさんに向かってこう言った。
「25日まで、お互い連絡を密に取り合っていこうな」
 それは、リーダーとしての自覚に満ちた言葉だった。しかし、それを聞いていた妻がさらっと言った。
「なんか高校生みたい」
 あー、スズキさん。そりゃないぜ、真理さん。
 外はどしゃ降りの雨が降っていた。
「また雨だね」スズキさんを見送りながら妻が言った。そういえばスズキさんファミリーが夏に来た時も雨だった。
「心の涙だよ」 
 夏に忘れていった傘を広げながら、ボソッとそうつぶやいたスズキさんは、足早にクルマに乗り込んだ。
 これから10時間もかけて茨城まで帰るスズキさん。雨にかすんだスズキさんの物悲しい小さな背中が、今でもボクの目に焼き付いて離れない。
 それにしても大丈夫だろうか。いろんな意味で。 

 (2010.12.12)   このページのトップへ

 

『心の涙だよ』296

 長めのエッセイになるかもしれない。
 ボクの51歳の誕生日は「Jesus Christ's Born」以上の盛り上がりを見せ、アッという間に幕を下ろした。
 楽しいことは、何事もアッという間だ。「アッという間のひととき」のために、人は「気の遠くなるほどの長い時間」を費やす。
 だけど、「アッという間のひととき」が目標ならば、「気の遠くなるほどの時間」もまた楽しい。 
 そして、すべて終わったあとの寂しさ。祭りのあとの寂しさ、「夏祭りのあとさき」(これ、ボクの曲です)。
 友がすべて帰ってしまった昨日の午後、ボクは鼻水ズビーになって寝込んでしまった。友と朝6時半まで飲んで語り合ったのだが、朝方急に冷え込んできて風邪をひいたようだ。
 今朝、少し良くなって起きてみると、外は雪景色になっていた。寒々しい風景が、寂しい気持ちの輪郭をいっそう際立たせる。
 代表のもとには、早くも大量の仕事が舞い込んでいる。書き入れ時なのだ。代表はエライ。感情のブレがない。風邪もひいてない。心身ともタフだ。代表たるゆえん。脱帽だ。
 それに引き換え、心身ともに虚弱なボクは、鼻穴にティッシュを突っ込みながらモタモタしている。平社員の器。情けない。
 さて、何から書こうか。
 風邪薬のせいか頭がややボーッとしている。
 短いエッセイになってしまいそうだ。
 何だか書くべきことがいろいろてんこ盛りで、処理できない。さばききれない。頭がついていけない。
 このままではタイトルが浮く。
 とりあえず1回、筆を休めることにする。

 (2010.12.12)   このページのトップへ

 

『赤面募金』295

 昨日、忙しい合間を縫って(もっともボクはあんまり忙しくないのだが)妻と買い物に行った時のこと。
 スーパーの入り口で、この時期恒例の「街頭募金」をやっていた。
 女子高校生らしい若い子たちが5人ぐらいで「ご協力をお願いしま〜す」と言っていた。
 そういう時、あなたならどうします? 
 何となく気恥ずかしくありませんか?
 協力するのも恥ずかしいし、協力しないのも恥ずかしい。自分の中の「ええかっこしい」と「薄情者」がせめぎあう瞬間。
 ボクは恥ずかしいまま、結局そこを素通りした。「薄情者」の恥ずかしさが勝った。
 素通りしたものの、何となくボクは「協力しなかった自分」を許せなくなった。買い物をしていても、何だか気がそぞろになった。
「ねえ、帰りに募金しない?」
 ボクはそう言って、妻から100円もらってコートのポケットに入れた。
 買い物が終わり、いよいよ「その場所」が目前に迫ってきた。
 何だか分からないが、ボクはえらく緊張していた。
「ご協力お願いしま〜す!」
 ボクは焦りながらポケットをまさぐった。高校生が全員ビックリしてボクを見つめる。
「ありがとうございま〜す!」
 ボクがモタモタしてるうちから、そういう元気のいい掛け声がかかる。焦った。焦ったことで手がポケットから抜けなくなった。
 目の前の高校生の顔に含み笑いのようなものが浮かび、やがてそれが隣の高校生にも広がる。それはドンドン伝染する。別のおばさんが募金をしていく。ボクは金縛りにあったままそこに取り残される。
「ちょっと、何やってんの?」  
 妻の声に高校生がドッと笑う。なおさら焦って手が抜けない。顔が赤くなっているのが分かる。
 やっとのことで募金を完了したボクは、そこから逃げるようにして表に出た。
 恥ずかしさを振り払うように、ズンズンクルマのほうに突進していったボクを、後ろから妻が呼び止めた。
「ちょっと、ちょっと、カート、カート!」
 カート置き場は高校生の目の前にあった。 


 (2010.12.10)   このページのトップへ

 

『本当に大変なことになってきた!』294

 今、友人「あるまんど山平」から電話があって、彼は週末に8ステージもある多忙な中、明日ここに遊びにくるそうだ。
 ボクたちが「勘兵衛さん」と呼んでいる友人も来るそうだ。
 何だか大変なことになってきた。
 便所掃除、布団乾燥、買い物、料理・・・。 
 本当に大変なことになってきた!!

 (2010.12.09)   このページのトップへ

 

『がんばり屋さん2』293

 今朝も早起きしている。
 明日のボクの誕生日までに仕上げたい!
 その一心で妻は頑張っている。
 ボクも何とか足を引っ張らないように頑張っている。(何を?) 
 そうそう、あの積善クラゲのリーダー、スズキさんから電話があった。彼は、茨城県から冬タイヤを装着して、予定通り明日来訪するらしい。
 彼からのワインも届いている。あの世界で最も高価な「ノマネ・コンティ」と同じ「PINOT NOIR」という、ブルゴーニュ地方原産の葡萄を使ったフランスの高級ワインが2本と白ワインが1本。
 「飲むよりも語られることが多い」と言われる「ノマネ・コンティ」は、最低でも30万は下らない。ものによっては100万もする。スズキさんってお金持ちだなあ。
 さっ、あとは仕事を完結するのみである。(誰が?)
 おっと、いけねえ。こんなことをしている場合ではなかった。
 コーヒーを沸かさねばね。おにぎり握らねばね。 

 (2010.12.09)   このページのトップへ

 

『がんばり屋さん』292

 急ぎの仕事がまた入ってしまった。
 弊社代表は、朝4時に起きて仕事をしている。
 ボクはそれより少し前に起き、木下藤吉郎よろしくストーブをつけ、コーヒーを沸かした。
 今回の仕事は難航しそうだ。代表の顔が曇っている。 
 そろそろ朝ご飯のおにぎりと紅茶を用意する時間だ。
 おっと、灯油切れの警告音が鳴った。
 平社員もそれなりに忙しい。 

 (2010.12.08)   このページのトップへ

『観ない宣言』291

 エッセイというのは、自分の主義主張を正直に述べてもいいことになっている。いや述べなければならないのである。
 誤解や異論、あるいは反撃や逆襲を覚悟で、恐れることなく自分の信念を申し述べることにこそ、エッセイのエッセイたる存在理由があるのである。
 何の遠慮があるものか! ド〜ンとこい! そういう覚悟が必要だ。
 そういうエッセイの定義なるものを勝手に作り、その勝手な定義を基にして、ボクは今から独断と偏見に満ちたおのれの見解を述べる所存である。
 さて、そんな大仰な前振りをして、一体何について述べるのかと言えば、それは『紅白歌合戦』のことなんです。
 ボクたちは『風物詩』というものが好きで、『春の風物詩』といえば『初鰹』でしょ。『夏の風物詩』といえば『甲子園』。『秋の風物詩』といえば、何と言っても『秋刀魚』それから『新米』。(食べ物多いな)
 で、冬ですね、冬。大晦日の風物詩であるところの『紅白歌合戦』は、子どもの頃からいつもかかさず観てきました。あれを観て、『ゆく年くる年』で除夜の鐘を聞き、「ああ、今年も終わったなあ」という気持ちで年越しそばを食べておりました。
 そういう日本人的、庶民的な、つましくもアットホームな雰囲気が好きでした。
 が、しかし! 今年の紅白の出場メンバーを見てボクは思った。
 今年は観ない。絶対に観るものか!
 皆さん、思い出してください。去年、「若い人にポップスの枠を譲りたい」と言って、潔く勇退した布施明のあの言葉。ボクはあの言葉を聞いて男泣きに泣きましたよ。見直しましたよ、布施明。あれは一体何だったんだ! 
 おい! 加山雄三! 布施明は「若い人に譲りたい」と言ったんだぞ! 「若大将」に譲るとは言ってないぞ! 勘違いしてないか! なんでお前が出るんだよ!
 おい! 郷ひろみ! 「ぼくは今年55歳、だからGOGO! 必ず最高視聴率取りま〜す」って。おいおい、もう、何だってんだよ。そういう個人的かつうぬぼれ的なことに公共の電波を使うなよ!
 おい! 和田アキ子! いつまで出てんだよ。いつまで番張ってんだよ! 「はの鐘を鳴らすのは、はな〜た〜」はもう飽きたよ。
 おい! ドリカム! 第二の和田アキ子になろうとしてるのか! 『紅白バージョン』なんて姑息なこと考えるよりも新曲出せよ!
 おい! ポルノ! なんでいつも出てんの? 毎回不思議なんだよな。いや、ホント、何なの? 君たち。分からんなあ。
 そういうわけで、今年は観ません。
 その時間は、妻とたまっている映画を観ることにします。
 ダメ出しをしたついでに、ボクが願ってやまない「夢の紅白メンバー」を書きます。自分が司会者になったつもりで紹介しましょう。
「久しぶりの登場です。野村真樹(現在 野村将希)さんです。歌はデビュー曲『一度だけなら』。歌の通り、本当に一度だけの紅白出場でしたが、見事な返り咲きといえましょう!」
「続きまして新沼謙治さん。歌は『津軽恋女』です。「降り積もる雪、雪、雪、また雪よ〜、津軽には七つの雪が降るとか〜、粉雪、粒雪、綿雪、ざらめ雪、水雪、かた雪、春待つ氷雪〜」私が歌ってどうする」
「さあ、お待たせしました。続いてはわれらがチーターの登場です。この方の明るいパワーで暗〜い日本を明るくしてもらいましょう! 歌はおなじみ『365歩のマーチ』で〜す! そーれっ、ワンツーワンツー! ワンツーワンツー!」
「いよいよ、今年も大晦日紅白歌合戦もあと1曲を残すのみです。歌い納めはちあきなおみさん、歌はもちろん『喝采』で〜す!(パチパチパチ)」ああ、こういういい歌を、本当にうまい人の歌を聞きたいなあ。
 おい! NHK! 小林幸子の舞台にあんだけお金をかけるより、ちあきなおみの捜索費に使えってんだ!
 ちあきさん、もしこのエッセイを読んでくれてたら(な、バカな)ご一報くださいね。ボクはあなたの大ファンですからね。



 (2010.12.08)   このページのトップへ

 

『染み付いた辛抱』290

 コウちゃん、キヨちゃんと呼んでいる、どちらも80過ぎのおじいちゃんとおばあちゃんがいる。
 かつて、ボクらは農作業を手伝ったことがあり、そのお礼に「ちょっと怪しいボラの刺身」をごちそうになったこともある。
 この前ボクらは、普段はあまり行かない全国チェーンの某大型スーパーで彼らにバッタリ会った。
 満面の笑みであいさつを交わした後、その顔のままでコウちゃんが言った。 
「この前のガッコ、酸っぺがったべ?」
 ボクらはその数日前に、大量の大根の漬け物をもらっていた。
 その時、コウちゃんはこう言っていた。 
「食えるどごだけ食って、あど投げでけれ」
 確かにガッコの大部分は酸っぱそうだった。臭いも強烈だった。冷蔵庫の中がその臭いでいっぱいになった。
 何よりボクらはそんなに大量のガッコを食わない。塩分の懸念もある。大感激していただいたものの、コウちゃんが帰ったあと、妻と顔を見合わせしばし思案に暮れた。
「どうする?」手あぐらをかきながら妻が言った。
「う〜ん。まあコウちゃんもああ言ってるし・・・」あごに手を当ててボク。
 そういうわけで、大変申し訳なかったけれども、1本だけいただいてあとは捨てることにした。ごめんなさい。

「ああ、あのガッコ、うまかったっすよ。なあ」
 コウちゃんの質問に、とっさに嘘をついている自分がいた。妻も、
「うん。やっぱりキヨばあちゃんの漬け物はサイコー!」などと、歯の浮くような相づちを打った。
 すっかり気を良くしたキヨちゃんは、満面の笑みで、
「あいい、んだてが。へばまだけるがらな。まだいっぺあるがら」と言った。
 それから彼らは、目の前にあったワゴンの中のしなびた野菜をガサゴソと物色し始めた。
 辛抱が染み付いているなあ。
 いろんな複雑な思いを胸に、ボクらはそのスーパーをあとにした。

 (2010.12.07)   このページのトップへ

 

『積善クラゲ情報』289

 積善の旅に出ていたスズキさんとイトウさんが、長い旅を終え、とうとう合流することになったらしい。
 彼らは、一回りもふた周りも成長して戻ってくるのだ。
 しかも、場所はここ。時は12月10日。なんと! ボクの誕生日ではないか!
 リーダーのスズキさんからのメールには、「君の300回エッセイのお祝いも兼ねてワインを3本送る」と書かれてあった。 
 やはり、彼は「積善の人」「慈愛の人」であった。立派な人であった。
 彼らはその日、12月25日のデビューライブの練習もするそうだ。
 すごい! 聞きたい! 
 ここんとこずっと、妻とその日のための「おもてなし料理」を考えている。
 早く届かないかなあ、ワイン。
 今朝早く起きてそれを待っているのだが、まだ届かない。
 スズキさん、大丈夫だよねえ。

 (2010.12.07)   このページのトップへ

『小さなことでも』288

 ごまめの歯ぎしり。
 太平洋にドジョウ。
 宇宙のチリ。
 どれも、取るに足りない小さなものを言う。
 でも、ごまめだって何百億匹集まって歯ぎしりしたらどうだろう。 
 ドウジョウもしかり。チリも積もれば・・・。
 日常の小さなことも、ちょっとずつ捲まず撓まずやっていれば、必ず大きな結果を見せてくれる。
 以前にも書いたが、ボクらはこのことを『ベッポの教え』と呼んで座右の銘にしている。
 皇居前の長い道をほうきで掃く掃除夫ベッポ。
 今日も代表はキーを打つ。トトト・・・・。

 (2010.12.07)   このページのトップへ

『干し柿腐った』287

 あんなにセッセと皮を剥き、手間をかけて吊るした干し柿だったが、第1弾の36個ほどが腐ってしまった。
 スズちゃんの家の見える東向きの縁側に吊るしていたのだが、どうも日照不足だったみたいだ。
 正確には腐ったのではなく、青カビが全面的に付着してしまったのだが、青カビの量が半端じゃなく、見た目干し柿だかなんだか分からなくなるほど気持ち悪いものになってきた。
「第2弾に期待しよう!」
 そう言って、妻は英断を下した。 
 ゴミ箱に収まった「青い干し柿」を見つめながら、ボクは悲しさと悔しさともったいなさで、胸がいっぱいになった。

 (2010.12.06)   このページのトップへ

『ショコラ食いてえ』286

 夕べ、2人で『ショコラ』という映画を観た。
 詳しい感想は『映画コーナー』でいつか触れるが、メルヘンチックなストーリー構成とお洒落でユーモアのある描写にうっとりしながら楽しんだ。
 とにかくチョコがおいしそうで、大のチョコ好きなボクらにとっては、もうたまんな〜い映画だった。
 いつもは涙を拭くために使っている「ティッシュボックス」も、今回ばかりはよだれを拭くために使うことになった。
 幸い1枚だけガーナチョコがあったので、それでお茶を濁すことはできたが、今朝になっても『ショコラ食いてえ熱』は収まらない。 
「もうすぐ誕生日なんだし、思いっきり大きいチョコケーキ買おうよ!」
「ついでにホットチョコレートだがって飲み物も作ってみようか」 
「アルマンドばあさんのパーティの時出されてた、チョコレートソースのかかった『チキンの丸焼き』(後記、これは『子羊のチョッパー』だったみたい)も食べてみたい!」
 ボクらはいつも、映画のシーンに出てきた食べ物に影響を受けやすい。
 仮にそれが安価な『秋刀魚の塩焼き』であったとしても・・・。
 今回は少し高く付きそうだ。

 (2010.12.06)   このページのトップへ

『ハンシンヨクバンザイ』285

 よ〜く寝られるのはハンシンヨクのお陰かもしれない。
 「ハンシンヨク」と書いているのは「半身浴」と打つためには、「半身」と打って、さらに「入浴」と打って、「入浴」の「入」をデリートしなければならないので、すこぶる面倒だからである。
 そんなことはどうでもいいが、少し前から始めた「ハンシンヨク」は、本当に体中から湯気が上がっている感じで、布団の中がポカポカして、何とも言い知れなく気持ちいいのだ。
 「ハンシンヨク」に出会ったことは、カルチャーショックなんてもんじゃない、ボクらの後半生の生き方全般に文明開化的な多大な影響を与えそうだ。 
 これ、決して大げさではなく本当のことですよ。
 加えて「足熱頭寒」のオリジナル発明である、名付けて「ホッカイロの足裏貼り作戦」(直接ではなく靴下の上に貼り、その上にもう一枚靴下を履くんですよ。じゃないと低温火傷になりますから)も、すごい効果がある。
 寒い時期に必ずなっていた「慢性の腰痛」も、これをやってから全くなくなった。しかも、この時期、上は5枚くらい厚着してたのが、今は薄い下着1枚と、その上にセーター1枚でも十分あったかいのである。
 これは本当に画期的である。例の「ふぬけ椅子」や「トーマス君になれなかった下着類」の効果も少しはあるのかもしれないが、実感的には「ハンシンヨク」&「ホッカイロの足裏貼り作戦」の大勝利と見ている。
 冷え症の方はもちろん、虚弱体質、何となく体力の衰えを感じておられる中高年の方に、是非ともお勧めしたい、この冬の必須アイテムですよ。「ホッカイロ」も、モドキ商品だったら30枚入りで398円で売ってますから(スーパーAMANO調べ)、経費は1日20円ちょっとです。
「だまされたと思ってやってみてください。んもうし〜んじられないくらい、あったかいんですのよお」
「私の冷え性は一生治らないと思っていたんざますけども、これをやり始めて、本当に目からウロコでしたわあ」
 あれっ? 何だか「あやしい健康器具のテレビ通販」みたいやなあ。

 (2010.12.05)   このページのトップへ

『あ〜、寝た寝た』284

 久しぶりに爆睡した。2人とも起きたのは10時半。
「秋田に来て一番寝たかもね」と、妻。
「ホント、ホント、よう寝た」と、ボク。
「寝ると気持ちいいね」 
「確かに」
「でも、頭、ボーッとしてるよね」
「うん、ボーッとしてるね」
「まだまだ寝られそうだよね」
「あと10時間は寝られる」
「また寝ようか?」
「そうしよう。今日は日曜日じゃなかったっけ」
「でもやっぱりバカになるからやめようか」
「もっとバカになっちゃうかもね。やめようか」
「でも、やっぱり寝ようか?」
「うん。やっぱり寝ようか」

 (2010.12.05)   このページのトップへ

『エッセイ301』283

 去年の12月あたりから書き始めたエッセイが、数えてみたら300回を超えていた。
(後日、正確にナンバーを振っていたら、実は283回だったことに気付いた。17回分もサバ読んでいたことになる。謹んでお詫びいたします。特に『300回記念のワイン』まで送ってくれた鈴木東栄氏には、深く陳謝いたします。)
 1年で300も書いたのか。こんなクダラナイ話を300回もしていたのか。
 読者の皆さん、本当にありがとうございます。よくも飽きずに読んでいただきました。
 もちろんボクは、エッセイを書くのは本業じゃないので、これを書くのは大体、朝の始動前、30分〜45分くらいに限られています。
 思いつくまま、楽しみながら、ツラツラ、ダラダラ日課のように書いているわけです。
 ブログじゃないので、誰がどれだけ読んでくれているかも分からないまま、ただマスタベーションみたいに書いてます。
 限られた方を除けば、ほとんどコメントも拍手もありません。
 ただ、いいこともあります。本業(物書き)の上で少しは役に立っているように思います。
 エッセイも小さな物語と考えれば、「1話完結」の訓練になります。
 本格的な小説家を目指して、今年は、原稿用紙で1450枚の長編小説と、同じく800枚くらいの小説を、大手編集社の文学賞に応募することができました。
 結果は来年の5月まで分かりませんが、もし賞を取れて出版ということになれば・・・。でも、狭き門ですからどうなるか分かりません。
 もちろん、これからもどんどん書きますよ。夢を実現する「その時」まで死んでも書き続けます。このエッセイも・・・。
 どうか、これからも応援よろしくお願いします。たまに読んでくださいね。
 それだけが励みですから。

 (2010.12.04)   このページのトップへ

『心穏やかにね』282

 ここんとこ、お耳苦しい話題が多かったようです。反省してます。
 さあ、気を取り直して、心穏やかになる話題といきましょう。
 明日からNHKで『坂の上の雲』の第2部が始まりますね。
 これ、ボクらのヘイバリット小説『坂の上の雲』(司馬遼太郎)のドラマ化、しかも、規模が壮大で俳優もいい。かなり見応えがあります。
 今回は正岡子規の壮絶な最後を見届けたい。
 それから、妹の律のその後にも興味津々。
 石原さとみ演じる秋山真之の妻、季子にも注目です。彼女の凛として「言い切る美しさ」は、本当に素敵だなあ、可愛いなあと思います。
 明治時代って男も女も輝いてますね。かっこいい!
 妻もよく「私も明治時代の女に生まれたかった」と言います。ボクも同感です。
 日本は貧しかったけど、心はみんな気高かった。いい時代だったなあ。

 〜まことに小さな国が開化期をむかえようとしている。
  楽天家たちは、そのような時代人としての体質で、前をのみ見つめながら歩く。
  のぼってゆく坂の上の青い天に、もし一朶(いちだ)の白い雲がかがやいているとすれば、
  それのみをみつめて坂をのぼってゆくであろう〜(『坂の上の雲』第1巻「あとがき」より)

 (2010.12.04)   このページのトップへ

『軽自動車税についての私の主張』281

 けしからん議論がある。
 この上、軽自動車税を上げるんだって! 普通自動車並みにするんだって! 軽自動車の「軽」という字をどう考えているのだ。文字通り「軽」く見過ぎてはいないか!
 けしからん人たちも増えている。
 お金持ちだ。彼らは最近、お金があるくせに選んで軽自動車を買っているらしい。税金が安いという理由で。ズルッ! ケチッ!
 誠にけしからん事態だ。軽自動車は、お金がないけどどうしてもクルマが必要な人たちが、乗り心地やスピードを犠牲にして、自分の経済力に見合ったギリギリの選択として購入するものだったはずだ。
 あるいは、こういう農村においては、のっぴきならない仕事上の理由で、自家用車以外に軽トラックが必要だった。
 そのギリギリの人たちのギリギリの選択を「無」にするような、「反古」にするような、そういう間違った増税に対し、私は声を大にして異議を唱えるものである。
 思えば、タバコの値上げもそうだった。喫煙は、不健康ではあっても、低所得者にとってはささやかでけなげな、唯一の「嗜好」だったはずだ。そういう弱者のちっちゃな楽しみまで奪う権利があるのか! 残念!
 一時は、高速料金が安くなるといって大喜びしたのに、ETCだがってものがないので、ボクたちはその恩恵にあずかれなかった。あれはぬか喜びだった。ETC先にありきだった。残念2!
 子どもがいないので「子ども手当」だがってものももらえず、農家じゃないので「戸別所得保障」だがってものももらえず・・・。
 そう考えてくると、民主党の政策はボクらのようなレベルの生活者に対して、ひとつも優しくないということが分かってくる。
 じゃあ誰かに優しいかというと、まあ、誰にも優しくないような気もしてくる。強いて言えば、相変わらずお役人たちにだけは優しいね。
 これ以上書くと血圧が上がって憤死してしまうので、ここでやめとく。
 とにかくけしからん! とにかくなってない!

 (2010.12.04)   このページのトップへ

『笑えれば』280

 イトウさんからメールが届いた。
「おい! 今日はテンションめちゃ低いやんけ。この歌聞いて元気出せ!」
 そう書いてあった。
 聞いてたら少し元気が出てきた。

 

 (2010.12.03)   このページのトップへ

『壊れていく』279

 朝起きたら、夢に出てきた以上の暴風雨だった。
 この間冬支度した小屋の板戸が風で吹き飛んでいる。
 いろんな物が壊れていく。
 仏間の雨漏りは、どうしょうもないくらいの量になった。
 天井板も腐り、このままでは落下寸前の状態だ。
 今までは、何とか自分で普請してここまで持ちこたえてきたが、そろそろ限界だ。
 屋根や天井の修理を本格的にしなければならないのに、先立つものの手当ができない。
 恐ろしい風の音を聞きながら、心はどんどん沈んでいくばかりです。

 (2010.12.03)   このページのトップへ

『夢を見た』278

 自転車のスタンドを立てたまま、ボクは必死にペダルをこいでいる。
 当たり前のことだが、汗だくになって死ぬほどこいでいるのに、自転車は全然前に進まない。
 やがて空は、にわかにかき曇って暴風雨になる。
 横なぐりの大粒の雨が顔をたたき、猛り狂った風が自転車ごとボクを吹き飛ばそうとする。
 ボクは必死にハンドルにしがみつく。そして必死の形相でなおもペダルをこいでいる。前は何も見えない。何も聞こえない。
 そこで目が覚めた。
 こぶしの力を抜き、噛みしめた歯を緩めながら、布団の中でボクは深くため息を吐いた。
 ひどい夢を見たもんだ。
 ボクの夢の意味はよく分からないが、ふとこんなことを思った。
 今の日本もこんな感じじゃないのかな。

 (2010.12.03)   このページのトップへ

『怪文書の意味』277

 さっき、スズキさんを目撃したという人から電話があった。
 その方は彼とこんな会話を交わしたらしい。
「あなた、もしかして積善クラゲの・・・」
「ええ、スズキです」
「やっぱり。そんな顔してますね。それにおいしそうですね」
「ええ、まあ。結構よく言われます」
「ところでその汚いリュックには何が入っているんですか?」
「これですか? 難しい数学書とマーチン・バックパッカーです」
「何ですか?」
「あっ、ギターです」
「ギターも?」
「ええ、旅行用の」
「はあ・・・。ところで、新聞で話題になっているあの『怪文書』について教えていただけませんか?」
「ああ、あれですか。あれはボクが今練習している名曲の名前がちりばめられてるんです。みんなには少し難しいかな?」
 なるほど、あの文章の中に名曲の名前があったのか! おぬし、やるな。
 おそらく12月25日のライブと無関係ではなさそうだ。これが解読できればライブの曲も分かるはずだ。
 ところで、イトウさんはどうしているんだろう?

 (2010.12.02)   このページのトップへ

『積善クラゲ・スズキさんからのメール!』276

 どうやら彼は生きているようだ。昨日メールが届いて分かった。
 生きていることは分かったが、書いてあることはサッパリ分からない。何かの暗号文のようでもある。原文のママ載せます。
「この1週間は数学の便利屋の仕事量がハンパでなく、泣けてくる日々の連続で、永遠の嘘をついてノルウェーの森に遊びに行こうかな、と思いましたが、他人からDesperadoと言われるのもしゃくだし、僕の人生の今は何章目と考えたら、まだまだ仕事は頑張らねば! とJuliaの寝顔を見ながら、決意を新たにしました」
 ねっ? 何言ってるかサッパリ分からないでしょ?
 誰か意味が分かったら教えてください。

 (2010.12.02)   このページのトップへ

『積善クラゲ遭難に有力情報!』275

 メンバーの1人、スズキさんを見かけたという有力情報が、今しがたメールで寄せられた。
 この方のメールを紹介したい。
「ワシが温泉に入っていると、リュックを背負ったスズキさんらしい方が近付いてきて、『やあどうも、背中でも流しましょうか』とおっしゃった。『見ず知らずの方にそんな・・・』と言ってワシが遠慮すると、『旅は道連れ、世は情けと申します。まっ、ひとつ』と言って背中を流してくれました。そして、ワシがお礼を申し述べる間もなく、スズキさんは帰ってしまわれました。おそらくアラスカ方面に向かったのではないかと踏んでおります」
 ナント、スズキさんは積善の旅に出ているようだ。しかも海を渡ってアラスカへ。大変な事態になってきた。
 ちなみに、この有力情報を寄せてくれた方はこういう方です。

onsen

 (2010.12.01)   このページのトップへ

『積善クラゲのメンバー遭難か?!』274

 メンバーの1人、スズキさんが行方不明になっている。1週間ほど前、茨城県沖で、登山用のリュックサックを背負って泳いでいるところを目撃されて以来、消息がつかめていない。
 イトウさんも、3日ほど前、北海道の稚内の川で釣り人に目撃されたらしいが、その後の消息がつかめずにいる。その釣り人が言うには、アゴのあたりに金属製の何かをぶら下げていたということだ。
 ライブまで1か月を切っている。心配だ。
 どうか、釣り上げられた方は、ご面倒でも当方まで連行してください。魚拓ではなく、できれば生け捕りでお願いします。

 (2010.12.01)   このページのトップへ

『頑張れ、代表!』273

 12月のスタート。代表は朝3時半に起きた。寒い中、自分でストーブを付けて仕事に取り掛かっている。
 超急ぎの案件が入ったからだ。
 立派だ。夕べ「味気ない食事」をし、喧嘩までしたというのに、しっかりと職務を遂行している。ブレがない。プロだ。さすが代表だ。
 ボクも釣られて4時半に起きてしまったのだが、やることがない。職務がない。喧嘩をしたので目を合わせにくい。ブレがある。プロじゃない。やっぱり平社員の器だ。
 こうしてエッセイを書くほかない。お茶を濁しているしかない。

 (2010.12.01)   このページのトップへ

『スキヤキ喧嘩』272

 しばらく喧嘩をしていなかった妻と、11月最終日に喧嘩をしました。
 その理由は、「スキヤキ」をめぐる見解の違いでした。
 妻の見解はこうです。
 肉が少ししかないんだから、せめて豆腐とか野菜とかをちゃんときれいに並べて「本格的」に「美しく」煮てほしかった。玉子に豆腐と肉を同時に絡めながら「美しく」味わって食べたかった。
 見解のキーワードは「美しさ」と「本格的」にあった。
 ちなみにボクの見解はこうです。
 最近、塩分とかが気になっているんだから、できるだけ醤油を抑えて淡白な味付けにし、普通のスキヤキとは違う「我が家オリジナル」のものにチャレンジしたかった。
 つまり、「美しさ」や「本格的」よりも「健康」や「チャレンジブルなオリジナル性」を重視していた。
 それが両立できればよかったんだけど、結果、ボクが作ったスキヤキは、妻曰く「薄味の肉鍋じゃん」という評価になった。
 途中、見解のズレを主張していた妻を、ボクが「ええい、うるせえや〜い!」的に退けたことも、この喧嘩を長引かせる要因になったようだ。 
 そんなわけで、せっかくの2年ぶりのスキヤキも、サッパリ味気ないものになってしまった。
 何事も両立は難しい。

 (2010.12.01)   このページのトップへ

『人の一生』271

 量の問題。
 いつまで生きるのか、生かされるのか、誰も答えを持っていない。だから生きるだけなんぼでも生きるのだ。それまで死なないのだ。
 質の問題。
 できれば健康で、最後まで幸せで、与えられた天寿を全うしたい。
 周りを見ると、いろんな人がいろんな病気と闘っていたり、不幸な状況に立たされていたりする。
 それでも頑張ってみんな生きている。
 知らないところでも、いろんな人がいろんな努力をして頑張って生きている。
 ボクらもこうやって能天気な暮らしをしているように見えて・・・。
 と、ここまで書いてフト思ったことがある。
 あれっ? 
 テーマが大き過ぎるなあ。
 それに、どう考えてもボクらは能天気だなあ。まっ、いっか。みんな頑張ろうよ! 楽しくやろうよ! って感じぃ〜。

 (2010.11.30)   このページのトップへ

『進化と見るべきか、グータラ化と見るべきか』270

 冷凍エビのパッケージを見て妻が言った。
「わっ、『剥きやすいエビ』って書いてあったけど、本当だ」
 どうやらそのエビは、背わたが取ってあって、かつ殻に切れ目まで付いているらしい。
 これは進化と見るべきか?
 チンするだけ、お湯入れるだけ、揚げるだけ、盛り付けるだけ。そういう簡易調理商品が席巻している現代、本当にそれでいいのだろうか! 最近の主婦はグータラ化していないだろうか! という問題提起をボクはしてみたくなった。
「でも、私たちと違って、子どもがいて共稼ぎとか、みんなそれぞれ大変なんじゃない」妻は擁護派に回った。
「それもそうだな」
 あっさりボクは落城した。
「だけど、エビに背わたがあることぐらい知っててほしいよね」
「もともとはコロモなんて付いていないこともね」
「コロモ付けたエビが海で泳いでたら・・・」
 怖い! ボクは考え直した。やっぱりこれはグータラ化以外の何ものでもない。

 (2010.11.30)   このページのトップへ

『絶対まねのできない職業』269

 これはもう多々ありますね。
 ありとあらゆる職業、やっぱりプロにはかなわない。まねできない。
 その中で『エライ人グランプリ』を決めるなんてナンセンス。
 ただ、昨日晩酌をやりながら、妻とたわいもない話の中で、賞賛と尊敬を一身に集めた職業をひとつご紹介したい。
 それは『くみとり業』です。石巻のおばあちゃん流に言えば『肥やしくみ』のことです。
「とてもまねできないね、あれだけは」と妻。
「本当だ。ありがたいよね」
「私たち、鼻がいいから絶対無理だよね」
「でも、この間チクノーなったじゃん」
「そっか・・・」
「そういう時、アルバイトぐらいはできるかもよ」
「・・・」

 (2010.11.30)   このページのトップへ

『秘め事』268

 ボクは注意深く、だが大胆に、骨の間のくぼみに舌をまさぐり入れた。
 柔らかいゼラチン質のヌルヌルが口の中に広がった。ボクはそれをチュパチュパ味わいながら、さらに奥深いところに鎮座する「尊い場所」に、舌の先を割り入れていく。
 早くも恍惚という名のよだれが、口の周りをヌラヌラ濡らしている。
 舌の先端がやがて「そこ」にたどり着き、コリコリした真珠のような固まりを捉える。ボクは「それ」を舌の先に載せて深く吸い寄せる。
 そして、ゆっくりと味わうようにしてしゃぶってみる。口の中で転がしてみる。ソッと噛んでみたりする。
 しばらくそうやって味わっていると、真珠の皮膜は剥離し、小さな硬い芯が姿を現してくる。
 これは水晶体である。もう噛めない。もったいないけど舌の先に載せて捨てる。
 アラの中でも、特にこの「目ん玉部位」はおいしい。ブリでもタラでもサイコーだ。妻は好きではないので、この領域はボクの独壇場だ。2日間でボクはつごう8個の魚眼を食った。
 全神経を口の中に集中してボクは食べる。無口になる。
 ボクの密かな『秘め事』。

 (2010.11.29)   このページのトップへ

『標準語だと思っているから余計おかしい』267

 「しずこ」「やすすさん」「シャンサイン」。
 これらは、実際、結構まじめな場面で、まじめに話された言葉たちである。
 「しずこ」は、標準語に自信を持っている少し気取ったところのある方だった。「ボクは、しずこ好きだけど、あんまり大量に出されるとちょっと・・・」と使った。
 「やすすさん」と言ったのは、妻が出た電話に著しく緊張してしまった村の大工さんだった。「あっ、や、や、やすすさん、おりますか?」と言った。
 「シャンサイン」は、82歳になるおじいさんが、うちに遊びにきた時に、かつて東京見物に行ったことを自慢しながらこう言った。「東京の池袋さシャンサインあるべ。オラ昔あっこさ行ったもんだ」。
 賢明なる皆さんは、何の意味かお分かりですよね。
 最近、アメリカの方も見てくれているようなので、やっぱり解説しましょう。
 「しずこ」→「筋子」。
 「やすすさん」→「やすしさん」(ボクのことです)。
 「シャンサイン」→「サンシャイン」。

 (2010.11.29)   このページのトップへ

『半身浴その後』266

 ラジカセが壊れてしまいました。
 湯気のせいなのか、もう寿命だったのか。
 入浴中のヒマ解消の名案だったのに非常にザンネン。
「そうだ! 音楽がないなら自分が歌えばいいんだ!」
 すかさずそういう名案がひらめきました。
 これいいです。
 歌の練習にもなります。
「近所迷惑かもよ」
 水を差す人が約1名おります。

 (2010.11.29)   このページのトップへ

『過ぎたるは・・・』265

 これはボクらの習癖なんだろうな。
 極端すぎる性格。
 前にもお話ししましたが、例えば「ラミーチョコ」が好きだとなればそれを6枚も買う。例えば「まぐろの切り落とし」が美味いとなればそれを9個も買う。同じものを極端に大量に買う。
 昨日もタラ鍋を食べながら、昔のことを思い出しました。
 タラ鍋には「キモ」。「キモ」の入っていないタラ鍋はタラ鍋にあらず。そういうことで、ボクらは普通の十倍くらいある「巨大キモ」を買ってきて入れたことがあった。
 鼻血が出た。飽きた。
 おでんの具に、大根と玉子だけを大量に投入して食べたが全然おいしくなかったという話は前にも書きましたね。
 ねえ、本当におバカですねえ。「過ぎたるは・・・」ほどほどにしなはれや。

 (2010.11.29)   このページのトップへ

『タラ鍋ダイエット』264

 タラ鍋の日が続いている。
 きのうはアラを中心に「塩ポン」と「ゆずコショウ」でタラフク食べた。死ぬほど美味かった!
 驚くべきことに、今朝体重を測ったら2人ともここ3ヶ月間で一番やせていた。
 昨日は、「ちょっと飽きてきたかも・・・」などと不届きな発言をしていた妻が、「毎日でもいいんじゃない。なくなったらまた買ってこようよ」などと、調子のいいことをのたもうておる。
 冬は鍋。あったまる、おいしい、そして、やせる。
 我が家の<土鍋>が休まることはない。

 (2010.11.29)   このページのトップへ

『初冠雪』263

 とうとう来たか。
 屋根にも畑にも雪が積もっている。
 まだほんの2センチ足らずとはいえ、これからの長い雪生活を思うと気が引き締まる。
 7年目の秋田の冬。ボクらは、そしてこの家は無事に乗り越えることができるだろうか?
 乗り越える、といえば、隣のコーゾーさんちの竹が、雪の重みでうちの敷地内に思いっきりせり出してきていた。乗り越えてきていた。
「領海侵犯・・・」
 妻がボソッとつぶやいた。

 (2010.11.29)   このページのトップへ

『ちょっと怖いパソコン用語』262

 「ペースト」という言葉がある。コピー&ペーストとかのあれである。
 日本語で言うと「貼付け」である。でも、ボクはどうしてもあっちの「張り付け」を想像してしまう。「張り付け獄門の刑」・・・。怖い!
 「カット」という言葉がある。「切り取り」という意味。これは「人員」「賃金」「泌尿器」関係において使われた場合を想像してボクは時々ゾッとする。
 「インサート」という言葉がある。日本語で言うと「挿入」という意味。挿入・・・。
 これがパソコン画面に出てくると何だか怖い。変な気持ちになる。ボクだけかな? 考え過ぎかな?

 (2010.11.28)   このページのトップへ

『タラタラタラ』261

 以前、カツオが届いた時、<こんなエッセイ>を書いたが、その知人から今日、今度は大きなタラが2尾届いた。
 この知人は、少し正確に言うと、ボクが仙台にいた頃、かわいがっていた後輩のA君である。今でも恩義を感じてくれているところが可愛い。君は立派な人だ。ありがとうね!
 実は、昨日ボクらは『タラ鍋』を食ったばかりだったのだが、タラ鍋大好きのボクらにとって、このタラ攻撃はむしろ望むところであった。
 ボクらは3日連チャンのタラ鍋、名付けて「タラタラタラ」である。そういえば、真珠湾攻撃の成功を伝えた「ワレ奇襲ニ成功セリ」の暗号電文が「トラトラトラ」だった。「タラタラタラ」は、さながら「ワレラ御馳走奪取ニ成功セリ」と言ったところか。
「毎日でもタラ鍋食べたいもんだなあ」タラをさばきながらボクが言う。
「ただ一つ問題があるよ」と妻。
「えっ?」
「鼻血ブーの高木ブーになっちゃう」
 う〜ん・・・。 

 (2010.11.28)   このページのトップへ

『衝動』260

 職業柄ボクは、早く店に行って、こうしたい衝動に駆られている。
 いいでしょうか?

ゆずん茶

 (2010.11.28)   このページのトップへ

『どう読む?』259

 妻と買い物に行った。野菜コーナーの端っこにこんなビンがあった。
 店頭POPには『ゆずん茶 798円』と書いてあった。
 ボクは『ゆずん茶』ではなく、どうしても『ゆず茶ん』と読みたかった。だってお茶じゃないんだもん、これ。
 妻は、そんなことどっちでもいいんじゃない? という顔で、ボクを置いてスタスタあっちに行ってしまった。
 帰ってから調べましたよ。こだま食品のHPで。
 ほ〜ら、やっぱりね。『ゆず茶ん』って書いてある。兄弟に『しょうが茶ん』もいるもんね。

ゆず茶ん

 (2010.11.27)   このページのトップへ

『アブラギッシュ』258

 さっき政治家が家に来た。
 春の選挙をヨロシク。それが訪問の目的であった。
 運悪くというか、運良くというか、ボクはトイレの中で取り込み中だったので、妻が対応するはめになった。
「握手求められたけど、それにしても、政治家ってどうしてああもアブラギッシュなんだろうね。顔が脂でテカテカ」 
 妻は洗った手をタオルで拭きながらそう言った。 
 確かに、政治家の顔はおおむねアブラギッシュだ。田中角栄しかり、橋本龍太郎しかり。特に彼の脂はすごかった。顔にまでポマードを塗り付けているんじゃないかと思うほどだった。
 妻は、元来アブラギッシュに弱い。かつて上司にそういう人がいて、その人がとても嫌な人だったことにも起因しているらしい。
 まあ、体質的に脂性の人もいるので、一概にアブラギッシュな人を非難する気はないが、我々のような年になると、「加齢臭」との兼ね合いもあって、やはり脂には注意しなければと思う。
 顔もそうだが、脂は体内にたくさん取り込まれた場合、大変危険な因子となる。健康を脅かす悪玉となる。
 気をつけよう、アブラ。
 政治家と脂の関係についての深い考察は、またの機会にします。ギドギドしてあんまり気持ちよくないもんね。
 (2010.11.27)   このページのトップへ

『うすかわ餅』257

 妻と生協のカタログを見ていた時のこと。後ろのほうのページで妻が突然笑い出した。
 イラスト描きます。笑ってください。(失礼)買ってください。6個入り630円です。
 う〜ん。練り込まれておりますなあ。 

isu

 (2010.11.27)   このページのトップへ

『心が洗われるね』256

 『素晴らしき哉、人生!』を妻と観た。
 本当に素晴らしき哉、この映画。
 最初から最後まで、笑いながら泣ける映画ってそうないと思うんだけど、この映画はそういう意味ではダントツかも。
 いやあ、イトウさん、ありがとう! 
 その後に、全然脈略なく『未知との遭遇』を観たが、こちらはご存じのようにUFOとか宇宙人をSFXで細密に表現している。
 でもどうだろう。かえって嘘っぽくない? とボクは思ってしまった。
 スピルバーグさんに文句を言うつもりはこれっぽっちもないが、『素晴らしき哉、人生!』の冒頭のような描写のほうが、はるかにファンタジックで夢があるではないか。想像力をかきたてるではないか。
 おっと、こういうことは「映画コーナー」で書けばいいことだった。
 とにかく、この映画のお陰で心がロンダリングされました。妻も触発されて『雑感』に書いたようです。
 クリスマスイヴにもまた観よう! 皆さんもよろしかったらどうぞ。
 (2010.11.27)   このページのトップへ

『積善とは・・・』255

 『積善クラゲ』というユニット名に関する興味深い情報が届いた。
 イトウさんが絶賛してやまない作品の中に、どうもその答えがあるようだ。
 一つは『クリスマスキャロル』というディケンズの小説で、これはディズニー映画にもなっています。
 もう一つは『素晴らしき哉、人生!』(原題 It's a Wonderful Life)という1946年のアメリカ映画。 
 クリスマスが近いこの時期に一見の価値あり、ということらしい。
 私も見てみることにする。妻と一緒に、ワインでも飲みながら・・・。
 さて、気になる『積善クラゲ』のライブだが、<あるまんど山平のHP>のスケジュールのページを見ると、12月25日に正式決定した模様である。
 オドゲデネ(大変な)ことになってきた。
 お〜い! スズキさ〜ん。大丈夫ですか〜?
 イトウさんも、映画なんか見てないで、そろそろ練習したほうがいいですよ〜!
 (2010.11.26)   このページのトップへ

『つい・・・』254

 昨日は、一日がかりでお互い結構大きな仕事を完結した。
 そんなわけでエッセイもお休みした。
 その後、打ち上げ的に飲んだ。
 つい、飲み過ぎた。 
 久しぶりに二日酔い。
 口の中がモワモワする。
 頭の中もモワモワしている。
 モワモワした頭では、何もひらめかないようだ。
 何も書けないようだ。
 そういう時は、モワモワに身を任せて、黙って大人しくしていることにしよう。
 どうやら妻もそういう方針を決め込んでいるようだ。モワモワ漂っているのだろう。
 9時になるのに、まだ起きてこない。
 (2010.11.26)   このページのトップへ

『皮むき男』253

 昨日は、干し柿用の柿の皮を28個むきました。
 それから夜、ジャムを作るということで、妻の業務命令に従って、鮮度を失ったりんごの皮を7個むきました。
 つごう35個の皮をむいたことになります。 
 妻から「主婦より主婦っぽい」という名誉ある称号を与えられました。
 (2010.11.24)   このページのトップへ

『笑顔の村』252

 トイレの中で、この村の人たちの顔をひとりひとり思い浮かべてみた。
 どの顔もみんな笑顔だった。それも突き抜けるような、崩れ落ちるような満面の笑顔。
 おじいちゃんもおばあちゃんも、歯のある人もない人も、何だかみんな笑っている。 
 かつて都会にいた頃の人たちの顔は、みんなムツッとしたしかめっ面だったような気がする。みんな眉間にしわを寄せていた。
 でも、村の人たちのしわは、眉間にではなく目尻についている。深く何本も。
 ボクらもその影響なのか、そういう顔になってきた。これはいいことだよな。
 (2010.11.24)   このページのトップへ

『電飾気分』251

 小さなクリスマス用の電飾球を飾った。
 音楽はインターネットラジオの静かめのクリスマスソング。(ボクらが気に入ってるラジオ局は、Windows Media Playerからだったら、「ラジオ」のプレイリストから「ホリデー」を探して、たしか「クリスマス インストルメンタル」だったと思う)
 この季節はなんだかムードがあってホンワカ盛り上がるんだよね。 
 ボクは運がいい人間だと思う。それは12月10日に産んでもらったからだ。
 昔からこの日はウキウキボーナス日でしょ。もっとも自分が払う側だった時はしんどかったけどね。
 不景気とはいえ、それでもこの時期だけは電飾気分に満たされる。普段はさびれていた街にも少しだけにぎわいが戻ってくる。
 そんなムードがこれから1ヶ月続く。2010年も佳境。楽しまなきゃ!
 (2010.11.24)   このページのトップへ

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