なつめやし |  オシゴト  雑感  写真 | 映画

おばあちゃんエッセイ集「キモコいい時間」

石巻のおばあちゃんのファンが結構いましてね。例えば「東京のセレブ嬢S山さん」とか。
で、思い切って「おばあのコーナー」作っちゃいました! 
今のところ、かつて書いた『ことなひまめのオッペケペーですっとこどっこいな日常1と2』から、途中までのドタバタ話を転載しています。
これが本とかになったらいいですね。夢みたいだね。ねえ、おばあ!

 
 

『おばあちゃんからの絵はがき』196

 今、ポストを開けたら、寒風山の回転展望台の絵が描かれた「絵はがき」が入っていました。
「毎日、エッセイや雑感を読みながら、相変わらずやナァ〜と秋田滞在中をなつかしく思い出しています」
 達筆でそう書かれていました。
「帰ってからは、フルタイム勤務になったリカさんの『秘書』でなかなか忙しくなりました。茶の間掃除だけは時間遅れの出勤です」
 そっかあ、彼女「掃除婦」だけでなく「秘書」にも侵出したんだなあ。やるなあ、おばあちゃん!
「昨日、何の箱かと思って見たら、全国の旅行のたびにオジイが買い集めた絵はがきで、よくもまあ、こんなに・・・とあらためて感心しました。今更何に使えるかねえと悩んでいます」
 なるほど、秋田の寒風山にも来たんだね。
 大事な思い出だから取っておがいん!!
 そういえば、この6月の末はおばあちゃんの79歳の誕生日です。
 梅雨や暑さに負けないよう、激務もほどほどにね!
 何だか文通みたいになっちゃった。

 (2011.06.23)   △このページのトップへ

『40日』137

 おばあちゃんを送って帰った。
 発災から40日を石巻で過ごし、それから40日をここで過ごした彼女。
 少しは癒されたかなあ。  
 今、何となく気が抜けたようなさみしいような・・・。
 何だかパッとしません。 

 (2011.06.06)   △このページのトップへ

『たつ鳥あとを濁さず』136

 最後まで立派な人だ。
 今から帰るというのに、朝から『駆け込み洗濯&掃除』をしている。
 偉いなあ・・・。あっぱれやなあ・・・。  
 AM8時には出て明日遅く戻る予定なので、ちょっとだけエッセイはお休みです。 

 (2011.06.04)   △このページのトップへ

『おばあちゃんとの最後の晩餐』135

 明日早いので、今日はスーパーAMANOでお惣菜を買って簡単に食べた。
 今、お風呂を沸かしながら・・・。
 さみしいなあ・・・。  
 しばらく会えないなあ・・・。  
 ・・・・・・。 

 (2011.06.03)   △このページのトップへ

『裁縫事業部の作品集』134

 これが弊社の新事業部が制作した作品の一部である。
 これ以外にも、毛糸をほどいたりボクのクッションカバーを作ったりと事業部長は頑張ったのである。
 材料はすべてリユースなのである。  
「今度ミシン欲しいなあ・・・」  
 事業部長は代表に、新たな設備投資を要求した。 
 代表はそろばんをはじいて言った。
「お金になってからね!」
 さすが代表、手厳しい!

  

 (2011.06.03)   △このページのトップへ

『熟女ファン』133

 ・・・からこんなメールが。

 そこで偉そうにしているヤッシの友達の『トーエー』です。秋田に在住中には、いろいろな話題を提供していただき、心から感謝しております。
 本来ならば、直接伺い、労をねぎらうところですが、日本を『たぶん?(笑)』背負うであろう、若者たちの教育のために、休みがとれなく、挨拶が出来なくて申し訳ありません。  
 昔の『文通友達』のような感覚を、ばあちゃんに持ってしまいました。願わくば、感動的な出会いを期待しておりますので、その日まで『トーエー』の名前は心の片隅に大切にしまっておいて下さい。  
 再び会える日のために多くは語りません。最近、富に熟女ファンになりつつあります 

 う〜ん。トーエー、ちなみにおばあちゃんの大好物はね。茨城産の『干し芋』なのよね。いえいえ、別に要求してるわけじゃなくってよ。

 めんこ、めんこ。

 (2011.06.03)   △このページのトップへ

『今日と明日でバイバイだなあ』132

 おばあちゃんは、帰った後の用意に余念がありません。
 こっちが忙しいので、おばあちゃんは今日、1人黙々と座布団カバーを6つも完成し、部屋に敷く「ゴザ」を雑巾できれいに拭いておりました。
 今は部屋でTVを見ております。
 ボクらに話し掛けたくても話し掛けられないので、そうやって1人でいるわけです。
 何だかごめんね。
 あと2日間となると、もっとしてあげればよかったと思うことだらけ。
 してもらったことだらけです。
 何だかごめんね。
 ようし! 今日は「椰子風特製カツ丼」に腕を振るうぞう!

 (2011.06.02)   △このページのトップへ

『なめで食べらいん!』131

 10時のおやつに、おばあちゃんがお茶を入れてくれた。いつものこと。ありがと!
 さらに、早起きしたのでお腹がすいたろうと、おばあちゃんは大好物の『南部せんべい』まで出してくれた。
 ボリボリボリ・・・。
 2人はいい音をたててそれを食べ始めたが、歯の悪いボクはそれを横目で見てるしかない。
「なめで食べらいん!」(なめながら食べなさい)
 78歳のおばあちゃんにそう言われた。
 う〜ん・・・。

 (2011.06.02)   △このページのトップへ

『移動掃除婦さん』130

 今朝、おばあちゃんは石巻のリカさんに電話をしていた。
 リカさんが勤めていたパン屋さんがようやく再開するらしい。
 というわけで、おばあちゃんは帰ってからも忙しそうです。
 さらにこんなことも言われたらしい。
「おばあちゃんが帰ってくるまでに掃除しておこうと思ったけど、結局間に合わなかったあ〜」
 あちゃ〜、掃除婦は帰ってもなお掃除婦のようですね。
 こっちでも掃除婦、あっちでも掃除婦。
 この際、敬意を表して彼女のことを『移動掃除婦さん』と呼ばせていただきましょう。
 日々ご苦労さまでございます!

 (2011.06.02)   △このページのトップへ

『置いてきぼり』129

 代表は朝5時半から仕事。
 ボクは少し遅れて出社。
 おばあちゃんは、気まずそうにして6時半に起きてきた。
 今日、そういう予定であることを秘匿していたので、彼女にとっては「置いてきぼり」を食った形だ。
 本当は寝かせておいてやりたかったの。
 こういう場合、彼女はどういう行動をとるか?
 グィ〜ン! グィ〜ン! グィ〜ン! グィ〜ン! グィ〜ン!
 遅れを取り返そうと、いつも以上に張り切っちゃうんですよね。
 ヘッドホンを付けている代表の耳にまで入る大騒音!

 (2011.06.02)   △このページのトップへ

『寝ぷかげ』128

 夕べのシアタータイムは『めし』だった。昭和26年の作品。
 デザートは豪華。「チョコロールケーキ&どら焼き」。
 「めし」を観ながら「チョコロールケーキ&どら焼き」を食ったわけだ。
 すごく満腹感があるね。
 そのせいなのか、ボクは妙に眠く上映中3分の1くらい記憶がない。
「この映画、私観だごどあるよ。面白いよ」と言って見始めたおばあちゃんだが、妻の証言では、ボク以上に「寝ぷかげ」していたそうだ。半分以上は寝ていたらしい。
 観終わってからそのことをチクッと言うと、彼女は平然とこう言い放った。
「そんなごどないよ。最後のどご、ちょこっと寝でしまったけど・・・」
 この方、いつもそう言うのよね。ホントはほとんど寝てたくっせえに!

 (2011.06.02)   △このページのトップへ

『月が変わって』124

 今日から6月。
 4月25日に秋田に来たおばあちゃんは、もう一つ月をまたいだわけですね。
 月が変わったからといって何も変わらない『平成のサザエさん一家』。
 今日もおばあちゃんは床をグィ〜ン、グィ〜ン・・・。
 ボクはコーヒーを入れ、代表はトトトトトト・・・。
 しかし、おばあちゃんが帰らなければならない本格的な理由ができてしまいました。
 薬がなくなりそうなんです。
 こればっかりは「まあ、何とかなるよ」とは言えず、この4日に帰ることが正式に決まってしまいました。
「今度来る時は、ちゃんとその辺段取りしてくるからね」 
 おばあちゃんは、ボクの落胆ぶりを見てそう言って慰めてくれました。
 そんなわけで、本当にあと残すところ3日になってしまいました。
 妻は、この際とばかりに、今回で4度目となる「鶏五目ご飯」と「おくずがけ」をリクエストしました。  
「大量に作って冷凍保存しなきゃ!」
 ちゃっかりしてます。
 ああ、それにしてもさみしくなるなあ・・・。
 楽しかったなあ・・・。
 いなくなったらどうなるんだろう?
 ボクは「鬱病」になっちゃうんじゃないだろうか?
 まいったなあ・・・。

 (2011.06.01)   △このページのトップへ

『優勝弁当』119

 昨日の運動会は我が町内会が2年連続優勝を飾りました。
 その最大の立役者はこの2人。
 朝からこうやって作ってくれました。

    

 テントで村の人に振る舞うと、「料亭の仕出し弁当みでだなあ!」と絶賛されました。特に妻の「ダシ巻き玉子」とおばあちゃんの「肉巻き」と「レンコンのきんぴら」が大好評!
 制作者の2人も、同じものを家で腹一杯食べたそうです。
 これが完成品! どうです? うんまそうでしょ!



 (2011.05.30)   △このページのトップへ

『運動会』118

 今日も朝5時半起床。
 朝方まで降っていた雨もあがり、曇っているがどうやらグラウンドで決行されることになりそうだ。
 さっき役員でテント張りに行ってきた。
 妻は仕事で出られないし、おばあちゃんも来ないというので、ボク1人で参加する。
 彼女たちは、ボクと同じ時間に起きて『豪華なお弁当づくり』に朝から余念がない。
 台所方面から「卵焼き」のい〜香りが漂っている。腹減った!
 参加者が続々「結石」(おっといけねえ!)「欠席」を表明する中、ボクは多種の競技にかり出されそうだ。
「1位になろうとしないで、2番くらいを狙って走ること!」
 おばあちゃんは、ボクがアキレス腱を切らないように気遣っている。
「2番どころかビリでいいんだよ」
 妻もそう言う。
 大丈夫。一生懸命走ってもどうせビリだよ。

 (2011.05.29)   △このページのトップへ

『ぼやき川柳』117

 おばあちゃんが大好きなNHKのラジオ番組『ぼやき川柳』でボクの投句が読まれました。
 ペンネームは『劇団いざこ座』。
 ちなみにボクの川柳は、『タオル』というお題に対して、
「タオルぐらいくれてもいいだろボツ百回」。
 明日は運動会で朝5時半起床なので、今日は早く寝ます。おやすみ〜!

 (2011.05.28)   △このページのトップへ

『おばあちゃんのちょっと真面目なお話』116

 『空想』は大事だよ〜。
 ラジオで昔の唱歌や童謡を聞いてると、詩の情景が浮かんでくるものね〜。
 今は何でも「映像」で見せちゃうから、み〜んな『空想』できなくなったんだよ〜。

 (2011.05.28)   △このページのトップへ

『執事と掃除婦のラジオ体操』115

 6:30になったので、執事と掃除婦は掃除婦の控え室でラジオ体操をやった。
 1番(ラジオ体操第1)はよかったのだが2番になると、2人は全く違う体操をやっていた。バラバラ。
 めいめい勝手に手足を動かしてやがて終了。
「やは体硬いね」
 おばあちゃんに言われた。ショックだった。

 (2011.05.28)   △このページのトップへ

『これでいいで賞』114

 夕べ、おばあちゃんからそういう名誉ある賞をいただいた。
 ボクの小説『十六団子』の読み聞かせを終えた時だ。
 小説は長編なので、この朗読にはかなりの時間がかかった。
 ボクが読んでる間、彼女たちは裁縫の手を動かしながら、真剣に、時に大爆笑しながら聞いてくれた。
 自分ではすごく良く書けた小説だと思ってるんだけど、ある賞に応募したらボツになった。
 規定枚数の倍もあったので、もしかしたら下読みさんにすら読まれなかったのかもしれない。読む以前にダメだったのかもしれない。門前払い。
 さすれば、この『十六団子』の読者はボクしかいなかったわけだ。かわいそうな『十六団子』。
 こうやってこのコーナーに載せても、果たしてどれだけの人が読んでくれているのか・・・。
 でも、今回確実に妻とおばあちゃんは読んだ。というか読み聞かせた。読者が少なくとも3人になった。
 そして、反響もボクが想像した以上に大きかった。みんな大満足。ホントホント。
 何かの新人賞をもらったり、本になって印税が入ったり、果ては『直木賞』だの『芥川賞』なんてヨコシマなことを考えるより、こうして好きに小説が書けて、好きな人にだけ読んでもらえればそれでいいんじゃないかと思った。負け惜しみじゃなく。
 おばあちゃんからいただいた「これでいいで賞」! 副賞は『鶏五目ご飯』!
 サイコーに名誉ある賞だね。

 (2011.05.28)   △このページのトップへ

『なんという事務所だ!』113

 AM5:30である。
 代表はトトトトトトトト・・・を始めた。
 執事はコーヒーをいれた。
 掃除婦は床にモップを掛けている。
 なんという事務所だ!
 業務命令ではない。
 皆、自主的に起きて黙々と自分に与えられたタスクを遂行しているのだ。
 なんという事務所だ!
 素晴らしい!
 ボクはこの事務所の執事であることを「誇り」に思う。
「や、まで早く起きなくてもいいんでないの?」
 掃除婦に言われた。
「そーゆーおばあちゃんこそ!」

 (2011.05.28)   △このページのトップへ

『ハチの巣、キモコわり〜!』112

 男子トイレから見える隣の家の庭に栗の木があります。
 ボクはチョロチョロしながら何気なく外を見ていました。
「何だ、あれ?」
 栗の木にかけた巨大な「ハチの巣」の周りを、ブンブンすごい数の「アシナガバチ」が飛んでいました。
 ボクはそのことを2人に教えました。
「外に出るときは気をつけてね! あれ危ないよ」
 それから2時間くらいして、またチョロチョロやりながら外を見ると、巨大なハチの巣は陰も形もなくなっていました。
 ボクは狐につままれたように立ち尽くしてしまいました。
「どーゆーこと?」
 おばあちゃんはボクに言いました。
「あんだボケだんでねえ? ああ、キモコわり〜!」

 (2011.05.27)   △このページのトップへ

『晩酌トリオ』111

 「歩いて4歩の居酒屋」に新しい「常連客」ができました。
 もちろん「お」と「ば」と「あ」の付く方。
 彼女の注文は「とりあえずビール」のチビグラス。
「かんぱ〜い!」
 常連3人は毎日祝杯をあげるのです。
「私クセになったらどうしよう?」
 大丈夫、もう十分クセになってるよ!

 (2011.05.27)   △このページのトップへ

『帰るの延期?』110

 おばあちゃんのお帰りが少し延びるかもしれません。
 代表の仕事とボクの仕事が急に忙しくなったため、月末には連れて行けない可能性が出てきたからです。
 しかもその頃「台風」が来そうということで、順延は間違いないでしょう。
 おばあちゃんは複雑な表情を浮かべておりましたが、この方「踏ん切り」のいいところがあって、さっきスーパーAMANOで大量の「おやつ」を買い込んでおりました。
 買い物カゴには、しっかり「アッシュのえさ」も入っておりましたが・・・。

 (2011.05.27)   △このページのトップへ

『プレッシャー!』109

 今、こうしてエッセイを書いていて、ものすごいプレッシャーを感じている。
「わあい、今日は読み聞かせ、読み聞かせ!」
 「十六団子」にはまっているおばあちゃんは、「早く! 早く!」オーラを送っている。
 すみません。この辺にして読んであげなければなりません。
 おばあちゃんは本当にはまっているんです。
 声、枯れてます、ボク。

 (2011.05.27)   △このページのトップへ

『運動会のお弁当』108

 5月29日は、馬場目地区の大運動会。
 ボクの母校、馬場目小学校が近々統合されるので、今年が最後の運動会らしい。
 村の3役のボクは、6時に集合してテント設営。
 出場者が少ないので、競技にも参加することになるだろう。
 おばあちゃんと妻は、裏方でそんなボクを支える役目を担っている。
 つまり「お弁当作り」である。
 そのメニューを決める会議が夕べあった。
 卵焼き、海老フライ、レンコンのきんぴら、ごぼうと人参とササギを肉で巻いた煮物・・・。
「すげえ!」
 おばあちゃんの手作り料理が盛りだくさん!
 材料の手配を見ていてボクが言った。
「そんなに食えないよ」
「違うよ、私たちの分もだよ」
 ・・・。
 そーゆーことか。

 (2011.05.27)   △このページのトップへ

『裏切り者』107

 「チャレンジデー」でラジオ体操をやって「キモコ」よかった。
 味をしめたボクたちは、「これ、毎朝やろう!」ということになった。
「や、の運動会もあるし、その時に足がつらないように」という、おばあちゃんの配慮もあった。
「明日からやるよ! 6時起床! 寝てたら私起こすからね!」 
 おばあちゃんは大張り切りだった。
 ・・・今朝になった。
「あっ!」
 ボクたちが目が覚めたのは7時半。
「やべっ!」
「でも、おばあ起こさなかったとこ見ると、あっちも寝てるよ」
 と、と、ところが・・・。
 彼女はしっかり起きていた。
「あ〜寝坊した〜」
「あれ? 私はしっかり体操したよ」
 うそ! 自分だけ?

 (2011.05.27)   △このページのトップへ

『悲しいお知らせ』106

 悲しいお知らせがあります。
 おばあちゃんが帰ってしまうのです。
 今月いっぱい。
 彼女が帰りたくなっているのは、ボクたちが彼女に「老女虐待」をしたから・・・ちゃうちゃうちゃう、してない、してない!
 それはね。
「どうしても6月10日までに衣替えをしなくちゃならないの!」
 という、男のボクからみれば「どーでもいいじゃんよ! そんなこと」と思えるようなことなのです。
「どうしてもそれが必要だったら衣類をみんな送ってもらえばいいじゃん!」とボクが言っても、おばあちゃんは頑として帰るというのです。
 妻は、「これは女にしか分からない習性みたいなもの」と言うのですが・・・。
 そんなわけで、あと5日ほどで『平成版サザエさん』は終わってしまうことになりました。
 東栄、残念だべ? オラも残念だ。

 (2011.05.26)   △このページのトップへ

『待っている女』105

 ヘヘーヘイ! ヘヘーヘイ!
 五木ひろしの歌にそんなのがあったかと思う。
 こっちの「待っている女」は、肩すぼめ襟を立て・・・ているわけではない。お茶とまめ大福をテーブルに用意しつつ、堂々と椅子に座って待っている。
 彼女が待っている男は決してニヒルなヤツではない。風呂上がりの湯気の上がった「のぼせ男」である。
「さっ、また『十六団子』読んでけらいん!」
 女はそう言ってキラキラした目を男に向けた。
 男は濡れた髪を乾かすこともできないまま、黙って「第2部第1章」を開くしかなかった。

 (2011.05.26)   △このページのトップへ

『何杯食っただろう?』104

 昨日書いたように、夕べの夕飯はおばあちゃんの1ヶ月滞在を記念して、おばあちゃんによる、おばあちゃんの手作り料理の決定版『鶏五目ご飯』&『おくずかけ』だった。
 ここに来て3回目。
 ご飯は4合も炊く。汁は大鍋で煮る。
 夜と次の日の朝のおにぎり、さらに昼までぶっ通しで食べ切る。
 昨日は早朝から肉体労働(ラジオ体操)をやったこともあって腹がバカになっていて、妻は『鶏五目ご飯』を4杯おかわりした。ボクは2杯。
 『おくずかけ』は3人とも2杯おかわりした。
 この分でいけば、妻は合計30杯以上の『鶏五目』と40杯以上の『おくずかけ』を食べることになるだろう。
 妻はしばらく体重計に載らないと言っている。

 (2011.05.26)   △このページのトップへ

『キモコ悪り〜』103

 何だったか忘れたけどちょっとした失敗をしたおばあちゃんが、この間こんなことを言った。
「あらあ、私ボケたんでねえべが。ああ、キモコ悪り〜」
「えっ?」とボクは思ったが、妻はただ笑っていた。
 ボクが分からなかったのは『キモコ悪り〜」という言葉の意味だった。
 石巻弁かと問うと、妻は「違う違う、おばああちゃん弁よ」と答えた。
 意味は何となく分かるでしょ?
 今、この「キモコ」が2人の間でブレークしている。「キモコいい!」とか「キモコ悪り〜!」とかって使う。
 夕べお風呂から出て、
「ああ〜、キモコいい〜!」
 とボクが言った時のおばあちゃんの反応がおかしかった。
「少し熱かったんでない?」
 つまり自然に聞き流されてしまったのである。
 笑ってほしかったのに・・・。

 (2011.05.26)   △このページのトップへ

『おばあちゃん滞在1ヶ月記念日』102

 被災地石巻から慰安を求めて秋田へ・・・。
 それは1ヶ月前の4月25日のことだった。
 今日は滞在1ヶ月の記念日です。
 記念日に何を食うかということになった。
「おばあちゃんの『鶏五目ご飯』!」
「セットで『おくずがけ』!」
 そーゆーわけで、3度目のおばあちゃんの手料理に決定!
 えっ? 逆?
 いいの、いいの。
 本人も喜んでんの!

 (2011.05.25)   △このページのトップへ

『チャレンジャーたち』101

 今日5月25日は『全国一斉チャレンジデー』であった。『どでしたデー』ではない、『チャレンジデー』!
 「スポーツの力で日本を元気に!」をスローガンとして、地震により被災された多くの方々にスポーツでエールを贈ることを目的に開催! とくれば行かずおれまい!
 朝6時に起きて妻と参加した。村の農村公園。
 大仰なスローガンの割に、実際やったのは「NHKラジオ体操」15分だった。
 村の体育部長ヨシカズくんの話では、集まっても2〜3人だべということだったが、なんのなんの20〜30人は集まっていた。
 しかも、ほとんどが「入れ歯のおばあさんたち」であった!
 そこに交じってボクたちも体操をしたのであるが、こっちはギコギコ、あっちはスイスイ。
 特に、村一番の働き者ヤスさん(推定年齢80歳)などは、体操の選手が平均台でやる「手を横に開いて足を大きく後ろに上げるポーズ」を軽々と実践していた。ホントすごいの!
 役場のマキちゃんが体操の指導に当たったのだが、彼は最後に「こーやってこーやって元気に帰りましょう!」と言った。
 「こーやってこーやって」というのは、「手と足を思いっきり上げて」ということであった。運動会の行進とかでやるやつ。
 それを忠実に守って歩いている元気なヤスさんに後ろから声を掛けると、彼女は前歯のない面白い顔でこう言った。
「たまにこうやって体動かさねばダメだなあ」 
(あんたやってる、いつも十分やってる!)
 家に帰ったらもう1人チャレンジャーがいた。その方は被災地の方だった。
「私もここでラジオ体操やってたよ!」

 (2011.05.25)   △このページのトップへ

『十六団子読んでけらいん!』100

 昨日おばあちゃんにそう言われた。
 しかも、あれだけ大好きな「シアタータイム」を返上してである。
「そんなにおもしろいんだったら、私さも読んで聞かせてけらいん!」と言うのだ。
 ちょうど全編をUPしたところだったので、謹んで作者自ら朗読することにさせていただいた。
 8時から11時半まで、3時間半もぶっ通しで読んだ。その間2人は裁縫していた。
 声色を変えつつ熱を込めて読んだので、のどがガラガラになった。
 ときどき2人の笑い声が響くと、ボクはたまらなくうれしくなった。
「ありゃ! 今日はおやつ食わなかった!」「お茶も飲んでない!」
 みんな、それほど集中していたのだ。
「裁縫はかどる」とも言われた。
「明日は日中も読んで!」と、妻にリクエストされた。「朗読会の時、招待してね!」とおばあちゃんにも。うれしいな! わ〜い! でも・・・。大丈夫だろうか?
 何しろ3時間半読んだのに、まだ第1章の中程なのだ。これ長い長い小説なのよね。のどは大丈夫だろうか? 体力は続くだろうか?

 (2011.05.24)   △このページのトップへ

『規則正し過ぎる生活』99

 朝7時キッカリ。
 グィ〜ン! グィ〜ン! グィ〜ン!
 その音は2日に1回鳴る。なぜか? 掃除機は2日に1回とおばあちゃんが決めたからである。
 それ以外の日はモップとローラーになる。いくぶん静か。
 それが終わると洗濯機を回す。これ毎日。それから顔を洗いお化粧をする。
 その間ボクがやることといえば、脱糞とコーヒーいれることと、おにぎりをチンすることだけだ。
 真面目過ぎる。きれい過ぎる。規則正し過ぎる。
 今、起きてきた妻が言った。
「働き者過ぎるね!」
 やっぱり「過ぎる」が付いた。 

 (2011.05.24)   △このページのトップへ

『ポヤ子ちゃん』97

 さっき『生鮮市場ダイサン』という店で買い物をした。もちろん3人で。『どでしたデー』だったくせに、スーパーAMANOではあんまりいい刺身がなかったからだ。
 おいしそうなカツオとブリの刺身を買ってレジへ。
 妻が払ってる間に、ボクはそれをレジ袋に入れていた。
 支払いを終えた妻がボクのところに来て、近くにあったカートに手を掛けた時だった。
「あっ! それ!」
 隣で袋詰めをしていたおばさんが叫んだ。
 そのカートはおばさんのだったのだ。
「すいませ〜ん!」
 妻が謝ると、おばさんは「いいですよー!」とニコッと笑って言った。
 ボクは、自分のカートを押して出口に向かった。
 出口で待ってたおばあちゃんが不思議そうに言った。
「あんだだづ、なして2台も・・・」
 後ろを見ると、妻が顔をまっ赤にして空のカートを押していた。
 ポヤ子ちゃん。 

 (2011.05.23)   △このページのトップへ

『さらに侵出するおばあ』96

 ここんとこ毎日、確実に観ている昨日のシアタータイムでのこと。
「今日、何観ようか?」ということになった。
「何でもいいよ」と、いつもは言っているおばあちゃんだったが、昨日はこんなことを言った。
「私、一回あれ観たいと思って・・・」
「えっ、何、何?」
「ローマの休日」
 洋画だった!
「字幕大丈夫?」
「吹き替えじゃないよ!」
 ボクたちがそう言うと、おばあちゃんは余裕の顔でこう言った。
「私、字幕読めるもの」
 オ〜! やるなあ、おばあ! 通好みだなあ〜!
 かくしてそれを観ることになった。
 観終わって、満足した顔でおばあちゃんは言った。
「やっぱし吹き替えではダメ! 本人の声聞かねばおもしぇぐね!」
 歯磨きをしながらこうも言った。
「グリゴリペックって人、案外太ってだっけなあ・・・」(うちのテレビが横長に見えるせいだろうけど)
 おばあの「映画熱」は洋画にまで侵出している。恐るべし!  

 (2011.05.23)   △このページのトップへ

『寝坊だよ』95

 ボクが7時半ごろ出社すると、おばあちゃんはすでに黙々とモップをかけていた。
「早いね!」と言うと、
「今日は遅いよ」と言って笑われた。
 彼女が「遅い」とするならば、もっともっと遅い人がまだ寝ている。
 あっ、でも「代表」だからいいのか。社長出勤だもんね! 

 (2011.05.23)   △このページのトップへ

『ゴロッとした顔』94

 代表は裁縫事業部に出向して、ボクの椅子用の『座布団カバー』を制作してくれました。ありがとう、代表!
 本当は寸法を間違えたのだが、それを『袋縫い』というテクニックで克服し、たった今完成したのである。
 もったいなくて、おこがましくて、ケツ載せられないよね。

  見よ、このゴロッとした顔を!

  厳しい事業部長の指導のもと・・・。 

  こっちが表。これ全部つぎはぎしました!

 (2011.05.22)   △このページのトップへ

『味噌トリオ』93

 おばあちゃんとは、2006年、2007年、2009年ときて、今回が4度目の味噌作り。
 お互いすっかり自分の持ち場を理解している。役割を理解している。しかもチームワークもサイコー!
 作業時間たった1時間で、1年分の『自家製うまうま味噌』ができてしまった。『写真コーナー〜味噌ミソコンビ〜』はこちらです。
 作業が終わり、ヨーグルトを飲みながらおばあちゃんが言った。
「今回で4回目でないよ。2回目だよ」
 写真コーナーを見て確認すると、確かに4回目だった。
「ありゃあ、私ボケ気味なんででねえ。キモコ(気持ち)わりっ!」

  

 (2011.05.22)   △このページのトップへ

『事業部制』91

 弊社の新事業部のことを以前書いた。
 裁縫事業部のこと。
 しかし、こうして生活していると、まだまだ「事業部」と呼んでいい部署があることに気付いた。
 村の三役をやっているボクとしては、村の事業部を例にとりながら、弊社の事業部制を考察してみたい。
 まず、村には『環境衛生部』というのがある。弊社におけるこの分野の部長は、1も2もなく「おばあちゃん」であろう。彼女のお陰で仕事部屋はいつもピッカピカ!
 次に、『体育部』。この部長はどうしたってボクであろう。大したことやってないが、『卓球大会』の執行責任者ということで抜擢していただきたいものだ。
 あと、『文化部』というのがあるが、これはそうだな。代表ってとこかな。映画とか読書とかそーゆーことにリーダーシップを取ってるからな。
 『山林土木部』については該当なし。最も苦手な分野だから・・・。
 『納税部』については・・・。
 ああ、はっきり言って仕事ないです、これ。 払うものないから・・・。

 (2011.05.22)   △このページのトップへ

『以心伝心』90

 買い物中、おばあちゃんは突然いなくなる癖がある。
 何か欲しいものを思いつくと、ボクたちに何も告げずに消えてしまうのだ。
 昨日もスーパーAMANOで買い物をしている途中、突然いなくなった。
 まあ、いつものことだからと思って、ボクたちは買い物を続けていた。
「そのうち戻ってくるわよ。それより今日のシアター用のデザート何か買わない?」
「いいね。どら焼きなんかどう?」
 ボクらは、生クリームとあんこの入った『どら焼き』を3個カゴに入れた。
 ややあって、おばあは戻ってきた。手に何やら茶色いものを持っていた。
 見るとそれは、ボクらと同じ『どら焼き』だった。以心伝心。
 ただそっちには栗が入っているらしく、包みに『栗』と書いてあった。
 ボクらのほうがやや大きく、値段は118円。栗入りどら焼きは98円だった。
 おばあは、しばらく2つを見比べていたが、
「そっちにすっぺ!」
 と言って、そそくさと自分の『どら焼き』を戻しにいったのだった。 

 (2011.05.21)   △このページのトップへ

『手ぐすねシアター』89

 風呂から出ると、おばあちゃんはしっかり座っていた。シアター特待席に。
「今日は9時からだっちゃ!」
 と言われた。
 1分前だった。
 本人は一番風呂に入ったので、髪も乾かし余裕で氷水を飲んでいる。
「わあ〜、楽しみだなあ〜」
 ボクの髪は濡れている。
「あっ、9時なるっちゃ、ほれっ!」
 ドライヤーを持った手を置くしかなかった。

 (2011.05.21)   △このページのトップへ

『味噌汁の詩』88

 ボクはお風呂で歌うクセがある。
 昨日はなぜか『味噌汁の詩』を歌っていた。
 たぶん茶の間で、「そろそろ味噌を作んなきゃね!」という話をしていたからだろう。単純なのだ。
 大きな声で、歌は佳境に入っていった。
「忘れちゃならねえ、男意気〜」
 歌い上げた。その時だった。戸の向こうで声がした。
「いいぞっ!」
 おばあちゃんだった。

 

 (2011.05.21)   △このページのトップへ

『本腹と別腹』87

 お昼に『ブリの照り焼き』を食べた。
 おばあちゃん大満足!
「こういうの食べたかったぁ〜!」
 と言った。
 こんなんでよければ、どんどん食べさせるよ〜。
 さて、そのあと代表がこんなことを言った。
「ああ、甘いもの食べたい!」
 本腹は満腹なのに、別腹が減るのだという。
 そう言われると、ボクも何だか無性にチョコレートかケーキが食べたくなった。
 長い「おばあちゃんとの同居生活」で、腹が自然にそういうモードになっているのだろう。
 甘いものを探したがなかった。おばあちゃんの部屋をのぞいた。
 あった! サツマイモ4本!

 (2011.05.20)   △このページのトップへ

『エリート』86

 被災地では、仕事がある人はエリートだと誰かが言っていた。
 なるほど。
 ボクの周りにもそういう人がいる。
 鈴木東栄氏のメール。

 ヤッシ、自慢だけど5月9日から、7月7日まで休みがないのよ。趣味の多い俺の平日の唯一の楽しみは(1)お前のブログを読む事(2)山平が上京するくらいしかないのよ。(2)が、6月上旬に実現します。この2つがなければ、山手線に喧嘩を挑んでいましたね(笑)(笑)。

 その「あるまんど山平」もまた、ゴールデンウィークからよく働いているようだ。被災地にも行って演奏している。
 みんな、そういう意味では「エリート」と言える。
 もっと身近にも「エリート」がいる。代表とおばあちゃん。おばあちゃんなどは「超エリート」だろう。
 そんな「エリート」に囲まれながら、ボクは・・・。
 ボクは・・・。
 明らかに・・・
 落ちこぼれている。

 (2011.05.20)   △このページのトップへ

『裁縫事業部』85

 ことなひまめ事務所に新しい事業部ができました。
 裁縫事業部です。この新事業の成否が当事務所発展のカギになりそうな気配です。
 事業部長はもちろん高橋桂子さん、78歳。
 『現場第一主義』の代表は、自ら現場に足を運びその立ち上がりを手伝っています。
 現場視察を終えた代表は、ボクに向かってこう言いました。
「真面目な社員だなあ。給料やってないのに・・・」
 少なからず給料をもらっているボクは、その言葉にドキッとなりました。

  

 (2011.05.20)   △このページのトップへ

『おばちゃんはシアタータイムがお好き』84

 3人で観た映画を列挙してみましょう。

 『ウホッホ探検隊』 (根岸吉太郎 監督 森田芳光 脚本 田中邦衛 十朱幸代 他)
 『地の涯てに生きるもの』 (森繁久彌 他)
 『箱根風雲録」(山本薩夫 監督 河原崎長十郎 他)
 『鏡の女たち』(田中好子 岡田茉莉子 他)
 『名もなく貧しく美しく』(松山善三 監督 高峰秀子 小林桂樹 他)
 『みんなの家』(三谷幸喜 監督 田中邦衛 他)
 『雨あがる』(小泉尭史 監督 寺尾聡 宮崎美子 他)
 『無法松の一生』(稲垣浩 監督 三船敏郎 高峰秀子 他)
 『黒い画集』(松本清張 原作 小林桂樹 他)
 『東京暮色』(小津安二郎 監督 笠智衆 有馬稲子 原節子 他)

 では、観ながら3人で食べた「おやつ」を列挙してみましょう。

 『シュークリーム』
 『バームクーヘン』
 『キャラメルコーン』
 『鏡せんべい』
 ・・・やめた。
 有り過ぎてムリ!

 (2011.05.20)   △このページのトップへ

『おばあちゃんアート』82

 縫製工房でいろんなものを作っているおばあちゃんだが、今日はこれを紹介します。
 こないだ秋田に行った時、土崎ジャスコで買ってもらった『電動もみもみクッション』のカバーで〜す。
 ちなみにこのクッション、すごく気持ちいいの。ボクの腰痛解消グッズ!
 で、おばあちゃんにも6月30日の誕生日にプレゼントすることにしてるのね。

    

 (2011.05.19)   △このページのトップへ

『縫製工房の職人さん』81

 おばあちゃんは、またしてもボクたちにツラレて7時半頃起きてきた。
 そして、突然こんなことをやり始めた。
 なんと! カウンターテーブルを作業台にしてエプロンの制作に入ったのだ!
 この分では、そのうち『ドレス』を作ると言い出すに違いない。
 ボクも、U子の結婚式用の『タキシード』でも作ってもらおうかな。

    

 (2011.05.19)   △このページのトップへ

『5時に起きてしまった執事さんの失態』80

 失態をしました。
 代表よりあとに出社してしまいました。うかつだったあ〜。
 代表も代表です。
 5時起きでいいって言ってたじゃないですか!
 それを急に抜け駆けするなんて・・・。
 約束どうり起きたボクが、まるで大遅刻したみたいじゃないですか!
 執事失格みたいじゃないですか!
 超急ぎ案件をトトトト中の代表に、ボクは今、あったか〜いモーニングコーヒーをいれて持ってきたところです。
「コーヒーおいしい!」
 その一言で、代表が怒っていないことを知って、執事はちょっと安心しました。
 あっ、「掃除婦兼お茶汲み係」ですか? 彼女はね、ククッ、まだ寝ているようですよ。
 甘いな。まだまだだな。

 (2011.05.19)   △このページのトップへ

『軍茶利明王(くんだりみょうおう)』79



 この人が軍茶利明王(くんだりみょうおう)です。
 軍荼利明王(クンダリ)は成立過程がはっきりしませんが、名前の通りクンダリーニの力を象徴したものではないかと思われます。一面八臂です。
 五大明王中南方に位置。軍茶利とは梵語「クンダリ」を音写したもので、言葉の意味は「とぐろをまくもの」となっています。特徴として身体の各部に蛇が巻き付いています。
 この明王は主に、目に見えないが我々に悪さをする子悪魔を懲らしめると伝えられています。

 話は全く変わりますが、ボクは今日「五城目衛生社」というところにお願いして汲んでもらいました。2,940円分。
 そしてたった今、衛生社のおにいさんは帰っていきました。
 直後ですから激しく臭いです。
 たまたま自室で裁縫をやっていたおばあちゃんですが、その部屋が最も臭いと思われます。トイレに最も近いですから。しかも、不覚にも彼女は戸を開けっ放しでした。
「おばあちゃん、臭くない?」
 鼻をつまみながらボクらが聞くと、彼女はこう言いました。
「大丈夫。臭くないよ」
 えっ! 「耳」の次は「鼻」? フト心配になりました。
 あっ、そうそう、写真の人忘れてた。
 あのね、妻がこんな面白いことを言ったのね。
「くんだりみょうおう、クンダラニーオウ、汲んだら臭う!」
 うまい!
 「クンダリ」の意味が「とぐろをまくもの」っていうのも何だか・・・言い得て妙!

 (2011.05.18)   △このページのトップへ

『イモ天、ナス天』75

 昨日、おばあちゃんは「耳大丈夫宣言」で気を良くしていた。
「私がご馳走すっから!」
 そう言って、診察後、今回で2回目となる『釜揚げうどん』へ。
 すっかり要領の分かったおばあちゃんは、長い「天ぷら回廊」を自信満々に進んでいった。
「さあ、食べよう!」
 となった時、おばあちゃんはチョイスした自分の天ぷらを箸でチョンチョンしながらこう言った。
「あれっ? これ変な形したイモだなあ」
 それはイモではなかった。「ナス」だった。

 (2011.05.17)   △このページのトップへ

『サイアクな夜』74

 今回のおばあちゃん滞在期間のおける、待ちに待った最大級のイベントが企画されていた。
 夕べはサイコーの夜になるはずだった。
 「わかば」で買ってきた「フィレステーキ」にからし醤油をつけて食べながら、おいしいワインを飲み、シアタータイムでは『無法松の一生』を観て、オリちゃんにもらったバームクーヘンを食べるはずだった。
 それが・・・。なんてこった!
 そうだ、すべてはアレから始まったんだ、アレから。

 ボクがステーキをまさに焼き上げようとしていた時だった。その訪問者はやってきた。
 土木山林部長のテンシサマ氏だった。
 ボクがおととい半日もかけて作ってあげた「共同作業の通知文」に、マサショーリュー氏がケチをつけたとのことだった。
「差し止め食らってよう。なんとが作り直してけにゃすか」
 と彼は言い、修正箇所をあれこれ指示した。
 だったら自分で作れよ! そう思いながら、彼の話を聞いていた。
 ステーキが気になっていた。待っている家族の顔が気にかかっていた。だんだんボクは憤慨してきた。
 しばらくして彼が帰ったあとも、ボクの憤怒は収まらなかった。
 すっかり冷めたステーキをもう一度焼き直して食べ始めたものの、ボクのテンションは高まるどころかどんどんしぼんでいった。奈落の底に落ちていた。
 やり場のない怒りに身を任せてガツガツ肉を切り、どんどん口に運んだ。ゼッンゼン味も素っ気もなかった。そして、そのままふてくされた態度で寝てしまった。
 妻もおばあちゃんも、何事が起こったのか分からずポカンとしていた。あとで聞いた話では、おばあちゃんは「私が自分のもやしをやったせいだべが?」と、トンチンカンな責任を感じていたそうだ。
 夜中に腹痛で目覚めた。消化不良の下痢だった。何度もトイレに立った。
 もう何もかも嫌になった。
 サイアクな夜。悪夢のようなディナー。
 今朝起きて、またしてもにっくき町内会の雑用をこなしながら、何となくしらけ切っている職場の雰囲気を肌で感じている。
 いづい・・・いづらい。
 謝ろう。そうすれば楽になる。
 ごめん・・・。

 (2011.05.17)   △このページのトップへ

『耳は何でもなかったよん』73

 「くみあい病院」は朝7時から受付している。さすがJA関係の病院だなあ。
 ボクたちはそんなに早くは行けなかったが、それでも9時過ぎには着いた。
 待たされること3時間、その間、ボクは暇を持て余して、本棚にあった『乳幼児向けの絵本』を13冊読んだ。
 お昼前にやっとおばあちゃんの診察が終了。
 結果、ぜ〜んぜん、な〜んでもないことが判明した。よかった、よかった。
「な〜んだ。ドキドキして損した」
 おばあちゃんはそう言った。こうも言った。
「薬ひとつ出ないのに、3時間も待ってバカみたい」
 この、このー! 強がっちゃって!

 (2011.05.16)   △このページのトップへ

『おばあちゃんドキドキ』72

 今日はこれからおばあちゃんを病院に連れて行きます。
 朝から彼女、ドキドキしているようです。子どもみたい。
 今は良くなったようですが、震災後、聞こえなくなった『耳』を診てもらうためです。
 場所は、ボクが『尿管結石』の時お世話になった『くみあい病院』。
 そのあと、また『釜揚げうどん』を食べて、買い物をして・・・。
 では、またあとでね。

 (2011.05.16)   △このページのトップへ

『ことなひまめ事務所の現状』70

 一心不乱のものすごい集中力!
 全員がライバル!
 闘志あふれる職場! 
 やる気みなぎる戦闘モード!
 自立心と協調性の共存!
 一糸乱れぬチームワーク!
 甘えを許さぬ業務完遂意識!
 おやつを寄せ付けぬ自己抑制力!

 以上、職場の現状をキャッチコピーでリポートしてみた。

 (2011.05.15)   △このページのトップへ

『怒り心頭に達す!』69

 日曜だというのに、朝も早よから・・・。
 グィ〜ン、ガダゴド、グィ〜ン、ガダゴド・・・。
 なのであった。ああ・・・。(これ嘆息、ため息)  
 昨日は、7時から10時半まで『いたって真面目な村の役員会』があって、それから風呂に入って寝たものの、なかなか寝付けなかったボクは、寝不足の目をこすって床を出た。
 ボクの怒りは頂点に達していた。
「ちょっと、おばあちゃん!」 
 グィ〜ン、ガダゴド、グィ〜ン、ガダゴド・・・。
「おばあちゃん!!」
 グィ〜ン、ガダゴド、グィ〜ン、ガダゴド・・・。
 掃除機の音で聞こえないらしい。ばあちゃんの肩をツンツンつついた。
「んぇ?」
 おばあちゃんが、つぶらな瞳でボクを見た。
「おばあちゃん」
 トーンが落ちた。
「あっ、や、おはよ!」
 おばあちゃんが笑って言った。
「あっ、おはよう」
 トーンがもっと落ちた。 
「なしたの?」
「えっ?」
「何が用あった?」
「ああ・・・家中・・・」
 ボクはきれいになった廊下を見ながら言った。
「ピカピカだねえ!」

 (2011.05.15)   △このページのトップへ

『ここは被災地ではな〜い!』68

 昨日、風呂に入る予定だったのに、時間が押して入らなかった。
 3人とも、3日も入らなかったことになる。
 非常に不本意なことになっている。  
「だって、私は1ヶ月も入らなかったんだよー」
 おばあはそーゆーが、断じてここは「被災地」ではない!
「頭かゆー!」ボクが言うと、妻は、
「あ〜あ、くさ男とくさ子になっちゃったあ」と切なく言った。
 それを聞いておばあちゃんのセリフがふるってる。
「私は『くさババ』だっちゃ!」

 (2011.05.14)   △このページのトップへ

『ボクはアッシュではない!』67

 またしても「おばあ」のネタ。
「アッシュ!」
「えっ?」  
「あっ、アッシュでね。や、だった」
 アッシュとは、石巻のイヌである。

 7年前のアッシュ君と。

 (2011.05.14)   △このページのトップへ

『掃除婦兼お茶汲み係』66

 またしても「おばあ」のネタ。
 代表に超急ぎの案件が入ったため、昨日は突然「8時まで残業命令」が下った。
 こーゆーこと、つまり「5時には晩酌タイム」が崩れることは極めて珍しいことなのだが、そーゆー切迫した場面を見るのが初めてのおばあちゃんは、「いいよー、私腹へってないもの」と余裕を見せながらも、狼狽していたようだった。 
「私、イモいっぱい食ったもの」とも言っていた。確かにイモはたくさん食っていた。
 トトトトトトト・・・と打ち続ける代表の隣で、おばあちゃんも裁縫の手を忙しく動かしていたが、何かにひらめいたように立ち上がった。
 そして、すぐ帰ってきた。 
 不可解な行動の意味はやがて分かった。
「何か協力すっぺど思って、お湯は湧かしたんだけど、急須が分からなくて・・・」
 お疲れさん! の乾杯をしながらおばあちゃんは言った。
 そうなのだ。彼女はお茶を出そうとしていたのだ。
「何かせずにはいられなくってさあ」
 ありがとう、おばあちゃん!
 代表は、素早く急須の在り処を教えていた。ちゃっかりしてる、この人。
 おばあちゃんの任務がまた一つ増えた。

 (2011.05.14)   △このページのトップへ

『何度も何度もチンしてます』65

 サツマイモはおばあちゃんの大好物。
 それをレンジでチンッ!
「私の研究では、ストーブの上ではグチャグチャになるから、これが一番いいの」 
 そうゆーことらしい。
「チンする時間がポイントなの」
 おばあちゃん、さっきから何度も何度もチンチンチンチンしてます。微調整?
 出来上がったイモがこれですが、熱い熱いと言ってなかなか持てない妻は、ハフハフしながらすでに半分以上食べているボクたちに向かって言いました。
「あんたたち、よくそうやって持てるね!」
「さあね、手の皮が厚いか、それとも食い意地が張ってるんじゃない?」
 ボクがそう言うとおばあちゃんは、口をモグモグさせながら、
「私は後者!」
 と言いました。やっぱし!



 ちなみに、おばあちゃんは一番手前のイモを食べました。でげぇ!
(追記)あとで分かったのですが、真ん中の長いのも半分食べたそうです! どんだけぇ?

 (2011.05.13)   △このページのトップへ

『一歩進んだ局面』64

 いつもいつもの「おばあちゃん」の話題。
 毎年,春と秋におばあちゃんを連れてきて、1週間〜10日くらいの休暇を秋田で過ごしてきた。
 その場合、ボクらはその期間、全面的に休みを取っていた。
 ホストとして、完璧にゲストをお迎えするための準備をしてきたわけだ。
 もっとも、以前にも書いたように、掃除や炊事など、おばあちゃんを「こき使う」ことも多く、そういう意味では「ホスト失格」ではあったが・・・。
 ところが、今回は滞在期間がすでに3週間、過去最長となっている。
 しかも、ボクらの仕事が始まっている。
 おばあちゃんは、「のほほん」としたゲスト気分ではいられなくなった。
 共同生活の「一歩進んだ局面」に入っているわけ。
 ボクたちがパソコンに向かって真剣に仕事をしている部屋に、生地の切れ端を持ってきたおばあは、大きな断ち切りばさみを持って「ジョギジョギ、ジョギジョギ・・・」とやり出した。
 ボクたちの熱気にほだされて、自分も何かやらなければ! と思ったのだろう。
 ヘッドホンを耳にしている妻には、その音が聞こえない。でも、ボクの耳はふさがってない。
「っさい!」
 チラッとそう思うものの・・・不憫でそんなこと言えない。

 (2011.05.13)   △このページのトップへ

『おばあちゃんの味』63

 昨日はトミさん祥月命日だったので、おばあちゃんは張り切って、以下の品目をぜ〜んぶ作った。

 1、ピザトースト・・・これは冷凍しておいて、3人掛ける2日分の昼食となる。タバスコ振って食べるとおいしいよ。
 2、おくずがけ・・・石巻方面の郷土料理。トロ味のあるおつゆ。リカさんが実家でよく作ってくれたが、今回は『元祖おばあ風』である。残り物の野菜を細かく切って、豆腐、椎茸、シラタキなどを入れ、秘伝の味付けで煮込み、最後に水溶き片栗粉でトロ味をつける。味が染み込んだ「まめ麩」が決め手だとボクは思っている。
 3、鶏五目ご飯・・・細かく切った鶏肉と野菜(人参、椎茸など)のダシが絶妙にうまい。鶏肉好きのトミさんはたまらなかっただろうな。

 翌朝とお昼まで食べ続けて完食!
「すっげえうまかったあ!」と、妻絶賛! おかわり、おくずがけ2回、五目ご飯も2回。
「また作って!」とボク。おかわり、同上。
 おばあも「なあに・・・」と言いながら「褒めんなよ、照れるゼ顔」をしている。
 このセットを、あと3回は作ってもらうことを約束した。

    

 (2011.05.13)   △このページのトップへ

『フレッシャーズの失敗』62

 新入社員だから失敗もあるよ。
 気にすんな!
 おばあちゃんは、ボクたちが本格的な仕事モードに入ったため、自分にできる事は何かを自分で発見し、果敢に実行に移している。
 その結果、どういうことが起こっているかというとですね。
 洗濯機が止まらなくなってしまったんです。
 彼女、相当焦ったみたいです。
 ボクたちに声を掛けてはいけない! という判断から、四苦八苦したのち、結局電源コンセントを抜いてしまったようです。
 そーゆーときは、遠慮しないで先輩に聞きな。
 何だか実に初々しいね。
 かわゆいのです。
 また、向こうでガタゴトしてます。
 何かやらかしたようです。
 何だろ?
 洗濯物をぶちまけたのかな?

 (2011.05.12)   △このページのトップへ

『つられて飛び出たおばあちゃん』61

 代表とともに7時出勤。
 いつもならまだ熟睡しているおばあちゃんだが、ボクらにつられて飛び出してきてしまった。
「いいんだよ、おばあちゃん。まだ寝てても」
 ボクがそう言うと、おばあちゃんからは予期していた言葉が返ってきた。
「だれ、あんだ! 私4時から起きてんだけんど、あんだだつうるさいと思って起きなかっただけなんだよ」
 やっぱりそう言うと思った。
 ヘッドホンをして仕事にかかっている代表に、モップを持ちながらおばあちゃんは盛んに話し掛けているが、その会話は成立していない。
 おにぎりを食べながら、やっと一息ついている間も、今こそとばかりにおばあちゃんは話し掛ける。
 なかなか話が終わらない。
「どうれ!」
 と、強引に話をぶった切って、代表はトトトトトト・・・を始めた。
 おばあちゃんは仕方なく、「ごっつおさん!」と言ってモップを持って立ち上がった。
 『掃除婦』の使命感に燃えた目をしている。
 頼もしくも・・・ちょっぴりこわっ!

 (2011.05.12)   △このページのトップへ

『本を読まないとバカになるよ!』60

 これは、昨日晩酌タイムでおばあちゃんが言った言葉です。
「本は想像力をふくらますんだよ」
 とも。
 「本を読まない時代」になって久しいですが、おばあちゃんの意見にボクも賛成です。
 こういう仕事柄、本は読むほうだと思いますが、それでもまだまだ読みが足りない!
 想像力をふくらますためにも、皆さん、本読もうよ!
 そうそう、いい本がありますよ。
 『十六団子』(夏目椰子著)
 なんちゃって・・・。

 (2011.05.11)   △このページのトップへ

『一時はどうなることかと・・・』59

 朝、ボクだけ大寝坊して10時半ごろ出勤しました。
 昨日、飲み過ぎたせいでしょう。 
 こんなことは滅多にないことです。代表とおばあちゃんは、当然のように朝食のおにぎりを食べ終えておりました。
 ボクは恐縮しながら、遅いコーヒーをいれました。
 パソコンに電源を入れました。動きません。
 「うん」とも「すん」とも言いません。
 どうしたの「MAC」ちゃん? 君も眠いの?
 それから今まで、ボクはふたを外してMACちゃんの修理をしてました。かれこれ4時間。
 おじいちゃんからもらった「ハンダごて」まで動員して悪戦苦闘の末、ついにMACちゃんは復活したのでした!
 これがないと、ホームページの更新などWEBに関係した仕事は何もできないので、本当に焦りましたが何とかなりました。
 そんなわけで、やっとエッセイ書けました。

 (2011.05.11)   △このページのトップへ

『怪獣ガラモン』58

 おばあちゃんは若い頃・・・。

  

 『怪獣ガラモン』だった!
 えっ? 分からない?
 『ウルトラQ』に出てた人。
 こーゆー人よ。どう? 似てるっしょ?



 (2011.05.10)   △このページのトップへ

『シアターおばあ』57

 晩酌タイムおよび夕食を8時〜8時半に切り上げ、シアタータイムに移る。
 観るのは、古〜い日本映画。
 NHKのBSプレミアムでやってる『山田洋次監督が選んだ家族の映画50本』を観る。
 昨日は、去年12月に86歳で亡くなられたデコちゃんこと高峰秀子の、『名もなく貧しく美しく』だった。夫の松山善三がメガホンを取っている。
 いい映画だったなあ〜。泣けたなあ〜。
 おばあちゃんが買ったシュークリームを食べながら、じっくり3人で堪能しました。
「あのさっ、明日も観っぺしねえ〜」
 映画を観終えたおばあは、そう言いながら、そそくさと歯磨きをしに行ったのでした。ウキウキした女学生の顔で。
 いいよっ!

 (2011.05.10)   △このページのトップへ

『外食禁止令』54

 大潟村のK歯科に行った。
 大潟村へ行くのは、おばあちゃんが来てから計4回目。
 1回目はまだ花が咲いていなかった道が、2回目は菜の花が咲き始め、3回目は桜が満開。今回はその桜もすっかり葉桜になっていた。
 春から初夏へ。季節の移り変わりを見ながら、ボクらはまたその道を通った。
 2人を『道の駅』に下ろした。ここは3回目。買い物好きのおばあちゃんにはたまらない場所だ。
 『黒味噌ラーメン』というメニューを食べた。こっちに来て2回目の外食だった。「釜揚げうどん」以来。
 うまかった。全員満足。
 ところがギッチョン。
 帰ってきてから妻のお腹に異変が・・・。
「おいしかったけど、お腹に合わないみたい」 
 トイレから戻ってきた妻が言う。
「そうだね。後味がダメだよね」と、ボク。
「2人には悪いけど、私はここで作ってもらって食べるのが一番! 外食禁止、禁止!」
 うれしいこと言ってくれるじゃん、おばあちゃん。 

 (2011.05.10)   △このページのトップへ

『不思議なサイレント・トーク』53

 村に1件の雑貨屋『イトショー』。そこの奥様の名前は「マサコさま」ということは前にも書いたと思う。
 彼女は、ボクのために、タバコをキープしておいてくれ、入荷の際には電話までくれるリッパな方なのである。
 今日、そこにタバコを買いにいった。
「すいませ〜ん、アレありますか? アレ」
 こういう状況なので、ボクの声は自ずと小さくなった。ささやくようなサイレント・ボイス。
 それに答えて彼女はこう言った。ボクよりもさらに声をひそめて、ごくごく小声のヒソヒソ声。
「あっ、あります、あります」
 ボクはもっともっと小さな声でこう言った。手を卑屈にすりあわせながら・・・。
「3個、3個、3個、いいですか?」
「は、は、はい。いいですよ、いいですよ」
 何だかちょっと「やらしい」感じになってきた。
「あっ、ども、ども、ども」
「いえ、いえ、いえ」
 何だかだんだん「昼メロ」っぽくなってきた。ボクはタバコを受け取り、何だかドキドキしながらお金を払った。手が震えた。
「あっ、ども、ありがとう、ご、ご、ございました」
「いえ、また、また、またどうぞ」
 最後まで不思議なサイレント・トークだった。何だったんだ、あれは。
 そのことを、クルマで待っていた妻とおばあちゃんに告げると、彼女たちは死ぬほど笑い転げた。バカみた〜いって・・・。

 (2011.05.09)   △このページのトップへ

『若過ぎ!』52

 妻が宮城学院大学を卒業した時の写真である。
 写っているのはいるのは、卒業式に参列したおじいちゃんとおばあちゃんである。
 若い! ヒュ〜、ヒュ〜!
 妻が昔の写真を整理していたら出てきた。
 もっといろいろ「驚きの写真」が出てきそうである。
 追ってご紹介します。



 (2011.05.09)   △このページのトップへ

『意外と細かかった』49

 いつも石巻でボクのエッセイを楽しみに読んでくれていたおばあちゃん。
 この度の震災で、ネットのシステムが壊れ、いまだに開通していない。
 よって、ず〜っと読めないでいたそうだ。
 で、昨日リクエストにお応えして、ボクがラジオのDJになって読んであげた。
 笑ったり泣いたりしながら聞いていたおばあちゃんだったが、最後にこう言った。
「あのさっ、カッツではなくて『カツ』だよ。それからレンジでチンは5分ではなくて『3分』!」
 意外と細かかった。

 (2011.05.09)   △このページのトップへ

『母の日はかに玉』47

 これが我が家の『母の日スペシャルディナー』。ニセモノのカニと本物のエビが入ってる。
 おばあちゃんは大満足して、
「もう1回食べたいなあ・・・」と言った。
 妻の『お風呂で背中流しサービス』は、おばあちゃんの「私、独りで入ったほうがゆっくりするもの」という拒絶の言葉で、あえなく中止になった。
 よって写真は撮れなかった。
 見たかった? 見たくなかった? ビミョー? 

  

 (2011.05.09)   △このページのトップへ

『そして毛糸は羊になった』46

 ここんとこず〜っと、古いセーターをほどきまくっていたおばあちゃん。
 最後の仕上げはこうなって、こうなって、こうなった。
 これから、これにお湯を通して、毛を真っ直ぐにし、新たなセーターを編み始めるのだという。
 あっぱれ! おばあちゃん! 再生の神様! 平成の知恵袋! いよっ! 日本一!  

       

 (2011.05.09)   △このページのトップへ

『母の日』43

 今日は「母の日」。
 我らが母は、掃除婦を兼任していることもあって忙しい。
 朝から働き者だ。
 掃除が終わってからは、直接弊社業務とは関係のない『毛糸ほどき業務』に取り掛かっている。
 今日は雨なので、玄関でその業務を行うのだという。
「寒くない?」
 代表兼実娘の妻が、気配りの声を掛ける。
「寒ぐね。大丈夫」
 そう言って母はセーターを持った。
 母をこんなにこき使っていいものだろうか?
 せめてもの感謝のしるしに、夕飯にボクは『特製かに玉ご飯』を作ってふるまうことにしよう。
 妻は、お風呂で背中を流すと言っている。
 代表が掃除婦の背中を流す。悪くない光景だ。あとで写真撮って載せたい。
 見たい? 見たくない? ビミョー?

 (2011.05.08)   △このページのトップへ

『掃除婦』42

 ついに弊社も「掃除婦」を雇い入れることができるようになりました。
 弊社の掃除婦は極端に朝が早い。
 朝7時過ぎになると、ブィ〜ン、ブィ〜ンと買ったばかりの掃除機の音がする。
 ガタン、ガタンと物をよける音がする。
「ああ、眠い。掃除婦やってるよ。今、何時?」
「・・・う〜ん、まだ7時過ぎじゃない?」
 ややあって、ボクは起きた。
「あらあ、うるさがったんでね?」
「いやいや、ちょうど起きるとこだったよ。それにしても朝早くからご苦労様です」
 ブィ〜ン、ブィ〜ン!!!
 今日は日曜。休日の早朝出勤なのである。
 ややあって代表のご出勤。
 掃除婦→執事→代表の順に、8時には出社完了となる。
 ほんまんとこ・・・眠い!

 (2011.05.08)   △このページのトップへ

『新しい仕事スタイル』41

 代表は仕事再開、今日は「ニュース原稿の仕上げ」です。
 ボクは、「新小説の執筆」です。 
 おばあちゃんは、晴天の下、桜吹雪を浴びながら、椅子に座って「古いセーターの毛糸解き」です。
 新しい生活習慣は、こんな形での〜んびり始まっています。
 お昼は、夕べ作っておいたおばあちゃんの『ピザトースト』!
 何だかほのぼのといいんですね。この生活も。



 (2011.05.07)   △このページのトップへ

『芋レンジャー』39

 電子レンジを使わない生活に慣れ親しんできた。
 かつて「電子レンジ使わないもん宣言」までしたことがあった。 
 そんなボクたちの前に、突如出現したのがコレ。
 フレッシャーズの必需品らしい。
 おばあちゃんは、この道30年の大ベテランだった。
「芋ふかすのには4分30秒!」
「へえ〜、何本でも?」
「太いもんだと5分くらい。アルミホイル巻いてストーブさ上げておくよりも、フカッとして甘くておいしいんだあ」
 さすがサツマイモ大好きおばあ。今まで何千本食べたことだろう。いや、何万本か?
 ボクらは彼女のことを『芋レンジャー』と呼ぶことにした。

   

 (2011.05.07)   △このページのトップへ

『箱根の湯』38

 箱根の湯はブルーだった。
 オリちゃんからいただいた入浴剤。 
「どれに入ろうかな?」
 とりあえず、1回目は、『箱根風雲録』という映画を鑑賞した関係でこれに決まった。
 おばあちゃん、大満足!

 (2011.05.06)   △このページのトップへ

『シャルル・ババダン改め・・・』37

 『シャルル・ジョルダン』のポシェットを肩にかけたおばあちゃん。
 姿見を見ながら、しみじみ、こう語った。 
「洒落たババダンだっちゃ」

 (2011.05.06)   △このページのトップへ

『学問は・・・』36



春の昼下がり、『学問のすすめ』をひもとく。分厚い!!  



 えっ! 何、何? これ何?



 う〜ん・・・、学問は・・・、学問は・・・。   



「学問はうめもんだ!」(おばあちゃん談) 

 これは、モモコちゃんからから送られてきた震災支援品『自分で作る最中』で〜す。

 (2011.05.06)   △このページのトップへ

『春盛りやねえ』35

 「うちの桃の花」。
 それを手に持った「うちの妻」。
 右は、そろそろ終わりの「うちの梅の花」。 
 ちなみに、この「桃の木」は、「おじいちゃん桃」と「おばあちゃん桃」があって、ボクらがこの村に来た7年前に植樹したものなんです。
 おばあちゃんは感慨深げに、妻の生けた「夫婦桃」を見て、今は亡きおじいちゃん(マドロスさん)の面影を回想しているようでした。
 いい天気・・・。
 おばあちゃん! 部屋で毛糸ほどいてばかりいないで、さあ、外に出ようよっ!

   

 (2011.05.05)   △このページのトップへ

『や、ちょっとこれカメムシでない?』34

 朝、ボクが起きてくると、すっかり自室化した部屋を掃除し終えたおばあちゃんが言った。
 畳の隅を指差して。
「え? どれどれ」 
 「虫バスターズ」のボクが駆け寄った。
 黒い小さな固まり。
「それ、カメヌシでない?」
 プッ!
 ボクが吹き出した。
「綿ぼこりだっちゃ」 
「えっ?」
「ワ・タ・ボ・コ・リ」

 (2011.05.05)   △このページのトップへ

『シャルル・ババダン』33

 見よ! これがおばあちゃんのフレッシャーズ・グッズだ。
 リエさんと妻からのプレゼント。
 昨日、秋田のデパート『本金西武』で買いました。 
「シャルル・ジョルダンよ! 高級ブランドなんだからね!」と、妻。
「何? そいづ」おばあには、馴染みのない名前だったようだ。
「シャルル・ジョルダン!」妻が強調した。
「フランスの有名ブランドだよ」ボクも補足。
「シャ・ルル? ・・・」おばあちゃんポカン。 
「ジョ! ル! ダン!!」
 いい加減に覚えろ! とばかりに、妻。
 おばあちゃんは、ポッシェットを肩にかけたままこう言った。
「な〜に、シャルル・ババダンだっちゃ!」 
 おばあちゃん、ナイス!
 でも、照れながらもね、おばあちゃんはこれ、ケッコー気に入っているんだよ。



 (2011.05.05)   △このページのトップへ

『川の字解消』31

 おばあちゃんが、勝手に『川の字』を解消して、自室に布団を敷いた。
 文庫本やらラヂオやら、パジャマやら何やらかにやらを自室に持っていった。
 今日は久しぶりに晴れたので、朝からソワソワと布団を干したりして、完璧に自室に泊まる準備を完結したのだ。 
 ボクたち、ちょっと取り残された感じ・・・。
 そんなに嫌だったの? 川の字。
 何だか・・・さびしい。



 (2011.05.03)   △このページのトップへ

『気仙沼頑張れ!』30

 妻の後輩で気仙沼が実家のオリちゃんから「宅配便」が届きました!
 ボクのエッセイを読んで、おばあちゃんが来ていることを知って、「お母さんに」ということで、いろんなものが入っていました。
 癒しと健康と美容をテーマにした品揃えに、おばあちゃんも妻もボクも感心して見入ってしまいました。 
 「ダージリンティー」「充実野菜ジュース」「美人の湯」「わさびせんべい」「バームクーヘン」・・・。さらに「エビスビール」まで。
「オリちゃん、やさしいね!」と、ボク。
「気が利いてるよ、まったく!」と、妻。
「あんだ、いい後輩持ったねえ・・・」と、おばあ。
 手紙には、ボクにとって最もうれしいことが書いてあった。
『絶対、気仙沼のサンマとホタテを持って遊びに行きますね!!』
 わ〜い! 頑張れ、気仙沼! 頼むぜ! サンマ! ホタテ!

 (2011.05.03)   △このページのトップへ

『これはジェラだな』29

 あの人から久しぶりにメールが届いた。こんなことが書いてある。

 ヤッシ〜、桜咲いたか?
 またまた『エッセイ2』を狂ったように、チェックしてますよ。今日は20日ぶりの休みの前日で、心にも若干の余裕があって、お前にメールしました。ばあちゃんの存在が、俺の思う『平成版サザエさん』になっていて、非常に好感を持てます。ばあちゃんに俺の事も是非宣伝しておいて下さい。俺がいなければ、ヤッシは半人前であることも確実に伝えておいて下さい。『乾杯』を歌ったクダリでは俺の存在を忘れてないかい? ヤッシのサイドの神様はトーエーだよ!『東栄がいたら、町村は涙の洪水だった…(津波とは書けない)』なんて一行を忘れてないかい?
 てなわけで、最近はジャズギターにもはまりながら、愛するヤッシのために日夜サイドギターの上達に努力する積善くらげリーダー鈴木東栄からの愛のメッセージでした。ヤッシ、いいともだちを持ったね。

 そっか、そういえば彼は『積善クラゲ』のメンバー、(失礼!)リーダーさまだったんだ。
 失敬、失敬、さるまた失敬!
 君のことは、おばあちゃんにもしっかり伝えてあるよ!
 YOU-TUBEも見せたよ。
 さあ、これからもしばらく『平成版サザエさん』続きますよ〜。楽しみにしててね〜。
 君がここに来たくてウズウズしてることもよ〜く分かってますよ〜。
 被災者割引を利用して、『サザエさんファミリー』に混ざってみてはどうだい?

 (2011.05.03)   △このページのトップへ

『帰っちゃったよ・・・』28

 あ〜あ、みんな帰っちゃったよ。
 三温窯さんでお買い物をし、大潟村の『菜の花と桜ロード』をドライブし、道の駅でお土産を買って・・・。
 そして、餅家のみんなは帰途につきました。
 さみしくなっちゃった。
 今、おばあちゃんと3人で、楽しかった思い出を振り返りながら、残った「おせんべい」などを食べています。
 何だか気が抜けたので、今日はサラッと食べて、風呂に入って早めに寝ます。



 (2011.05.02)   △このページのトップへ

『8人も泊まってる』27

 我が家になんと8人もの人が泊まっている。
 ボクらに餅家の5人とおばあちゃん。
 昨夜は『魅惑のだまパーティー』で大いに盛り上がった。
 自分で言うのもなんだが、U子へのサプライズプレゼントの『乾杯』の弾き語りはサイコーだった。
 U子を泣かせてしまった。みんなも泣かせてしまった。
 調子に乗って4回も歌ってしまった。
 喉が痛い。
 1回でやめときゃよかった。
 そんな楽しかった一夜もアッという間に終わり、今日は皆さんお帰りになる。
 さみしいな。
 今日は雨模様。どこへ行こうかな?



 (2011.05.02)   △このページのトップへ

『おやつ食べ過ぎ!』26

 おばあちゃんが来てから、おやつの量が増えている。
 日中も食べるが、夜も食べる。
 昨夜は、こっちに来て初めての「シアタータイム」。
 山田洋次が選んだ『若者たち』を観た。
 ボリボリッ!
 バリバリッ!
 クチャクチャッ!
 映画が終わるまで食べ続けた。
 映画が終わって、席を立った妻のズボンの写真です。
 これ、お尻です。
 何でしょう?
 ボクには「柿の種」に見えますが・・・。



 (2011.05.01)   △このページのトップへ

『侵出するオバア』25

 以前、『侵出する妻』というエッセイを書いたが、今度は「オバア」が侵出している。
 ドライヤーを自分のものにした。
 耳かきを自分のものにした。
 アカスリを自分のものにした。
 えっ? セコい?
 いやいや、もっと大きなものがありますよ。
 あの『歩いて7歩の高級客室』だって・・・。
 ボクは「侵出する妻」と「侵出するオバア」の間で、行き場をなくしてタジタジになっているわけです。
 今や、ボクが独占できる場所なんてどこにも・・・。
 あっ! いや、あった、あった。
 男便所。
 ここだけは渡さん!

 (2011.05.01)   △このページのトップへ

『歩いて7歩の高級旅館』24

 ついに完成!!
 歩いて7歩の高級旅館。
 のべ4日間、おばあちゃんと3人で、磨き上げ抜いたこの部屋は、『高級旅館の客室』さながらの風格と快適さを兼ね備えた癒しの空間になった。新調したカーテンと照明が素敵だ。
 記念すべき第1号の客は、もちろん「おばあちゃん」。長期滞在客。
 明日から、義姉のリエさんと甥っ子のサトシ、この秋結婚する姪っ子のU子、同じく姪っ子のナオコが来秋する。カッツもくるかもしれない。その時は彼らも利用することになるだろう。
 そーゆーわけで、『歩いて7歩の高級旅館』は人気沸騰中だ。
 なんと、この度有名になった女流作家、あの「上月文青」先生からも予約が入っている。
 読者の皆さんもどうぞおこしやす! あっ、予約をお忘れなくネ!
 何しろ大繁盛なもんで。



 (2011.04.30)   △このページのトップへ

『深窓の令嬢』23

 『深窓』とは家の奥深い部屋の窓。深窓の令嬢とは、世俗から隔離された上流階級の女性を言う。
 さて、うちのおばあちゃん。
 この村の男やもめたちから『深窓の令嬢』と思われ始めている。
 村の役員であるチョロさんは、用もないのに頻繁に足を運ぶ。
 よこしまな!
 勘違いしないでほしい!
 彼女は『シンソウの令嬢』である前に、『シンサイの令嬢』なのだぞ!

 (2011.04.30)   △このページのトップへ

『煮しめ、うめごだ!』19

 おばあちゃんはすごいぞ!
 煮しめの味はサイコーだぞ!
 鳥の手羽元も入っているぞ!
 余った具材でいいんだぞ!
 晩とお昼の2連ちゃんだぞ!
 毎日でも食べたいぞ!
 今日は写真はありません。あしからず。

 (2011.04.29)   △このページのトップへ

『おばグラ』18

 おばあちゃんはすごいぞ!
 グラタンだって作れるぞ!
 『おばグラ』の具材は、ちくわ、ウインナーだぞ!
 余った具材でいいんだぞ!
 晩とお昼の2連ちゃんだぞ!
 毎日でも食べたいぞ!

  

 (2011.04.28)   △このページのトップへ

『ポータル潟の湯』17

 おばあちゃんを連れて『ポータル潟の湯』に行った。
 おばあちゃんにとって、本当に久しぶりの温泉。
 ボクらにとっても、去年の秋の「おばあちゃんツアー」以来だった。
「おばあちゃん、垢が浮くかもね」と妻が言った。
「アカスリ持っていこう! それから軽石も。足の角質も1センチはたまっているよ」とボク。
「人を浮浪者みたいに言わないで」と、おばあ。
 でも、そう言いながら、おばあちゃんはウキウキしていた。
 ゆでダコになって出てきた2人の顔に、『満足!』『極楽!』の、計4文字が浮き出ていた。
 売店で飲み物を買い、レジのところで妻がモジモジ言った。レジのおねえさんにというよりも、ボクに向かって。
「あのさあ、さっき脱衣場のとこに『被災者は無料』って書いてあったけどモジモジ・・・」
「えっ! マジッ? だったらおばあちゃん該当するんじゃない?」
 日頃でも大きいボクの声が、さらに大きくなった。
「いや、でも、証明がどうとか書いてあったし、もう出ちゃったんだからモジモジ・・・」 
「念のために聞いてみよう!」ボク、大声。
 ボクの大声は、レジのお姉さんどころか、事務所の全員に届いていたようだった。
 飲み物の会計をしながら、おねえさんに聞いた。
「あのう、すいません、あそこにいるのはボクたちのおばあちゃん、いや母なんですが、彼女は石巻から来ました! つまり被災者です! その被災者である母親である人の心の傷を癒そうと、ボクらはこうして温泉に来たんです! そういうわけで、どうか彼女を『被災者』として認定していただけないものでしょうか? ちなみに『り災証明』はありません」 
 ボクが、そんなことの半分も申し述べるまでもなく、おねえさんはニコッと笑って、小さな紙を差し出した。
「ここにお名前と住所を書いてくれれば結構ですよ」
 な〜んだ、そっか。ボクは少し拍子抜けした。
 ボクが記載すると、おねえさんは入浴料300円を返金してくれた。
 「ポータル潟の湯」いいとこあるじゃん! と思った。
 おばあちゃんも、エラく感激して、帰る時に事務所全員に向かって、何度も何度も、深々と深々と頭を下げた。
 クルマの中で、いい気分になったおばあちゃんがこう言った。
「また来ても無料になるんだいが?」 
 この人、何度も来る気になっている。

 (2011.04.27)   △このページのトップへ

『石巻から戻る』16

 おばあちゃんを連れて戻りました。
 石巻の惨状を見てきた。
 被災から1ヶ月半以上たったとはいえ、ボクの目に映る瓦礫の町は、持っていったカメラのシャッターを切れないほどの衝撃だった。
 結局1枚もとれないまま沈黙するしかなかった。
 心には焼き付けた。
 今日からおばあちゃんの気持ちをフレッシャーズにする。
 つまり「楽しむ」のだ。

 (2011.04.26)   △このページのトップへ

『フレッシャーズおばあ』10

 あさって石巻に行くのですが、おばあちゃんはもうハカハカして、背中に「羽根っこ」が生えているようです。
「毛布を洗えるくらいの『大型全自動洗濯機』を買ってあげる!」
「あと、カチッとすぐに火がついて、魚も焼ける『ガス台』を買ってあげる!」
 と言ってます。
 どうやら、おばあちゃんは『財布』にも「羽根っこ」が生えているようです。
 そりゃそうか。お金があっても何も買えなかった生活だったんだもんな。
 不本意だけど、そういうものを買わせてあげることも「親孝行」かもしれません。
 これは本人には内緒なんだけど、今まで物置に使っていた8畳の部屋を、おばあちゃんの「マイルーム」に改修する計画です。
 おばあちゃんはやがて、リフォームしたその部屋にタンスやら電子レンジやらの家財道具を持ち込んでくることでしょう。
 「ことなひまめ」に「フレッシャーズおばあ」を加えた『オッペケペーですっとこどっこいな日常』がもうすぐ始まります。

 (2011.04.21)   △このページのトップへ

『フツーの暮らし』933

 石巻に行く日取りが大体決まった。
 19日〜21日になりそうだ。
 おばあちゃんを連れて戻ることになる。
 おばあちゃんに今必要なのは、「フツーの暮らし」だ。
 ボクたちにとってもそれは同じ。
 いつものように、ゆったりとした時間を過ごせればいい。
 今は、それが何よりの親孝行かもしれない。
 傷が癒えるまで、いつまでも一緒に暮らそうね。

 (2011.04.09)   このページのトップへ

『石巻近況』903

 今後も1日おきに風呂に入りにくるとはいうものの、ようやっと「あの家族」が帰った。
 おばあちゃんも、ようやっと「畳の部屋」に寝られることになった。
 リカさんも「保育園」の保母さんから解放される。
 昨夜は、久々に家族水入らずの団らんがあったようだ。よかった、よかった。
 ボクらも、ようやっと実家に向かうことができる。
 そして、片耳が聞こえなくなったおばあちゃんを連れてきて、秋田でしばらく「心のケア」にあたることになる。
 おいしいもの食べて、お風呂にゆっくり入ったら、きっと耳も治るはずだ。体重も増えるはずだ。
 楽しみになってきた。いよいよボクたちの出番だ。

 (2011.04.06)   このページのトップへ

『石巻SOS』823

 被災者なのに、家の1階部分が浸水した被災者家族と、家が流れたメグの彼氏を受け入れて、11人で集団生活をしている石巻の実家。
 お人好しな彼らは、親戚の被災者らを7人(うち子ども2名)を待遇よく受け入れているのだ。
 でも、ジワジワと共同生活の疲れが出てきているようだ。心がだんだんささくれ立ってきているようだ。
 特におばあちゃんは、相当まいっているらしい。
 同居している義姉のリカさんからSOSがあった。
 いよいよボクらの出番だ。
 早急に支援物資を積んで出掛けることになる。

 (2011.03.24)   このページのトップへ

『穏やかな顔』805

 義姉のリカさんからメールがあった。
 おばあちゃんは、ボクたちと電話をすると「穏やかな顔」になるのだという。分かりやすいくらいに。
「秋田に行かないで、こっちで頑張る」と言うおばあちゃん。
 ささくれ立った気持ちを抱えているに違いないが、おばあちゃん気持ちが少しでも落ち着くように、ボクらが今できるのは電話と支援物資の調達しかない。
 これから自転車を買いに行く。

 (2011.03.22)   このページのトップへ

『11日目、死者不明者21,000名超』799

 思えば地震当日の夜、真っ暗な部屋で聞いたラヂオでは、死者はせいぜい数十名単位だったはずだ。
 よもやこんなことになるとは・・・。
 石巻のおばあちゃんから電話で「自転車を確保せよ」という命令があって、今日スーパーAMANOへ行ってみたが、いつもと変わらない豊富な品揃えだった。
 向こうでは、クルマを流されたり、あってもガソリンがないので、「自転車」が「足」になっている。
 そんな中、自転車泥棒も発生しているそうだ。
「おばあちゃん、安心して! いっぱいあったから」
 ボクがそう言うと、おばあちゃんはホッとした声で言った。
「4〜5台買っといて!」

 (2011.03.21)   このページのトップへ

『抜け駆けすることの罪悪感』781

 家を流されて避難所で生活している人を、親戚などが家に連れて帰ろうとしても、首を縦に振らない人がいる。
 一時的に連れて帰っても、
「やっぱり避難所に帰らなきゃならない」と言うらしい。
 これは、身近な人からの話として聞いた。
 みんなが大変な思いをしているのに、自分だけがそこから抜け出して、いい思いをしていることが心苦しいのだろう。罪悪感を持つのだろう。
 石巻のおばあちゃんも、そういうことを言っているらしい。
 日本人の美徳といえば美徳なのだが・・・。複雑だ。

 (2011.03.19)   このページのトップへ

『おばあちゃんがピンチだ』780

 石巻の実家は無事だった。だけど、水や食料が足りなくなっている。
 高齢のおばあちゃんは、ストレスで疲れが貯まってきているらしい。ゲッソリやせたらしい。
 今、そこに親戚の家族が避難してきて、計11名の共同生活を余儀なくされているそうだ。
 おばあちゃんやその親戚の人たちを、ここに連れてくることになるかもしれない。
 ガソリンの問題はあるが、早くおばあちゃんを救いにいかなければなければならない。

 (2011.03.19)   このページのトップへ

『おばあちゃん、泣くよ!』672

 またまた届いたよ! 『石巻のおばあちゃんの新作セーター!!』(こちらのコーナーです)
 もうホントニ、ホントニ、あなたはすごい! さすが「編み物の専門家」です。 
 こんなメッセージ付きでした。

**********

 早く暖かくなるといいね。
 やっとセーター編み終わりました。
 やっぱり毛玉が出来ましたかネ。編みながら、さもありなんと思っていました。
 次回は糸を変えましょうネ。
 ともかく、ひな祭りまで間に合って良かったです。

**********

 うれしいじゃないですか。ありがとう、おばあちゃん!
 んも〜、怒るの通り越して、オラ泣くよ!



 (2011.03.01)   このページのトップへ

『おひな様』604

 石巻に50年伝わっていた「おひな様」を飾った。
 義父(マドロスさん)と義母(石巻のおばあちゃん)が、三人姉妹のために、何年もかけて一個一個、人形や飾りを買いそろえたという「お宝」だ。詳しい話は、妻の『雑感』をご覧下さい。
 石巻城に長らく居城したあと、姉たちの城をへて、妻がここに来る時、彼らは秋田に都を移した。都落ち?
 1年目の桃の節句に飾った。でもそれっきり、彼らは大切に箱にしまわれていた。幽閉?
 今回、妻の発案でまた飾ろうということになったが、全部飾れるだけのスペースがないので、とりあえず一番上の「お内裏様」と「おひな様」に代表でご登壇願った。
 やっぱり高かっただけあって「顔」がいい。美男美女。気品がある。品格がある。ボクらみたい(ここ、笑うとこじゃない)。
 彼らは6年ぶりの再会を果たした。うれしそうだ。話も弾んでいるようだ。気もハヤっているようだ。荒い鼻息が聞こえてきそうだ。

  「この城は寒いのう」「さようでございますねえ」

  「風邪など召さなかったか?」「ええ・・・」

  「姫・・・」「殿・・・」

  「美しいのう」「殿こそ凛々しゅうございます」

  「姫!!」「と、と、と、殿・・・」

 (2011.02.19)   このページのトップへ

『ガッチャマン』540

 すいません。もう一つだけいいですか?
 しょうもない話だけど、石巻のおばあちゃんのことなので大目に見てくださいね。
 マドロスさんの6回忌にお墓に行こうとして、おばあちゃんはライターが着かないことに気が付きました。
 リカさんに買ってきてもらおうと思ったおばあちゃんは、義姉に向かってこう言いました。
「あのさあ、私ささあ『ガッチャマン』買ってきてけらいん!」チャンチャン!

 (2011.02.04)   このページのトップへ

『鋭い指摘』521

 今、おばあちゃんから電話があった。
「白い清楚なお花が届いたよ!」
 ボクらはネットでお花を送っていたのだ。
「ところで、エッセイ読んだけど、あんだ間違ってたよ」
「えっ!?」
「おじいは今日で丸5年。来年が7回忌だよ」
 鋭い指摘だった。
「心得違いでした! 早速修正しま〜す!」
 そんなわけで、いろいろ直しました。
 おばあちゃん、風邪も全快、元気ハツラツ。
 ジャンケンで妻に勝ったボクの「次回セーター」を制作しているらしい。やりい!
 よかった、よかった。いろいろよかった。
 「肩こり」にはくれぐれもご用心ね!

 (2011.01.31)   このページのトップへ

『おばあちゃん、復活!』489

 電話の声は、もういつものあばあちゃんだった。
「心配かけたけど、やっと起きれるようになったよ」
 おばあちゃんはそう言った。
「10日も寝込むなんて、やっぱし歳とったんだいが」
 彼女は、そう言って10日間の闘病生活を振り返った。
 でも、高熱のピークを医者にも行かずに頑張った体力を賞賛すると、まんざらでもないようだった。
「快気祝い、送るからね」
 大好きな『国内産干し芋』は2袋、すでに用意されている。 
「わあっ!」
 いつものおばあちゃんだ。よかった、よかった。

 (2011.01.24)   このページのトップへ

『煮物王』459

 久しぶりに妻の煮物を食べた。
 手羽と大根と厚揚げとこんにゃく。
 いやあ、うまい、うまい。
 やっぱり妻は『煮物王』だった。
 これは明らかに石巻のおばあちゃん譲りである。
 おばあちゃんの煮しめの味はサイコーなのである。
 そのおばあちゃんは、今どうしているだろうか?
 快方に向かっていると信じているのだが・・・。
 ボクたちは、おばあちゃんの『快気祝い』を考えている。
 スーパーAMANOで、国産の「干し芋」を買って送る計画なのである。

 (2011.01.20)   このページのトップへ

『よかったね、おばあちゃん』441

 さっき、おばあちゃんから電話があって、今朝姪っ子のメグに乗せられて病院に行ってきた、とのこと。
「祭りが終わったあとだった」
 昨日よりははるかに元気な声でそう言った。
 医者からは、インフルエンザで熱が出た場合、24時間以内に病院に来なければダメだ、と言われたそうだ。
 それなのに、おばあちゃんは丸4日も自力で戦ったことになる。祭りを1人で神輿担ぎしていたことになる。
「おばあちゃん、それだけ体力あったってことだよ」 
 ボクがそう言うと、妻は妻で、
「ダイエットとか言ってないで、これからもドンドン食べらいん!」
 と、妙な励まし方をした。
 とにかくよかった。
 一命はとりとめた。大事に至らなくてよかった。
 石巻のおばあちゃんファンの皆さんに、まずは取り急ぎ、そのことをご報告申し上げます。

 (2011.01.17)   このページのトップへ

『おばあちゃんがピンチだ』435

 おばあちゃんが縫ったウサギの刺繍の入った布巾が、心もとなく揺れている。
 おばあちゃんの風邪がまだ治らない。
 4日前にこのエッセイで、おばあちゃんの風邪を伝えたが、あれからズッと病の床に伏していたのだ。 
 リカさんのほうは、あれから2日ぐらいで治り、もう仕事にも出ているのだが、うつされたおばあちゃんは38℃以上の熱にうなされ、食欲もなくホッカイロを各所に貼って寝ているということだった。
 こんなに熱が続くということは、今流行っている「インフルエンザ」なのだろう。
 夕べ、そういう電話があった。『カレー鍋』を食べている時だった。こっちは、起こさないようにと思って電話をしていなかったのだが、こっちに心配かけているだろうと、おばあちゃんから電話があったのだ。
 ガラガラの声で力なくしゃべるおばあちゃん(妻は「魔法使いのおばあさんみたい」と言った)は、何だか言ってることも朦朧としていて、ひどく痛々しく感じた。
 離れていて何もできない自分たちに焦りといらだちが募った。
「明日はタクシーででも病院に行こうと思って・・・」
 おばあちゃんは弱々しくそう言った。
 そうしてくれ。そして早く治っておくれ。
 今はそう祈るしかない。

 (2011.01.17)   このページのトップへ

『石巻のおばあちゃんが風邪をひいたらしい』409

 大変なことになった。
 石巻のおばあちゃんが風邪をひいて寝込んでいる。
 さっき、妻が電話をして分かった。
 リカさん(義姉)が職場の店長にうつされ、それが今度はおばあちゃんにうつったのだそうだ。
 リカさんは病院に行って、家で安静にしているらしい。
 おばあちゃんは、病院に行くこともできず、「寒い、寒い」と言いながら、寝床で丸くなっている。
 心配だ。リカさんまで風邪でダウンではどうしょうもない。ご飯は一体誰が作るのだろう?
 こんな時、「どこでもドア」があれば、ボクらが病院に連れていって、あったかい鍋などを作ってやることもできるのに・・・。
 ちなみに、今日のボクらの夕飯メニューは『特製ちゃんこ鍋』である。
 食べさせたいなあ。おばあちゃんとリカさんに。
 それにしても、世の中、風邪(インフルエンザ)が流行っているらしい。
 気をつけてくださいね。
 おっと、ボクもまだ完全には治ってないんだった。
 それに引き換え、代表は元気はつらつだなあ。
 トトトトトトトト・・・よう頑張ってるなあ。

 (2011.01.13)   このページのトップへ

『カニサギ』366

 ちょうど1年前になるのだが、石巻のおばあちゃんはこの時期『カニサギ』にあった。
 『カニサギ』は、その後『振り込めサギ』同様、老人を狙ったサギ事件として、新聞でも取り上げられたのだが、人のいいおばあちゃんは、まんまと引っ掛かってしまった。
「なんでも創業10周年特別価格、タラバガニ3万円分を1万円で、おまけにイカとホッケとサバをお付けします、っつうがら買ったんだよ。これはサギだね」 
 届いた箱を開け、しみったれたカニ足と、さらにしみったれた(仙台弁で言うと『コツケダ』)イカ、ホッケ、サバを睨みながらおばあは言った。 
 確かにそれは人をバカにしたものだった。まともに買えば2000円程度のものだった。
「私、サギにあったんでねえべが」
 おばあちゃんは下あごを出して、ガックリと肩を落とした。
「でも、おばあちゃん。電話で入れるっつったもの、全部入ってっぺ。これはサギではないんだよ。別にだまさったわげではないんだよ。訴えたってダメなんだよ」
 ロジカルコメンテーターの義兄が、いつものように容赦なくチクリとやった。
「確かに、みんな入ってるっちゃ入ってるっけっと・・・」
 おばあちゃんは、そういってほぞをかんだ。ボクたちはかける言葉を失った。
 それから1年、またその電話がかかってきたのだと言う。
「またおんなじこと言うんだよ。創業10周年だって・・・」
「で? まさか買わなかったよね!」
 慌てて妻が聞いた。
「うん。でも私ばりでねぐ、いっぱいだまされたって新聞に出てたよ」
 カニの次は何がターゲットになるのだろうか? 気をつけてください。 

 (2011.01.06)   このページのトップへ

『おっかしいね、おばあちゃん』361

 石巻のおばあちゃんの部屋のコタツで、妻と3人で(犬のアッシュもいたかな?)ベタベタしゃべっていた。
「あのさあ、石巻弁の『ごっせっ腹焼ける」ってどういう意味なの?」
 ボクがおばあちゃんに聞いた。以前、そういうタイトルでエッセイを書いたものの、本当のことが分からなかったからだ。
 おばあちゃんはこう言った。 
「ああ、それは『ごしゃぎっ腹が焼ける』っていう意味だよ。腹が立って腹が立って、こう、かきむしりたいようなときに使うんだっちゃ」
 ああ、そっか。そういうことだったのか。『ごしゃぎっ腹』ねえ。
 『ごしゃぐ』っていうのは、秋田弁でも「怒る」ことを意味する方言として定着している。
 「ネイガー」という秋田版仮面ライダーのようなキャラクターヒーローも、怒ったときに、確か『ゴーシャーック!』と叫んでいたはずだ。
「じゃあ、『ごしゃぎっ腹』が縮まって『ごせっ腹』になったわけね」
 妻も感心している。
 それから、話はいろんな方向に飛んで、やがて『頭寒足熱』の話題に。
「おばあちゃん、靴下の上にホッカイロ貼って、もう一枚靴下履くと、すっごいあったかいよ」
 得意になって、ボクはそう言い、靴下を1枚脱いでみせた。
 おばあちゃんは、目を丸くしてこう言った。
「でも、足ゴロゴロするんでない?」
「いや、慣れればそんなでもないよ」
 ボクがそう言うと、おばあちゃんは妙なことを言った。
「私ねえ、何ねっぱってんだと思ったら、それが自分の肉だったんだ。ほれっ」
 おばあちゃんは自分の靴下を脱いで裸足になった。像のような足だった。
「足の指の付け根さ、ほれ、こうしてみんな肉が集合してるっちゃ」
 確かに、指の回りに肉が集合して、たぐまっていた。
「年取ると、こごさ、みーんな集まって寄ってくるんだおん」
 妻とボクは思わず吹き出した。それから死ぬほど笑い転げた。
 これじゃあ、余計にゴロゴロして歩けないと思った。
「でも、貼るところをずらせば、かえって平らになるんじゃない?」
 妻の発言に、今度はおばあちゃんも一緒になって笑った。

 (2011.01.05)   このページのトップへ

 

『声でかい』339

 昨日、妻と土崎ジャスコに買い物に行った。
 クリスマスイブのご馳走と、石巻のおばあちゃんから頼まれていた毛糸を買うためだ。
 おばあちゃんは、ここの毛糸が気に入っている。編んでいてベタッとならないのだそうだ。その辺の感覚は編んだことがある人にしか分からないのだろうが、とにかくここの毛糸でなければダメなのだ。
 並太のメリノウール100%。 
 ところが、ボクらが気に入った色の毛糸が在庫不足だった。16玉必要なのに8玉しかなかった。店の人に確認してが、そこにあるだけしかないということだった。 
「どうする?」
「おばあちゃんに電話しよう」
 そういうことになった。公衆電話は店の入り口にあった。タクシー待ちをしているおばさんが一人いた。
「おばあちゃ〜ん。や、です。今土崎ジャスコに来てるんだけどさあ」
 自分でも声が大きいことが分かった。隣の妻に聞いた。
「オレ、声おっきい?」
 その声がまた大きかったようだ。
 妻は口に人差し指を当てて、後ろのおばさんを振り返った。
 ボクが振り返ると、おばさんはクックックと、下を向いて押し殺すように笑っていた。

 (2010.12.25)   このページのトップへ

 

『ライブ』338

 ボクのエッセイを読んでくれている『石巻のおばあちゃん』は、『ライブ』という言葉をすっかり身に付けてしまった。
 こっちは、「コンサート」と言ったら分かりやすいかなあ、「演奏会」のほうがいいかなあ、と思っていたのだが、彼女は自ら『ライブ」と言った。
「や、そろそろライブでねえすか?」
 と、言ったのだ。 
 78歳のおばあちゃんに『ライブ』と言われると、何だかこっちが照れる。 
 そうなのだ。ライブは明日なのだ。どうすっぺ。
 ここまできたら、まあ頑張ってやるしかない。
 『ライブ』だがってものに集中するしかない。
 今日は、明日見に来られない妻へのX'masプレゼントに、ふたりだけの『スペシャルライブ』をやることにしている。
 いろんな料理も考えている。ワインも飲もう。
 問題は今降っている雪だなあ。秋田まで行けるかなあ。

 (2010.12.24)   このページのトップへ

 

『可愛すぎるセーター、大人気』320

 石巻のおばあちゃんから電話があった。
 孫たちに「セーター編んで!」と、せがまれているのだという。
 あの<可愛すぎるセーターの写真>を、ホームページで孫たちに見られたことが原因なんだって。
 今までは、ボクら以外誰も見向きもしなかった「おばあちゃんのセーター」が、今や大ブレークなのである。  
 東京にいる、ボクにとっては「おい」にあたるY君曰く。
「あっちではこういう『縄模様』流行ってんだよ」
 「縄模様」という表現もすごいが、「やっと流行のほうが追いついたな」と、密かにボクらはほくそ笑んでいる。
 しかし、おばあちゃんがこんなに売れっ子になってしまっては、もう当分ボクらの番はこないだろうな。
 何だかちょっと、嬉し悔しいね。

 (2010.12.16)   このページのトップへ

『クダル』203

 いつもクダラナイ話ばかりしているので、今日はクダル話をひとつ。
 石巻の隣の家のおばあちゃんから大量にいただいてきた「生カキ」は、粒にして百個は軽く越えるだろう。 
 本人が剥いたという本場のカキは新鮮で濃厚でおいしい。今までも何度かもらって、ボクらは舌鼓を打ってきた。
 もっとも妻は、「生カキ拒絶体質」であるため「生カキ」だけは食べられない。この分野だけは侵出を阻んでいる。
 おととい、ボクはもらってきたばかりの「生カキ」を30個食べた。夕べもさらに35個食べた。そして、最後は「カキフライ」にして2人で15個ずつ食べた。うまかった。
 そして、深夜ボクの腹に異変が起こった。
「なんぼなんでも食い過ぎだよ」
 10回以上もトイレと寝床を往復するボクに、あきれ顔で妻が言った。
「なんぼなんでも食い過ぎだな」 
 げっそりやせた顔でボクが言った。
 こんな形でダイエットなんて・・・。痛し臭し、もとい「痛し痒し」やなあ。
 (2010.11.01)   このページのトップへ

『お疲れチャンチャン』202

 おととい石巻に着いたおばあちゃんは、ボクらが帰る昨日の朝、熱が出てフラフラしていたので病院に連れて行きました。
 あったかくして寝かしつけてから、ボクらは帰途につきました。 
 義姉の話だと、食欲もあるし大丈夫そうとのことだったので、ひとまず安心です。
 こっちはこっちで、朝9時まで大爆睡。
 3者3様、疲れたようでございます。
 秋の大休暇は終わり、また仕事が始まります。
 暦をめくれば、今年もあとふためくり。
 服をめくれば、腹の皮もふためくりほど増えました。
 いかん、いかん。遺憾、遺憾、でございます。
 今日は、焚き付け用の木をチンチンやることになっております。
 (2010.10.31)   このページのトップへ

『おばあ秋最終日』201

 秋田に7泊8日滞在したおばあちゃん。
 台風が近付いていることもあって、予定を1日繰り上げて今日送っていくことになった。 
 最後の晩餐となった夕べは、おばあちゃん手製の『煮物』を作ってくれた。
 フルコースは毎年1回やることに決まった。
「それまで頑張って貯金するべし!」
 そういう決議が満場一致で採択された。
 楽しかったなあ・・・。
 でも、ちょっと寂しいなあ・・・。また来てね、おばあちゃん。
 (2010.10.29)   このページのトップへ

『おばあ秋5日目』200

 急に寒くなったこともあって、少し鼻ズビのおばあちゃん。
 この日は外に出ないで、家でビデオ鑑賞会。 
 幾多ある所蔵コレクションの中から『荷車の歌』と『続・夫婦善哉』を見た。
 どちらもボクが生まれた頃の日本映画だが、おばあちゃんは、
「昔、おじいちゃんと観たよ。でも忘れたなあ」と言って、俳優の解説を交えながら見入っていた。
 4時間映画を観た後、『だまこ鍋』を作って食べた。おばあちゃん、大満足。
 6日目の今日もまた、コタツに入って映画を観る計画である。
 さすがに今年は「卓球やろう!」というムードにはならない。
 寒いせいなのかな。少し年をとったせいなのかな。
 (2010.10.28)   このページのトップへ

『リーディンググラス』199

 なるほど、そういう手があったか。
 最近、細かい字、小さい字に遭遇したとき手が疲れる。けんしょう炎になるくらい疲れる。 
 そうだ。老眼になったのだ。
 老眼の先輩であるおばあちゃんは、ボクにこう言ってカバンから老眼鏡を取り出した。
「100均で売ってるよ。 ほれっ」
 なるほど、そういう手があったか。ボクはうらやましげな目でおばあちゃんの老眼鏡を眺めた。
「私、買ってやるから」
 おばあちゃんに買ってもらった老眼鏡にはこう書いてあった。
 リーディンググラス。Reading Glasses。
 なるほど、読む眼鏡か。なるほど、イケテルなあ。うまいネーミングやなあ。
 (2010.10.27)   このページのトップへ

『おばあ秋4日目』198

 昨日は冷たい雨が降る中、スーパーAMANOへ買い物に行った。
 おばあちゃんは買い物が何よりも大好きなのに、普段は足がないため自粛せざるをえない。 
「わっ! わっ! 買い物だ! わっ!」
 おばあちゃんは、石巻にいるときから「買い物メモ」を入念に作っていて、それを手に握りしめて子供のようにはしゃいでいた。
 買い物メモにはこう書かれていた。
 アッシュ(飼い犬)のえさ。ドライヤー。ズボン(いいのがあれば)。プリン。透明なテープ。(アルバムの表紙用)
 う〜ん、そうか、そういうものが買いたくても買えなかったのか。何だか切なくも可愛い。
 おばあちゃんは、スキップをするようにスーパーAMANOをあっちこっち見て回った。2時間はいただろう。
「どんな観光地よりこれがいいのよ」
 なるほど。
 おばあちゃんの買い物カゴの大半はアッシュのえさだった。その上にプリンをチョコンと載せて、満面の笑みでおばあちゃんは言った。
「あんだだぢもプリン買わいん(買いなさい)」
 (2010.10.27)   このページのトップへ

『似たようなもんじゃない?』197

 昨日何かの話で、似たようなもんじゃない? という場合の例えに言及する場面があった。
「五十歩百歩」 ボクが言った。 
「目くそ鼻くそ」 妻が言った。
「肥やし汲みの屁みたい、って言うんだよ。どっちが臭いか分からん」
 さすが、おばあちゃんは一枚上手だ。
 (2010.10.26)   このページのトップへ

『衝撃のデブー』195

 体重や体脂肪や内蔵脂肪を測り始めて1年余、衝撃的なことが起こった。
 せっかく理想的な数値に近付いていたのに、衝撃的なデブになっていたのだ。 
 さもありなん、ではある。これだけ食って太らないはずはない。
 おばあちゃんは、体重計に載らなくなった。
 妻は今から載ろうとしている。恐る恐る・・・。
「どうだい?」
「う〜ん・・・」
 あと何も言わない。
 (2010.10.26)   このページのトップへ

『おばあ秋3日目』193

 人生最大のイベントが終わった。終わってしまった。
 くどいように何度も何度も言うが、それは『鴨肉のステーキと牛バラ肉の煮込み盛り合わせ』と『秋鮭ときのこのパイ包み』などをメインにしたフランス料理のフルコースのことである。
 夕べあれだけの訓示を垂れたおばあちゃんではあったが、朝、ちょっと想定外のことが起こった。
 隣のK子さんから「胡麻餅」と「あんこ餅」をいただいてしまったのだ。結果、朝食にこれを食べざるをえなくなった。腹にズド〜ンとこたえた。ボクは太田胃散を飲んだ。2人は黙して語らなかったが、早々と夕べの第3の教訓がくずれた。
 天気はそれなりに良くて、気を取り直したボクらは一路「男鹿半島」へ。
 まず向かったのは「GAO」という水族館。ホッキョクグマの豪太くんでおなじみの観光スポットだ。入り口付近の水槽に「茶柱のように垂直になって寝ている白内障のゴマアザラシ(20歳)」がいた。それを横目に見ながら館内に。
 幻想的な水中の世界に目を奪われながら進む。癒し効果があって今ペットブームだという「クラゲ」のコーナーもなかなか良かった。そんなこんなしてるうちに、「豪太くんへ秋鮭のプレゼント」の時間になった。秋鮭? ちょっと待って。それ今日のフルコースのメニューじゃん、と思いつつボクらは豪太くんのもとへ馳せ参じた。
 豪太くんは1本まるまるの鮭を与えられ、すぐ食べるのかと思いきや、それをフィギュアスケートのペアが女性を放り投げるような動作で、何度も何度も執拗に放り投げた。それから鮭のしっぽを口にくわえ、歌舞伎役者が長い髪をブルンブルン振り回すような動作で、バシンバシンと何度も何度も水に叩き付けた。秋鮭は徐々にぼろぼろになっていったが、彼はなかなか食おうとしなかった。
 この映像の豪太くんは骨をくわえているが、これが鮭だと考えていただきたい。(カット)
「あらあ、まあだ食わない。あのシャケいつ食うべねえ・・・」
 おばあちゃんは豪太くんよりもシャケが気になってしょうがない。
 満員だった観客も、パフォーマンスの執拗さと単調さにだんだん飽きてきたみたいで、気付くとボクらだけになっていた。
「あれ、カラス来たよ。仲間呼んだよ。ああ、シャケ狙って来たんだべよ」
 おばあちゃんの興味はカラスに移ったが、豪太くんはシャケを水の中に沈めたままプイッとオリのほうに姿を隠してしまった。カラスとおばあちゃんが取り残された。
「カア〜」
 カラスがあきらめて飛び去った。
「食わねんだべが、シャケ・・・」
 おばあちゃんは最後まで粘っていたが、やがて思いを断ち切るように、
「さっ、んで行ぐが?」と言った。毎日シャケばっかり食わせられてもう飽き飽きなんだろう、という結論になったが、これからボクらが食べることを思うと、内心ボクは「この、飽食野郎!」という気持ちにもなった。
 そんなわけで、その後入道崎などを見て、いよいよホテルへ。いざレストランへ!
 ここで想定外だったことを書いておかなければなるまい。
 それは、「ライスか? パンか?」という選択肢がなかったことである。自動的に全部パンだった。第2の教訓もオジャン。
 あれはなんだったんだろう? あれだけ夕べから、いやもっと前から・・・。
 終わった。人生最大のイベントが終わってしまった。
 ちなみに、『きのこのパイ包み』の中に「まつたけ」の姿はなかった。
 写真は<こちら>
 (2010.10.25)   このページのトップへ

『おばあ秋2日目』192

 2010年10月24日(日)天気晴朗なれど腹ややきつし。
 最大のイベントの朝を迎えた。
 くどいように何度も何度も言うが、それは『鴨肉のステーキと牛バラ肉の煮込み盛り合わせ』と『秋鮭ときのこのパイ包み』などをメインにしたフランス料理のフルコースのことである。
 ボクら以上に「準備女」であるおばあちゃんは、先人の知恵とばかりにボクらにいろんな教訓を垂れた。夕べのことだ。
 明日に備えて夕飯は焼き魚だけの質素なものにすること。これが第1の教訓。
 メインディッシュが食べられなくならないよう、パンではなく(お代わりを誘うから)「ライス」にすること。これ第2の教訓。
 ガツガツした田舎者と言われないよう、1回フルコースのことは忘れて朝とか昼は普通に食べておくこと。これ第3の教訓。
 そして、究極の準備がこれ。妻から針と糸を借りて、持ってきたズボンのウエストを広げゴムを入れた。先人はやることが違う!
 そういうことを前の晩からあれこれボクたちに教え諭したおばあちゃんは、寝る前にため息まじりにこう言った。
「これ行ったら何も楽しみなぐなるなあ・・・」
 そんなことはない。秋ツアーはまだまだ続く。
 (2010.10.24)   このページのトップへ

『おばあ秋初日』191

 朝は大量にもらってきたパンを食べ、大量にたまった洗濯をし、3人で秋田へお買い物。
 買い物が何より好きなおばあちゃんであるが、普段は足がなくてなかなか買い物に行けない。ボクはその「足」になる。一日中「足」は走る。
 まずは、土崎ジャスコで毛糸を買う。おばあちゃんの作ってくれたセーターはたくさんあるが、一番好きなセーターはこちら
 今回は78歳の挑戦をする、という大宣言があり、ボクはオレンジ系の、妻はピンク系のセーターを編んでもらえることになった。材料だけで万単位だが、製品化の値打ちはそれどころではない。すまん、すまん。
「ワダシも何が仕事あったほうがいいんだもの」と、おばあちゃん。
 次に向かったのが、「わかば」のランチ。おばあちゃんは石焼ビビンバが大好き。
「少ししょっぺがったけど、おいしがった」と、おばあちゃん満足。
 次はパジャマを買いにイトーヨーカドーに。が、ショックなことに10日ほど前に閉店。
「石巻のヨーカドーもつぶれたよ」と、おばあちゃん。やむなく「本金西武」へ。
 パジャマ売り場の売り子さんは、非常にすましていた。
「このパジャマ、いいですよ。でも、赤がないとさみしいな」とか言って勧めていたが、何かの拍子に、「柄っこ合わない・・・」と言った。「柄っこ」。ちょっと気を許したようだった。
 そんなお買い物デーだったのだが、一番おかしかったのは前出の「土崎ジャスコ」の時計売り場でのこと。
 時計のバンドが壊れたおばあちゃんは、店員に別のと交換してもらえるか頼んだ。
「サイズはお分かりですか?」店員が聞いた。むろん時計バンドのサイズのことだ。
「ええ〜?」おばあちゃんはちょっとうろたえた。
「お測りしますか?」
「えっ? ここでですか? ここで測るんですか?」
「はい、すぐ終わります」
 ボクがふと見ると、おばあちゃんは、顔を赤らめながら、もぞもぞ自分のズボンのバンドを外しにかかっていた。 
 (2010.10.23)   このページのトップへ

『まつたけのパイ包み』190

 今年は「まつたけ」が豊作らしい。
 『秋鮭ときのこのパイ包み』・・・。『きのこの・・・』。
 「まつたけ」は・・・「きのこ」。「きのこ」は「まつたけ」。まつたけのパイ包み・・・。頼むぜ! フルコース。
 もっかボクら3人の最大の悩みは「タイジュウ」。
「わっ!」 寝る前に体重計にのったおばあちゃんが叫んだ。
「ええっ!」 次にのったボクが叫んだ。
「・・・」 最後にのった妻が沈黙した。
 これから始まるってのに・・・。
 今朝、おばあちゃんはパジャマを計った。
「ほらっ、500グラムもある」つかの間、喜んでいる。かわゆい。
 まつたけのパイ包み・・・。
 大丈夫、まつたけはそんなに重くない。
 (2010.10.23)   このページのトップへ

『帰ってきたぞ』189

 ただいま〜。おばあちゃんは今お風呂に入っている。
 今日はさすがに疲れた。
 今日は早く寝て明日からいよいよ「お・た・の・し・み」だ。
 おやすみなさい。
 (2010.10.22)   このページのトップへ

『おばあちゃん、サプライズ!』153

 ボクはさっき、石巻のおばあちゃんに電話をして、床が抜けるほど飛び上がらせてやりました。入れ歯も外れたそうです。
「ねえ、おばあちゃん、『鴨肉のステーキと牛バラ肉の煮込み盛り合わせ』と『秋鮭ときのこのパイ包み』などをメインにしたフランス料理のフルコースを一緒に食べよう!」
 ボクたちは、毎年、春と秋におばあちゃんを秋田に呼んで、一緒に1週間〜10日くらい遊ぶのを恒例化しているのですが、今回はちょっと思い切って奮発してみました。
 それは、ボクら自身がちょっと疲れ気味であること(特に代表)、さっぱり休んでなかったこともあるし、この間、WEBの写真を整理してたら、2年前におばあちゃんと行った田沢湖のホテルの料理がおいしそうだったこと。その時の顔がサイコーに楽しそうだったこと。2年に1回くらい親孝行を兼ねて贅沢してもいいじゃない、という気持ちになったわけです。ちなみにその時は<こんな>料理と顔でした。悦楽顔。
 今回は大潟村のホテルに1泊して、思い切り楽しんじゃう計画なのです。
 まだ3週間も先のことだけど、おばあちゃんのことだから、今からああでもないこうでもないとお洋服を出し入れすることでしょう。
「ボケ防止になっていいのよ」
 妻はそう言いながら、ト・・・・・・。
 本当は、この人が一番その日を夢見ているはずです。頑張れ代表!
 (2010.10.04)   このページのトップへ