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cut1 cut2 cut3 cut4 cut5 『映画コーナートップ』

『ガス燈』 Gaslight 1944年(アメリカ)

gasutou  監督:ジョージ・キューカー
  原作戯曲:パトリック・ハミルトン
  出演:シャルル・ボワイエ(Gregory Anton役)
     イングリッド・バーグマン(Paula役)
     ジョセフ・コットン(Brian Cameron役)


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ヤシーニ:ちょっとお待ちを。

あらすじ:1870年のロンドン。オールクィスト家に起こった歌手アリス・オ ールクィスト嬢の殺人事件は未だ犯人があがっていなかった。アリスの姪ポーラはグレゴリー・アントンと結婚したが、良人の言に従い問題の家で結婚生活を営むことになった。ある日ハンドバックに入れたはずの首飾りが紛失して以来、グレゴリーはポーラが自分のしたことを少しも記憶していないといってことごとに彼女を責めた。そのあげく、彼女も精神病で死んだ彼女の母と同じく次第に精神が衰えて死ぬだろうというのだった。ポーラは良人の言を気にしながら一人不安な日を送っていたが、次第に自分の精神状態に自信を失い、夜ごとにポッと薄暗くなるガス燈の光も、天井に聞こえる奇怪な物音も、自分の精神の衰えているための錯覚かと焦燥にかられた。ある夜久し振りで良人と出かけた知人宅で時計を隠したといって良人から辱しめられたとき、彼女は堪え難い悲しみに襲われたがその様子を注視している若い男があった。彼はブライアン・カメロンという探偵で、少年時代憧れていた名歌手アリスの殺人事件には非常な関心をもっていた。彼はある夜グレゴリーの外出中家人の制止もきかずポーラに会い、彼女の叔母の事件についていろいろとポーラに語ってきかせ、また、彼女が決して精神に異常を来しているのではなく、良人の策略にすぎないこと、夜ごとに暗くなるガス燈の光も良人が閉鎖された屋根裏の部屋にいるためであることなどを説明した。ブライアンがグレゴリーの机をあけてみると、彼女が隠したと良人から責められた数々の品物が現われ、20年前のこの家の殺人事件にグレゴリーが重大な関係を持っていた事実を説明する手紙も発見される。やがて探し求めていたダイヤモンドを手に入れて現われたグレゴリーはブライアンにひかれてゆくのだった。

『ショーシャンクの空に』 The Shawshank Redemption 1994年(アメリカ)

syousyannku  監督:フランク・ダラボン
  原作:スティーブン・キング
  出演:ティム・ロビンス(Andy役)
     モーガン・フリーマン(Ellis BoydRedRedding役)
     ウィリアム・サドラー(Heywood役)
     ボブ・ガントン(Warden Norton役)


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あらすじ:47年、ショーシャンク刑務所。銀行の若き副頭取、アンディ・デュフレーン(ティム・ロビンス)は、妻と間男を殺した罪で刑に服した。誰とも話さなかった彼が1ヶ月後、“調達係 "のレッド(モーガン・フリーマン)に、鉱物採集の趣味を復活させたいと言い、ロックハンマーを注文する。一方あらくれのボグズ一派に性的行為を強要され常に抵抗したアンディは、2年間生傷が耐えなかった。49年、アンディは屋根の修理作業に駆り出された時、監視役のハドレー刑務主任(クランシー・ブラウン)が死んだ弟の遺産相続問題で愚痴をこぼしているのを聞き、解決策を助言する。彼は作業中の仲間たちへのビールを報酬に、必要な書類作成を申し出た。取り引きは成立して囚人たちはビールにありつき、彼らはアンディに一目置くようになる。アンディがレッドに女優リタ・ヘイワースの大判ポスターを注文した頃、彼を叩きのめしたボグズはハドレーに半殺しにされ病院送りにされた。ノートン所長(ボブ・ガントン)はアンディを図書係に回すが、これは看守たちの資産運用や税金対策の書類作成をやらせるためだった。アンディは州議会に図書予算請求の手紙を毎週一通ずつ書き始める。6年目に、ついに200ドルの予算を約束する返事と中古図書が送られてきた。アンディはその中にあった『フィガロの結婚』のレコードを所内に流し、囚人たちは心なごんだ。63年、図書室の設備は見違えるように充実していた。所長は、囚人たちの野外奉仕計画を利用して、地元の土建業者たちからワイロを手に入れ、アンディにその金を“洗濯"させていた。65年、ケチなコソ泥で入所したトミー(ギル・ベロウズ)が、以前いた刑務所で同じ房にいた男が「アンディの妻と浮気相手を殺した真犯人は俺だ」と話したと言う。アンディは20年目にやって来た無罪証明の機会に色めきたつが、再審請求を所長は求める彼を相手にしない。所長はアンディが釈放されると、今まで彼にやらせてきた不正の事実が明らかになるのを恐れていた。アンディは懲罰房に入れられ、その間にトミーはハドレーに撃たれて死んだ。その後のある定期検査の日。アンディの房は無人だった。マリリン・モンローからラクエル・ウェルチへ代替わりしていたポスターを剥がすと、その壁には深い穴が開いていた。アンディはあのハンマーで19年間かかって穴を堀り、嵐の晩に脱獄に成功したのだ。アンディは所長たちの不正の事実を明るみにさらし、ハドレーは逮捕され、観念した所長は自殺した。やがてレッドは仮釈放になるが、外の生活に順応できない。彼はアンディの手紙を読み、意を決して今はメキシコで成功している彼の元を訪ねるのだった。 syousyannku1

『木村家の人々』  1988年(日本)

kimurake  監督:滝田洋二郎
  出演:鹿賀丈史(木村肇役)
     桃井かおり(木村典子役)
     岩崎ひろみ(木村照美役)
     伊藤充則(木村太郎役)


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あらすじ:木村家の家族は財テクというより、小銭集めに忙しい毎日を送っていた。仕出し弁当づくり、老人を使っての新聞配達、妻・典子の色っぽいモーニングコール・サービスなど。夫の肇はサラリーマンでありながら、こういった副業に異常な執念を燃やしていた。照美と太郎もまたちゃっかりしていて、伯父さんから肩たたきを頼まれると必ず後から請求書を出すのだった。しかし、太郎だけはこのような金儲けに後ろめたさを感じており、伯父からもらった聖書を読むうちその思いを強くしていった。典子の実兄・雨宮夫妻は太郎を引き取ろうとするが、肇に追い返された。しかし、木村夫妻も子供は可愛い。思い切って小銭稼ぎをやめることにした。それでも隣の高倉家が自分たちに代わって商売を始めたとなると、木村家も黙ってはいられなくなった。老人会も巻き込んで木村家と高倉家の激しい商売合戦が始まった。一時金儲けをやめていたので、客をすっかり高倉家に取られていたが、太郎の吹くハーモニカでまた木村家に客が戻ってきた。

『人情紙風船』 1937年(日本)

ninjyou  監督:山中貞雄
  出演:中村翫右衛門
     河原崎長十郎


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あらすじ:ある長屋で自殺があった。老武士が首をつったらしい。しかし、住人たちはその死を悼むよりむしろ通夜を口実に酒宴をしてしまう連中であった。長屋連中総出でドンチャン騒ぎをする中で、一人だけ参加せずに傍観している男がいた。浪人・海野又十郎である。海野又十郎は、再就職のために活動をするように、紙風船張りの内職をしている妻にせっつかれている。(作品資料より)

『イヴの総て』 All About Eve 1950年(アメリカ)

nagame  監督:ジョセフ・L・マンキーウィッツ
  出演:ベティ・デイヴィス(Margo役)
     アン・バクスター(Eve役)


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あらすじ:アメリカ劇界最高の栄誉であるセイラ・シドンス賞が、新進女優イヴ・ハリントン(アン・バクスター)に与えられた。満場の拍手のうち、イヴの本当の姿を知る数人の人達だけは、複雑な表情で彼女の受賞を見守るのだった。8ケ月前、劇作家ロイド・リチャアズ(ヒュー・マーロウ)の妻カレン(セレステ・ホルム)は、毎夜劇場の楽屋口で大女優マーゴ・チャニング(ベティ・デイヴィス)に憧れの目を向けている田舎娘イヴを知り、マーゴに紹介した。その哀れな身上話はひどくマーゴを感動させ、イヴはマーゴのアパートに住込んで秘書の役をすることになった。目から鼻へ抜けるようなイヴの利発さに、マーゴは愛情とともに次第に警戒心を抱きはじめたが、たまたまマーゴの家でのパーティーの夜、ハリウッドの仕事から帰って来たマーゴの恋人、演出家のビル(ゲイリー・メリル)に対するイヴの厚かましい態度は、マーゴをすっかり怒らせてしまった。この夜カレンにとりいってマーゴのアンダア・スタディに推薦してもらったイヴは、マーゴの知らぬうちに批評家アディスン(ジョージ・サンダース)に真価を認められるに至った。マーゴはビルやロイドに当り散らし、その横暴さはカレンまで立腹させた。カレンはマーゴをこらしめるため自動車旅行の途中わざと車のガソリンを抜いてマーゴを欠勤させ、イヴを舞台に立たせた。処女出演は大成功で、アディスンは殊更マーゴの老齢を当てこすってイヴへの賛辞を書きたてた。この記事でカレンも態度をひるがえしかけたところ、ビルに言い寄って失敗したイヴは逆にガソリン事件を種にカレンを脅迫し、ロイドのマーゴ用脚本をせしめた上、彼を籠絡した。しかしロイドと結婚してブロードウェイを征服しようとしたイヴは、過去の偽りにみちた正体と汚ないヤリ口の証拠をすべてアディスンが握っていることを知った。かくてイヴは、1枚上手のアディスンにあやつられたまま、ほかの人々を踏台にして、栄誉の席についたのだった。受賞の夜、アパートに帰ったイヴは、フィービー(バーバラ・ベイツ)という演劇志望の少女が部屋に座りこんで、こまごまと彼女の用を足すのをみた。イヴが寝室に入った後この少女は、イヴの衣裳をつけて鏡の前に立ち、丁度8ケ月前にイヴがマーゴの衣裳でしたと同じように、自らの姿に法悦を感じていた。

『ライフ・イズ・ビューティフル』 La Vita e bella 1998年(イタリア)

raihu  監督:ロベルト・ベニーニ
  出演:ロベルト・ベニーニ(Guido役)
     ニコレッタ・ブラスキ(Dora役)
     ジョルジオ・カンタリーニ(Giosue役)


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あらすじ:1937年、イタリアはトスカーナ地方の小さな町アレッツォ。本屋を開く志を抱いてやってきたユダヤ系イタリア人のグイド(ロベルト・ベニーニ)は美しい小学校教師ドーラ(ニコレッタ・ブラスキ)と運命的な出会いをする。当座の生活のため叔父ジオ(ジュスティーノ・ドゥラーノ)の紹介でホテルのボーイになり、なぞなぞに取り憑かれたドイツ人医師レッシング(ホルスト・ブッフホルツ)らと交流したりしながら、ドーラの前に常に何度も思いもかけないやり方で登場。ドーラは町の役人と婚約していたが、抜群の機転とおかしさ一杯のグイドにたちまち心を奪われてしまった。ホテルで行われた婚約パーティで、グイドはドーラを大胆にも連れ去り、ふたりは晴れて結ばれた。息子ジョズエ(ジョルジオ・カンタリーニ)にも恵まれ、幸せな日々だったが、時はムッソリーニによるファシズム政権下。ユダヤ人迫害の嵐は小さなこの町にも吹き荒れ、ある日、ドーラが自分の母親(マリザ・パレデス)を食事に呼ぶため外に出たすきに、グイドとジョズエは叔父ジオと共に強制収容所に連行された。ドーラも迷わず後を追い、自分から収容所行きの列車に乗り込んだ。さて、絶望と死の恐怖たちこめる収容所で、グイドは幼いジョズエをおびえさせまいと必死の嘘をつく。収容所生活はジョズエがお気に入りの戦車を得るためまでのゲームなのだと。とにかく生き抜いて“得点"を稼げば、戦車がもらえるのだとグイドはことあるごとに吹き込み続けた。強制労働の合間を縫って、女性の収容所に押し込められたドーラを励まそうと、放送室にしのびこんで妻に呼びかけたりと、グイドの涙ぐましい努力は続く。そんなある日、グイドは軍医として収容所にやってきたあのなぞなぞ好きの医師レッシングと偶然再会。レッシングから「重要な話がある」と耳打ちされたグイド。ドイツ軍の士官たちのパーティの給仕を命じられた彼は、監視の目を盗んでレッシングに話しかけるが、なんとレッシングは新たななぞなぞの答えをグイドに聞いただけだった。戦況は進み、収容所は撤退準備をはじめる。この機を逃さじとグイドはジョズエをひそかに隠して、ドーラを捜すうちに兵士につかまった。グイドはジョズエの隠れ場所を通るとき、おどけて行進ポーズをとる。それが彼の最後の姿だった。ドイツ兵が去った後、外へ出たジョズエは進駐してきたアメリカ軍の戦車を見て歓声をあげる。戦車に乗せられたジョズエは生きていたドーラを見つけ、母子は抱き合った。これが幼い息子を生きながらえさせようとした父親の命がけの嘘がもたらした奇跡の物語だ。 raihu1 raihu2

『鉄道員』 Il Ferroviere 1956年(イタリア)

tetudouin  監督:ピエトロ・ジェルミ
  出演:ピエトロ・ジェルミ(Andrea役)
     ルイザ・デラ・ノーチェ(Sara役)


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あらすじ:五十歳の鉄道機関士アンドレア・マルコッチ(ピエトロ・ジェルミ)は、末っ子サンドロ(エドアルド・ネヴォラ)の誇りだった。彼は最新式の電気機関車を動かし、酒場で誰よりも巧みにギターを弾いた。だが長男で失業中のマルチェロや、食料品店員レナートと結婚している長女ジュリア(シルヴァ・コシナ)にとっては、厳格で一徹な父は少々やり切れない存在だった。母親サーラ(ルイザ・デラ・ノーチェ)の忍従と慈愛、そしてサンドロの純真さが一家の空気を支えていた。ある日、父親の運転する列車に一人の若者が身を投げた。そのショックから彼は赤信号を見すごし、列車の正面衝突事故を起しかけた。そしてこの事件によって、同乗の親友リヴェラーニとともに旧式機関車の機関士に格下げされてしまった。月給も下った。折から労働組合はストライキを計画中だったが、彼の不満をとり上げてはくれなかった。彼の酒量は上り、心はすさんだ。丁度その頃、流産して夫との生活に耐えきれなくなっていた長女ジュリアは、自活の道を求めて洗濯女工となり、彼女のことが原因で父と口論した長男マルチェロは家出した。鉄道ではゼネストが決行された。父親は久しぶりに電気機関車を運転した。--スト破り。彼は友人達からも孤立し、遂には酒を求めて家にも帰らぬ日々が続くようになった。場末の酒場をめぐって、サンドロは父を探した。そして父を、以前によく彼が、友達たちとギターをひいて歌った酒場に連れ出すことに成功した。旧友連は快く父親を迎えてくれた。久しぶりにギターが鳴り、歌が流れ出した。しかし、弱った彼の身体は床の上に倒れた。それから三月、小康を得た父親と母とサンドロの家庭に、またクリスマスがきた。久しぶりで訪れてくれたリヴェラーニは、長男や多くの隣人達をつれてきて、大々的なクリスマス・パーティが開かれた。長女ジュリアからも、レナートと生活をやり直すという電話がきた。宴の果てた夜、ベッドでギターをひきながら父は死んだ。何だか広くなったような気のする家から、勤めに出る長男とサンドロが、今日も母親に見送られながらアパートの階段を下りていく

『ALWAYS三丁目の夕日』 2005年(日本)

always  監督:山崎貴
  出演:堤真一
     吉岡秀隆
     小雪
     薬師丸ひろ子


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あらすじ:

『逢びき』 Brief Encounter 1945年(イギリス)

aibiki  監督:デイヴィッド・リーン
  原作:ノエル・カワード
  出演:シリア・ジョンソン(Laura役)
     トレヴァー・ハワード(Alec役)


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あらすじ:ローラは平凡な勤め人フレッド・ジェッソンの妻である。娘と息子と一人ずつ二人の子の母として、住宅ばかりの郊外に住んで、平ぼんな、しかし幸福な生活を送っている。彼女は毎週木曜日に、近くのミルフォードという町へ、朝から汽車で出かけ、一週間分の買物をし、本屋で本を取替え、簡単な昼食をとり、午後は映画を見物したりして、夕方の汽車で帰宅する習慣である。ある木曜日の夕方、目にすすが入ったのを、ミルフォード駅の喫茶室で一人の医師にとってもらった。その医者と次の木曜日にミルフォードの町で行き会った。その次の木曜日、ローラは昼食に行き、食堂でまた会った。こんでいたので同席して昼食を共にし、初めて自己紹介をし合った。彼はアレック・ハアヴィーという開業医で、ローラとはミルフォード駅から反対の方向の住宅地に住んでおり、木曜日毎にミルフォード病院に勤めている友人スチーヴン・リンがロンドンへ行くのでその代理にやって来るという。昼食後、アレックはひまだと言ってローラに映画をつき合ったが、この会合で二人は互に相手に何か心をひかれる思がして、駅で別れる時アレックは次の木曜日にぜひ会ってくれとたのむのだった。次の木曜日には、しかしローラは心待ちに待ったが彼は来なかった。会えないがわびしく、物足りぬ気持で汽車を待っていると、アレックはかけつけて、手術が手間どってぬけられなかった。次の木曜日にはぜひと言った。次の木曜日、映画がくだらぬので植物園を散歩しボートに乗る。そしてボートハウスで、二人は愛の告白をし合った。帰ると息子が頭にけがをしていた。ローラは神の戒めのような気がして自責の念にたえなかった。次の木曜日ローラはまた彼と会い、郊外にドライヴして愛を語った。アレックにさそわれ、リンのアパートで会うと、思いがけずリンが帰宅したので、彼女はくつじょくにたえず夜の町を歩きまわった。駅で彼は心配していた。彼も妻子ある身の自責にたえず、南アフリカ、ヨハネスブルグの病院に勤務することに決めたと言った。次の木曜日は最後の会合であった。別離の苦しさは二人の胸をしめつけ、また会う事もあるまいと思えば、ひとしお愛の思はつのる。ミルフォード駅の喫茶室で相対している時おしゃべりのドリーにローラは見つかり、気持をめちゃめちゃにさされる。アレックはだまって去った。自分の汽車を待ちながら、ローラは急行列車に投身したい衝動にかられるのをやっと思い止る。ドリーがしゃべるのを気分が悪いからと言ってだまってもらい、帰宅したフレッドは何も言わなかったが妻のやなみを同情してくれた。ローラはわれに返った心地であった。また夫と子供達との平和な生活にかえることが出来るだろう。 aibiki1 aibiki2

『甘い生活』 La Dolce Vita 1960年(イタリア)

amai  監督:フェデリコ・フェリーニ
  音楽:ニーノ・ロータ
  出演:マルチェロ・マストロヤンニ(Marcello役)
     アニタ・エクバーグ(Sylvia役)
     アヌーク・エーメ(Maddalena役)
     レックス・バーカー(Robert役)


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あらすじ:作家志望の夢を抱いてローマに出た青年マルチェロ・ルビーニ(マルチェロ・マストロヤンニ)は、今は社交界ゴシップ専門のトップ屋となった。憧れた都は退廃と無気力以外の何ものでもなかった。カトリックもキリストの像をヘリコプターで運ぶなど、華やかな示威をした。豪華なナイトクラブでは、ローマの大富豪の娘マッダレーナ(アヌーク・エーメ)にめぐり会った。場末の夜の女の宿でマルチェロと一夜をすごすことも、彼女にとってはほんの気まぐれだった。郊外のわびしい家に帰った時、マルチェロは同棲中の愛人エンマが服毒して苦しんでいるのを見た。しかし悔いる気持も永くは続かなかった。彼はハリウッドのグラマー女優(アニタ・エクバーグ)を迎えると、野外で狂乱の宵を過し、名所トレーヴィの泉で戯れた。ローマ地方の郊外で奇蹟が起きた。再び聖母出現の日の聖地はテレビ・カメラに包囲され、奇蹟にあやかろうと横たわる病人の上に豪雨が降りそそいだ。日頃マルチェロのため悩みの絶えぬエンマは熱狂して信じた。二人は友人スタイナー(アラン・キュニー)の家を訪れ、調和と安らぎに満ちたその生活を羨んだ。或る夜、豪壮な館のパーティーに出たマルチェロは、虚脱したように歓楽をむさぼる貴族たちの仲間入りをした。スタイナーは死んだ。子供を連れた無理心中だった。平和に見えた一家のこの悲劇の深さはマルチェロの残った夢をすべて消した。その場限りの快楽の他に今の彼は何を望んだろう。やがて海に近い別荘でこの世のものとも思えぬ乱痴気騒ぎの狂宴がくりひろげられた。マルチェロは自ら狂乱の中に没入した。夜明け方、人々は快楽に疲れ果てた体をひきずって海辺に出た。波打ち際に打ち上げられた怪魚は、腐敗し悪臭を放ち、彼らの姿そのものだった。彼方から顔みしりの少女ヴァレリアが何か叫んでいる。その声は波に消されて彼の耳には入らない。真実の生命の清純さに溢れる少女に背を向けて、マルチェロは砂浜を別荘の方へと戻って行った。 amai1

『天井桟敷の人々』 Les Enfants du Paradis 1944年(フランス)

tennjyou  監督:マルセル・カルネ
  出演:ジャン=ルイ・バロー(バチスト役)
     ピエール・ブラッスール(フレデリック役)
     クレール・レーネ(ガランス役)
     マルセル・エラン(ピエール役)
     ルイ・サルー(モントレー伯爵役)


「映画は芸術だ!」

マリリン:劇中劇、これですなあ、この映画を重厚にしている魅力的要素は、パントマイムとシェークスピア劇、素晴らしいです。
ヤシーニ:タイトルも好きだなあ。犯罪大通りとかも出てくるでしょ。サーカスとか見世物小屋とか、フェリーニさんにも影響を与えたかもしれないね、この映画。     
マリリン:あのさ、バチストってちょっと気持ち悪くない? ピエロの白塗りメーク落としても好みのタイプじゃないな。     
ヤシーニ:うん。気持ち悪いよね。     
マリリン:それにSMAPの草薙君に似てない?     
ヤシーニ:ちょっとちょっと、そういう話じゃないでしょ?     
マリリン:すまんすまん。話を戻してっと。ええ、この映画、制作期間3年3ヵ月、制作費16億円。16億円よ、16億円。     
ヤシーニ:1945年ごろだもんね。当時としては破格でしょうな。あの劇場、天井桟敷まで全部作ったんだっていうから、すっげえ。     
マリリン:しかも、第二次世界大戦中でしょう。当時フランスはナチスの占領下にあったはずじゃないか? よくこれだけの作品を撮影できたもんだね。     
ヤシーニ:パントマイム芸人のバチスト、女たらしの俳優フレデリック、自称作家で強盗・殺人もやっちゃう悪党のピエール・ラスネール。ちなみにこの方、フランソワとか幾つもの名を持つクルクル髪の男ね。それから財力でガランスをものにするモントレー伯爵、そしてヒロインのガランス。     
マリリン:それぞれの個性的な人間が描き出され、交錯しながら話は進むんだけど、その軸にいるのがガランスという存在。男子は3人とも、モナリザっぽい顔立ちのガランスに恋するわけだけど、ガランスの心は生涯バチストにあるわけだよね。     
ヤシーニ:ちなみに、ガランスは美女という設定なんだけど、あんまりそう思えないのよね。当時の美人顔なのかな。結構年増にも見えるし。     
マリリン:そんなことはどうでもよろしい。     
ヤシーニ:ふあ〜い。     
マリリン:さて、一番男らしい男は誰でしょう。ヤシーニは誰が一押し?     
ヤシーニ:フレデリックかな。     
マリリン:私もフレデリック。だって、ちゃんと優しいし、ちゃんと友情にも厚いし、バチストのパントマイムを評価する冷静さもちゃんとあるし、ユーモアを解する知性もあるし。     
ヤシーニ:そして、バチストとガランスを再会させようとしたりする潔さもあるしね。決闘しちゃうところもさっぱりしてると言えば、さっぱりしているし。     
マリリン:彼は演劇の申し子と評価しておきましょう(笑)。     
ヤシーニ:それと、フランソワ(ピエール・ラスネール)。     
マリリン:私は彼も最後、見直したんだよね。自分がモントレー伯爵を殺せば、ガランスも開放され、フレデリックも決闘せずに済み、バチストもガランスと幸せになれるかもしれない。     
ヤシーニ:と、そこまで考えたのかどうかは分からないけど、最後は部下を逃がして、自分は捕まる覚悟で残るあたり、なかなかですよ。     
マリリン:あのクルクル髪もチャーミングだし(笑)。それでバチストなんだけど、一途に純粋って重たくない? あれ、どうしても顔の好みだけで批判的かしら?     
ヤシーニ:ずーっと、批判的(笑)。     
マリリン:そうそう、ナタリーだってちょっとかわいそう。バチストの心がガランスにあるとはっきり見せつけられて、ガランスに、「あなたは思い出の中だけで綺麗なままでいられるけど、私は日常のささいな時間をこの人と過ごさなければならないのよ」みたいなことを言うよね。あれ、すごく印象に残ったな。そのとおりって。それに対してガランスは、「私もよ。ずっと一緒だった」みたいなことを言うんだけどね。そこで、だ。しっかりしろ、バチスト! あれ、また言ってる(笑)。     
ヤシーニ:どうもバチスト君、肌に合わないみたいね(笑)。     
マリリン:でも、かばうわけじゃないけど、パントマイムは間違いなくスゴイです。芸術です。     
ヤシーニ:何だか取って付けたみたいよ(笑)。     
マリリン:フランス映画の金字塔と称されているらしいけど、なんだか不思議な魅力があるんだよね、この映画。     
ヤシーニ:そうそう、後をひきます。残像が死ぬまで付いてきそうです。

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『Giant』 Giant 1956年(アメリカ)

giant  監督:ジョージ・スティーヴンス
  原作:ウィリアム・C・メラー
  出演:エリザベス・テイラー(Leslie役)
     ロック・ハドソン(Bick役)
     ジェームズ・ディーン(Jet役)


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あらすじ:第1次大戦の終わった1920年頃。東部ヴァージニアで美しさを謳われた、リントン家の三姉妹の次女レスリイ(エリザベス・テイラー)は、馬好きの父ホーレスを訪ねて来たテキサス青年ビック(ロック・ハドソン)と知り合う。東部育ちのレスリイは、たくましいビックに惹かれ、2人は恋し合った末に両親の許可を得て結婚した。ビックは花嫁を連れて故郷へと戻った。広い牧場の真中にそびえるヴィクトリア朝風の大邸宅。3代に亘る開拓者の匂いのしみこんだ家を切り廻しているのは、ビックの姉ラズ(M・マッケンブリッジ)。女丈夫のため、主婦どころかお客さま扱いのレスリイの夢は無惨に打ち砕かれた。頼りにする夫も仕事のため、一緒に食事をする暇もない有様。東部とテキサスの生活の違いを感じ出したレスリイは、人種差別の激しさに驚いた。ビックの助手格のジェット・リンク(ジェームズ・ディーン)は、少年時代から一緒に育った仲なので家族同様に待遇されているが、彼女を見る眼差しから、レスリイは彼が唯の使用人にはないもの持っていると感じた。やがて落馬が原因でラズは死亡。ようやく主婦の立場をとり戻したレスリイも、愛するビックとの間の暮らし方の溝はどうにもならなかった。月日は流れ、夫婦の間には1男2女が生まれた。かねて石油発掘に夢中だったジェットは、遂に金星を射止め、千万長者として牧場を去って行った。すくすくと育つ子供達。後とりのジョーデイにビックは牧場主の心得を教え込むが、実は母に似て学問好き。医者になりたいと申し出て父親を悲しませる。程なく第2次大戦が勃発。双子の娘の1人ジュデイはボップと結婚し、医科大学を卒えたジョーデイもメキシコ娘ファナと結婚の上、貧しいメキシコ人のため診療所を開いた。ビックは怒ったが、レスリイは満足の笑いを洩らす。戦争で成金となったジェットは、ホテルの新築祝いに一家を招待し、双子の娘ラズに夢中になってしまう。人種的差別に立腹したジョーデイはジェットのために殴り倒され、ビツクは怒るが、泥酔したジェットの姿に手を加えず立ち去った。牧場王のビックも巣立つ子供たちは押さえられない。俺は失敗だったらしいというビックに、そんなことはないと答えるレスリイは、30年前の自分の花嫁姿を夢のように思い出していた

『マーティ』 Marty 1955年(アメリカ)

marty  監督:デルバート・マン
  出演:アーネスト・ボーグナイン(Marty役)
     ベッツイ・ブレア(Clara役)
     エスター・ミンチオッティ(Mrs.Pilletti役)


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あらすじ:ニューヨークのブロンクスで肉屋に働いているマーティ(アーネスト・ボーグナイン)は誠実な青年だが、生まれつきの醜男のため結婚もせずに母のピッレッティ夫人(エスター・ミンチオッティ)と2人暮しをしていた。良い相手があったら早く身をかためたいとあせっていたのだが、善良で内気な彼は気の利いた言葉で女を誘い出すことすらできなかった。土曜日の夜、アンギーやジョーなどの仲間と集っていると、母から電話がかかって、従弟夫婦が来ているからすぐに帰って来てくれといって来た。トーマスとヴァージニアの夫婦は姑のキャサリンとの間がうまくいかないので、キャサリンをマーティの家に置いてくれないかというのだった。キャサリンは母の妹だからマーティは賛成した。マーティは肉屋の店を主人から買い受けて自分で経営したいと思っていたので、銀行に勤めているトーマスに金融のことで相談してみると、トーマスは機嫌よく承知して、ヴァージニアと帰って行った。夕食後、マーティはアンギイとダンスホールへ行った。すばしこいアンギーはいち早く相手を見つけて踊り出すが、マーティは相変らず、まごついていた。だが、1人淋しそうにテーブルに坐っている娘(ベッツイ・ブレア)が眼にとまった。彼女は友だちと一緒に来たのだが、パートナーとなった青年は彼女があまり魅力のない娘なので置き去りにしたのだった。自分のみじめな立場に気がついた娘は、そっとバルコニーに出て泣いている様子だった。マーティは遠慮深く声をかけて、彼女と踊ってから近くの喫茶店で遅くまで話し込んだ。娘はクララといって教養もあり、学校の女教師をしていた。マーティと同じように、風采があがらないために苦しみをなめて来た娘だった。マーティはクララを自分の家に連れて来た。クララを彼女の家まで送ったマーティは翌日の日曜日に電話をかける約束をして別れた。その日曜日になったが、朝からキャサリンが引っ越して来たり、教会へ出かけたりして落ち着かない。クララは家にいてマーティからの電話を待った。正午をすぎ夕方になった。その頃、マーティはいつもの仲間と酒場にいた。クララが醜いとか魅力がないといって、電話をかけさせなかった連中もいざとなると相手もなく、どこへ行こうという当てもないのだった。やがてマーティはやっと決心がついた。「俺は彼女に電話をかけるんだ。相手が醜くかろうが、心がきれいだったらいいじゃないか!」といい捨てるとマーティは電話ボックスへとび込んで行った。

『山猫』 The Leopard 1963年(イタリア アメリカ)

yamaneko  監督:ルキノ・ヴィスコンティ
  出演:バート・ランカスター(Don役)
     アラン・ドロン(Tancredi役)
     クラウディア・カルディナーレ(Angelica役)


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あらすじ:1860年春。イタリア全土はブルボン王朝から、国王ビクトル・エマニュエルの統治下に入った。シシリー島の名門を誇っていたサリナ公爵(バート・ランカスター)にとって、政治的変動は大きなショックだった。そんなある日、サリナ家は田舎の別荘に出掛けた。一行の中、公爵の甥タンクレディ(アラン・ドロン)はブルボン王朝側と戦った革命派で早くも公爵の娘コンセッタの心をとらえていた。一家が田舎に着くと村長のドン・カロゲロ(パオロ・ストッパ)が歓迎会を開いた。彼は新興ブルジョアの一人だ。コンセッタはタンクレディと結婚したいとまで考えていたが、村長の娘アンジェリカ(クラウディア・カルディナーレ)の出現が、タンクレディをひきつけ、彼が求婚までしたと聞いて絶望した。タンクレディが所属連隊に復帰すると間もなく公爵に手紙を送り、アンジェリカとの挙式の手配をしてくれと頼んだ。公爵夫人(リナ・モレリ)は彼を貴族を裏切るものだとののしった。公爵にとっては、娘の心の痛手もつらいがその縁組が、彼の貴族としてのプライドの故に嫌悪とバツの悪さを意識した。タンクレディとアンジェリカは毎日のように会い、愛情は燃え上った。アンジェリカも平民の娘と思えぬ程の気品を初めての舞踏会で漂わせた。その席で公爵は急に自分の老いと孤独を感じた。アンジェリカの求めに応じて踊ったものの、何となくその場にそぐわない気さえする。時代は代ったのだ。歴史の大きな歯車は少数の人間の意思とは全く無関係に回転していくものなのかもしれない。公爵はやがてくる自分の死を考えていた。 yamaneko1 yamaneko2

『ゴッドファーザー』 The Godfather 1972年(アメリカ)

god  監督:フランシス・フォード・コッポラ
  音楽:ニーノ・ロータ
  出演:マーロン・ブランド(Don Vito Corleone役)
     アル・パチーノ(Michael役)
     ジェームズ・カーン(Sonny役)
     リチャード・カステラーノ(Clemenza役)


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あらすじ:コルレオーネ(マーロン・ブランド)の屋敷では、彼の娘コニー(タリア・シャイア)の結婚式が行なわれていた。一族の者を始め、友人やファミリーの部下たち数百名が集まった。ボスのドン・ビトー・コルレオーネは、書斎で友人たちの訴えを聞いている。彼は、相手が貧しく微力でも、助けを求めてくれば親身になってどんな困難な問題でも解決してやった。彼への報酬といえば、友情の証と“ドン"あるいは“ゴッドファーザー"という愛情のこもった尊称だけだった。そして彼の呼び出しにいつなりとも応じればよいのだ。これが彼らの世界であり、その掟だった。ドンのお気に入りの名付け子で、歌手として成功したが今は落ち目になっているジョニー・フォンテーン(アル・マルティーノ)もその1人だった。新作映画で彼にきわめつけの役があり、俳優として華々しくカムバックできるに違いないのだが、ハリウッドで絶大な権力を持つプロデューサー、ウォルツ(ジョン・マーレイ)からその主役をもらえずにいた。フォンテーンの窮地を知ったドンは静かにうなずいた。ある朝、目を覚ましたウォルツはあまりの光景に嘔吐した。60万ドルで買い入れた自慢の競走馬の首が、ベッドの上に転がっていたのだ。それからしばらくしてフォンテーンの許に、その新作の大役があたえられた。ある日、麻薬を商売にしている危険な男ソロッツォ(アル・レッティエーリ)が仕事を持ちかけてきた。政界や警察に顔のきくドンのコネに期待したのだが、彼は断った。だがソロッツォは、ドンさえ殺せば取引は成立すると思い、彼を狙った。早い冬の夕暮れ、ドンは街頭でソロッツォの部下に数発の銃弾を浴びせられたが一命はとりとめた。これはドン・ビトー・コルレオーネに対する挑戦だった。ソロッツォの後にはタッタリア・ファミリーがあり、ニューヨークの五大ファミリーが動いている。こうして1947年の戦いが始まった。末の息子マイケル(アル・パシーノ)は、一族の仕事には加わらず正業につくことを望んでいたが、父の狙撃が伝えられるや、家に駈けつけ、偶然にも2度目の襲撃からドンの命を救った。ドンの家では長男のソニー(ジェームズ・カーン)が部下を指揮し、ドンの復讐を誓ったが、一家の養子で顧問役のトム・ハーゲン(ロバート・デュヴァル)は、五大ファミリーとの全面戦争を避けようと工作していた。やがてソロッツォが一時的な停戦を申し入れてきた。だがソロッツォを殺さなければドンの命はあやうい。マイケルがその役目を買ってでた。ソロッツォ殺しは危険だが失敗は許されない。彼はこの大役を果たし、シシリーへ身を隠した。タッタリアとの闘いは熾烈をきわめ、ソニーは持ち前の衝動的な性格が災いして敵の罠に落ち、殺された。そんななかでドンの傷もいえ、和解が成立した。ドンにとっては大きな譲歩だが、マイケルを呼び戻し、一家を建て直すためだった。2年後、アメリカに帰ったマイケルは、ドンのあとを継ぎ、ボスの位置についた。ファミリーは縄張りを荒らされ、ゴッドファーザーの過去の栄光がかろうじて崩壊をくいとめているという状態だったが、マイケルの才能は少しずつ伸び始め、勢力を拡大しつつあった。ある日曜日の朝、孫と遊んでいたドンが急に倒れた。偉大なるゴッドファーザー、ドン・ビトー・コルレオーネは、多くの人々が悲しみにくれる中で安らかに死を迎えた。しかしマイケルの天才的な頭脳で練られた計画によってライバルのボスたちは次々に殺され、その勢力は一向に衰えなかった。彼の横顔は冷たく尊大な力強さにあふれ、部下たちの礼をうけていた。“ドン・マイケル・ゴッドファーザー"

『レ・ミゼラブル』 Les Miserables 1996年(フランス)

remize  監督:クルード・ルルーシュ
  原作:ヴィクトル・ユーゴー
  音楽:フランシス・レイ
  出演:ジャン・ポール・ベルモンド(Jean Valjewn/Henri Fortin役)
     ミシェル・ブジュナー(Andre Ziman役)
     アレッサンドラ・マルチネス(Elise Ziman役)
     アニー・ジラルド(Thnardiere fermiere役)


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あらすじ:1899年の大晦日の深夜、醜聞に巻き込まれた伯爵(ダニエル・トスカン・デュ・プランティエ)が逃亡中に自殺した。逃亡を助けた運転手のアンリ・フォルタン(ジャン=ピエール・ベルモンド)が状況証拠から伯爵殺害の嫌疑を受け、有罪になる。フォルタンの妻カトリーヌ(クレマンティーヌ・セラリエ)と幼い息子アンリはノルマンディーの海岸にある居酒屋でなんとか職を得る。彼女は吝嗇で残酷な主人ギヨーム(ルフュ)にこき使われながら夫の再審のため懸命に金を稼ぎ、ギヨームの手引きで売春までするが、アンリは脱獄に失敗して命を落とす。彼女は夫の後を負って自殺し、息子のアンリだけが遺される。1918年、成長したアンリはボクシングのチャンピオンになり、養父ギヨームから独立した。彼はその後1931年までチャンピオンの地位を守り、引退してトラック運送屋になった。同じ1931年、バレリーナのエリーズ(アレサンドラ・マルティネス)は弁護士の卵アンドレ・ジマン(ミシェル・ブジューナー)と結婚した。 1939年第2次世界大戦でパリはドイツの占領下になり、ユダヤ人のジマン夫妻はノルマンディーに引っ越す。その運送屋がアンリ・フォルタン(ベルモンド =二役)だった。ノルマンディーも安全でないと知った夫妻は、アンリにスイス国境まで運んでくれるよう頼む。道中、非識字者のアンリはセーヌ川の古本屋 (ダリー・カウル)から買った『レ・ミゼラブル』を読んでくれるようアンドレに頼む。力持ちの彼は、まるでジャン・ヴァルジャンだとよく人に言われていたのだ。前科者ジャン・ヴァルジャン(ベルモンド=三役)が田舎の司教(ジャン・マレー)の慈愛に触れて人間らしさを取り戻す物語を聞いたこの日から、アンリ・フォルタンは小説のヴァルジャンのように、自分でなく人間愛のために生きていくことを決意する。アンリはジマンの娘サロメ(サロメ)をカトリックの寄宿学校に預ける。修道院長(ミシュリーヌ・プレール)はサロメがユダヤ人と見抜きつつも彼女を庇護する。アンリのお蔭で国境にたどり着いたジマン夫妻だが、逃がし屋が独軍に通じており、亡命ユダヤ人たちは虐殺される。アンドレは重傷を負うが、近所の農家の夫婦もの(アニー・ジラルド、フィリップ・レオタール)に匿われる。一方捕虜になったエリーズは独軍の慰安婦になることを拒否し、ドイツの強制収容所へ。アンリはペタン派の刑事(フィリップ・コルサン)に捕らえられ拷問にあうが、同じ房にいた強盗団(ティッキー・オルガドほか)に助けられ脱走。強盗団はゲシュタポから情報を得て、空襲警報中の邸宅に盗みに入るのが仕事。アンリは助けられた義理から嫌々ながら手を貸す。そこへ連合軍上陸作戦の噂が入り、一同はさっそくレジスタンスに鞍替えする。ノルマンディーにあるギヨームの居酒屋は、今では息子(ルフュ=三役)が経営しているが、その海岸こそ連合軍の上陸地点だった。一同が居酒屋に着いた翌朝に作戦が始まり、アンリは居酒屋の裏手にあるトーチカを爆破して英雄になる。やがてパリも解放され、仲間と別れたアンリは、ギヨームの店で働いていた青年マリウスと共に、パリ郊外にリゾート風のレストランを買う。ジマン夫妻は未だ行方不明で、アンリがサロメを引き取る。実はアンドレはまだ地下に籠もったままだった。匿ってくれた夫婦の妻の方が彼に恋し、嫉妬しながらも妻から離れられない夫が、ドイツ軍の勝利という嘘を吹き込んで彼を引き止めていたのだ。アンリは福祉などに力を尽くして地域の尊敬を集め、市長から自分の後任にと頼まれる。強制収容所で生き残ったエリーズ・ジマンが戻り、サロメと親子の再会を果たす。だがそこへアンリの昔の仲間が匿ってくれと言って現れ、彼らを追ってかつてアンリを拷問した元ペタン派の刑事もやって来る。アンリは血に飢えた昔の仲間が許せず、最後には逮捕に協力すらするが、逮捕される。刑事はアンリを裁判にかければ自分の対独協力も白日のもとに晒されると悟り、いったんはアンリを殺そうとするが、アンリの善良さに自らを恥じて自殺する。しかしアンリは刑事殺しの濡れ衣まで着せられそうになった。そのころスイス国境の山中ではアンドレ・ジマンを匿っていた夫婦がついに殺し合い、アンドレは初めて戦争が終わっていたことを知る。アンリの留守中にその店を支えるエリーズと、それにサロメと再会したアンドレは、一家の大恩人アンリの弁護を引き受ける。無罪をかち取って数年後、市長になったアンリは美しく成長したサロメとマリウスの結婚式を執り行うのだった。 remize1

『華麗なる一族』  1974年(日本)

karei  監督:山本薩夫
  原作:山崎豊子
  出演:佐分利信(万俵大介役)
     月岡夢路(万俵寧子役)
     仲代達矢(万俵鉄平役)
     山本陽子(万俵早苗役)


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あらすじ:志摩半島の英虞湾を臨む志摩観光ホテルのダイニング・ルーム。華やかな正月の盛装の人々の中にあって、群を抜いて際だった一組があった。この一族は、関西の財界にこの人ありと知られている阪神銀行頭取・万俵大介とその家族である。鋭い眼光、端正な銀髪の大介が正面に坐り、妻寧子、家庭教師兼執事の高須相子、長男鉄平と妻早苗、次男銀平、次女二子が大介を中心にして坐っている。年末から新年にかけての四日間をこのホテルで一家揃って過すのが万俵家の長年の慣例であった。金融再編成のニュースが新聞紙上にもとりあげられ、万俵大介の心中は穏やかでない。彼は預金順位全国第十位の阪神銀行を、有利な条件で他行と合併させるべく、長女一子の夫、大蔵省主計局次長美馬中から極秘情報を聞きだした。この閨閥作りを演出しているのは、大介の妻寧子が華族出身の世間知らずであることから、ここ二十年来、子供の教育から万俵家の家計に至るまで全ての実権を握っている高須相子である。阪神銀行本店の貸付課長である次男銀平を、大阪重工社長安田太左衛門の娘万樹子と結婚させたのも、また、恋人のいる次女二子を、佐橋総理大臣の甥と見合させたのも相子の手腕だった。しかも、彼女は大介の愛人として、寧子と一日交替で、大介とベッドを共にしていた。長男の鉄平は、万俵コンツェルンの一翼をになう阪神特殊鋼の専務だが、彼は自社に高炉を建設し、阪神特殊鋼の飛躍的発展を目論み、メインバンクである阪神銀行に融資を頼むが、大介は何故か鉄平に冷淡だった。大介は、彼の父敬介に容貌も性格も似た鉄平が、嫁いで間もない頃の寧子を敬介が犯した時の子供だと思い続けているのだ。鉄平は高炉建設資金、二百五十億の内、五十億を自己資金、残りの四十パーセントを阪神銀行に、三十パーセントをサブパンクである大同銀行、三十パーセントをその他の金融機関に頼むつもりだったが、大介は融資額を三十パーセントにダウンしてきた。激怒した鉄平に大介は「融資に親も子もない。経営者としてのお前の考えは甘すぎる」と冷たく云い放った。だが、鉄平に好意を寄せる大同銀行三雲頭取の計らいと、妻早苗の父で自由党の大川一郎の口ききで遂に念願の高炉建設にとりかかれた。しかし、完成を間近に、突然高炉が爆発、死傷者多数という大惨事が勃発した。さらに鉄平を驚愕させる事実が三雲頭取から知らされた。阪神銀行の融資は見せかけ融資だ、と云うのである……。大同銀行は阪神特殊鋼への不正融資を衆議院の大蔵委員会で追求され、三雲頭取は失脚した。そして、多額の負債をかかえた阪神特殊鋼は、会社更生法の適用を受けざるを得なかった。事実上の破産である。妻子を実家へ帰した鉄平は、愛用の銃を手に雪山で壮烈な自殺を遂げた。皮肉にも死んだ鉄平の血液型から、彼は大介の実子だったことが判明した。一方、二子は、総理の甥との婚約を自ら破棄して、アメリカにいる恋人、一之瀬四四彦のもとに飛んだ。大介の筋書通り、阪神銀行は上位行の大同銀行を吸収合併し、新たに業界ランク第五位の東洋銀行が誕生、大介が新頭取に就任した。小が大を喰う銀行合併劇を、あらゆる犠牲を払って実現させた万俵大介の得意満面の笑顔……。しかし、その背後には、さすがの大介の考えも及ばぬ第二幕が静かに暗転していった。--それは、永田大蔵大臣が、東洋銀行を上位四行の内の五菱銀行と合併させるべく美馬中に秘かに命じていたのだった……。

『河内山宗俊』 1936年(日本)

kawara  監督:山中貞雄
  出演:河原崎長十郎
     中村翫右衛門
     原節子


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あらすじ:居酒屋に居候する河内山宗俊と用心棒の金子市之丞。あてもなく日々を送る彼らの心の慰めは、原節子扮する美しい甘酒屋のお浪。しかしお浪の不良の弟が起こした不祥事が元で、お浪は身売りを覚悟する。それを阻止しようと立ち上がる河内山と市之丞だが…。

『ミニヴァー夫人』 Mrs. Miniver 1941年(アメリカ)

miniva-  監督:ウィリアム・ワイラー
  出演:グリア・ガースン(Mrs.Miniver役)
     ウォルター・ピジョン(Clem Miniver役)


「あなたは美しい!」

マリリン:階級主義(っていうのかな?)のベルドン老夫人が変わっていく様子が味があってよかったな。ところでこのミニヴァー夫人、体格がよろしく宝塚女優みたいな美人でなかなか。やっぱり戦意高揚映画でしょ、これは。 
ヤシーニ:ミニヴァー夫人って気品があって、それでいて帽子を衝動買いするようなお茶目なところもあって、かつまたナチスの兵士に対して毅然とした立派な態度もあり。ボクはあなたに参りました。

『ニュールンベルグ裁判』 Judgment at Nuremberg 1961年(アメリカ)

nyuurun  監督:スタンリー・クレイマー
  出演:スペンサー・トレイシー(Judge Dan役)
     バート・ランカスター(Ernest Janning役)


「人間の命の重さ」

マリリン:戦争裁判を扱った映画はコメントが難しいね。3時間に及ぶ大作。被告はナチス首脳部を支えた法律家たちだから手強いし深刻。何と言っても俳優一人一人の演技が素晴らしい。私はスペンサー・トレイシーびいきだから、特に彼の演技とは思えない演技に脱帽です。役者ってスゴイもんだ。皆さんほとんど表情と声だけでの表現ですから。長いけどその分、見応え十分。「この法廷が必要だと思うのは、正義であり、真実、そして人間の命の重さです」ヘイウッド裁判長のやっぱこの言葉に尽きると私は思いました。
ヤシーニ:ボクたちは結構「裁判もの」が好きでよく見るよね。その中でも、この映画がおもしろかった。やっぱりマリリンがいうように役者がいいよ。あんまりよくなかったのに「評決」っていうのがあったけど、あっちはちょっとねえ。好きな人ごめんなさい。