「トミさん逝く」

トミさん逝く
トミさん逝くトミさん逝く


 2005年12月12日 トミばあちゃんが逝った。
 92歳。秋田に帰ってきてよかったかい?
 ありがとう、ばあちゃん。
(別れの言葉)
本日はご多忙中にも関わらず、祖母のためにご会葬くださいまして誠にありがとうございました。
今こうして皆様方のご臨席を目の当たりにしますと、生前中の祖母が本当に愛され、助けられてきたかをひしひしと感ております。
私が生まれた時、祖母は46歳でしたが、祖母が亡くなった今、私は同じく46歳になりました。
人一倍「おばあちゃん子」だった私と祖母との不思議な符合のようなものを感じます。
祖母は強靭でした。自分のことを「オレは化け物だ」と言って笑っておりました。
亡くなる3日ほど前、見舞いにいった時も「ばあちゃん、100まで生ぎるべ?」と言うと、持っていった柿や小豆をうまそうに食べながら、黙って「ニヤッ」と不敵な笑いを浮かべていました。
しかし、やはりそんな強靭な体もついに事切れる時がきました。
ばあちゃんは、苦しむことなく自然に血圧が下がり、呼吸が停止していきました。
この遺影写真は、認知症が進み2年前、「ふるさとの地、町村」へ戻ってきてからの写真です。
何とも言えないいい表情をしているのは、きっと心から満足して、安心していたからでしょう。
ハーモニカで、「ふるさと」を吹いていた祖母でした。
ばあちゃん、ここに帰ってきてよかったね。ふるさとの土に還れてよかったね。
こんな心の温かい人たちに見送られてよかったね、ばあちゃん。
そして、ばあちゃん、これでじいちゃんの元に行けるね。
早くに戦死した周治さんの元に還るんだよ。じいちゃんとまた、短かった結婚生活をやり直してください。
それから、逆さ別れになったかあちゃんと、3人で幸せに暮らしてください。
最後になりましたが、故人同様に残された遺族にも、これからもご厚情を賜りますようお願い申し上げます。
はなはだ簡単ではございますが、お礼の言葉とさせていただきます。
本日は誠にありがとうございました。

< 写真コーナーへ戻る  || 次の写真へ移る >

HOME

雑感

映画

エッセイ・小説