「10年目の春うらら」

10春 

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10春

10春

 2013年03月27日

 この村での10年目の春を迎えた。
 変わったものと変わらないもの。
 一番変わったのも、一番変わらないのも、それは自分たちかもしれない。
 いい意味でも、そうじゃない意味でも・・・。
 ここから見える故郷の風景だけは、何一つ変わっていない。
 ただ、写真の小学校はこの3月いっぱいで廃校になってしまうという。
 馬場目小学校138年の歴史に幕。
 最近建て替えられた近代的な校舎なのに、入る子どもが誰もいなくなってしまった。
 祖母も両親もボクも通った「学び舎」は、早晩リニューアルして老人施設になるそうだ。
 時の流れは無情だなと思いながら、ネコヤナギの向こうの川面を見つめてまた思う。
 馬場目川。泳いだり、魚を獲った幼少の記憶がジワジワよみがえってくる。
 そうだ、この川だけは何も変わっていない。
 母校の校歌に歌われたこの川だけは、今も営々と、悠々と、そして轟々と音をたてて流れている。
 138年前もきっとこうして、山の雪解け水を運んで、まっすぐに大海に下っていったことだろう。
 馬場目川の変わらぬ清い流れは、この小学校で学んだ多くの、まなじりを決した幾千の、卒業生たちの姿にも重なる。
 使命に燃え立身を誓ったあの日。
 ボクの人生の扉が開いたその日。
 10年目の春、ボクはまた、スタートラインに立っている。

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