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cut1 cut2 cut3 cut4 cut5 『映画コーナートップ』

『タワーリング・インフェルノ』  The Towering Inferno 1974年(アメリカ)

tawa-  監督:ジョン・ギラーミン/アーウィン・アレン
  出演:スティーヴ・マックイーン(Michael O'Hallorhan役)
     ポール・ニューマン(Doug Roberts役)
     ウィリアム・ホールデン(James Duncan役)
     フェイ・ダナウェイ(Susan Franklin役)
     フレッド・アステア(Harlec Claiborne役)


「そびえ立つ地獄」

マリリン:これ、やっぱりすごいよね。パニック映画数々あれど、この作品を超えるものはいまだないと見たぞ。
ヤシーニ:ボクは中学校の時観たような気がするけど、やたら怖かった記憶があって、しばらく3階以上に上がれなかったもん(笑)。     
マリリン:いろいろすごいけど、まず、ワーナー・ブラザーズと20世紀フォックスというアメリカの大手映画会社が共同で制作したっていうのがすごい。史上初めてだったんだよね。     
ヤシーニ:へー、そうなんだ。     
マリリン:それと、当時の2大スター、スティーヴ・マックイーンとポール・ニューマンの共演っていうのもすごい。主としてワーナーの映画によく出ていたスティーヴ・マックイーンと、主として20世紀フォックスの映画に出ていたポール・ニューマン、どっちもビッグネームだったから、どちらがタイトルクレジットの先にくるか注目だったんだって。     
ヤシーニ:へえー、そう。で?     
マリリン:で、結果、冒頭で2人の名前を同時に出した上で、マックイーンの名を左に据え、ニューマンの名を右側の一段上に据えて対等性を強調するという苦肉の策が取られたとか。すみません、これはウィキペディア情報からの受け売りネタです(笑)。     
ヤシーニ:へえー、それで詳しいわけね。へえーで思い出した。フェイ・ダナウェイ好き。     
マリリン:なんじゃ、そりゃ。それにしても火災って怖いねえ。138階だもんな。結構最初のほうで、静かに舐めるように這って広がっていく煙の描写があるんだけど、既にこれから起こる悲劇を十分暗示してるよね。     
ヤシーニ:うんうん。     
マリリン:「タワーリング・インフェルノ」、“そびえ立つ地獄”の意味ですか。     
ヤシーニ:なるほど。     
マリリン:私、ジョーズを観て、「絶対に海には入らないぞ」って思ったけど、この映画を観て、「絶対に高層ビルの上には行かないぞ」って思った(笑)。     
ヤシーニ:ボクはね、絶対に消防隊には入らないぞって思った(笑)。それにしても、なんであんなに隊長がこき使われなきゃなんないの?   

『ジョーズ』  Jaws 1975年(アメリカ)

jaws  監督:スティーブン・スピルバーグ
  出演:ロイ・シャイダー(Brody役)
     ロバート・ショウ(Quint役)
     リチャード・ドレイファス(Hooper役)
     ロレイン・ゲーリー(Ellen Brody役)
     マーレイ・ハミルトン(Vaughn役)


「今観ても・・・怖すぎる!」

マリリン:この映画、この年になってもう一回観るとは思わなかった(笑)。
ヤシーニ:テレビとかでは何回もやってるけど、ちょっと避けてたね。1回観たからいい、みたいな感じで。
マリリン:前に観たのって多分、小学6年生か中学に上がったばっかりぐらいだったと思うんだけど、随分恐ろしかったのを覚えてる。私、人一倍怖がりだし。     
ヤシーニ:でも、さすがに作り物だって知ってるし、CGとかのない時代の映画だから、今観たら「ちゃっちーっ」って感じると思ったんだよね。     
マリリン:と〜ころがギッチョン(笑)、心得違いでした。やっぱり怖いじゃない!      
ヤシーニ:「人食いザメ」っていうだけで怖いんだけど、前半は全く姿を現さないってとこが超怖〜い(笑)。     
マリリン:ヒレ、怖〜い、音楽、怖〜い(笑)。ダ・ダ・ダ・ダッ、ダ・ダ・ダ・ダッ、ダ・ダ・ダ・ダッ・・・。     
ヤシーニ:うわーっ!     
マリリン:という感じで、常にドキドキさせられる。この心理的揺さぶりは、CGなんかよりずっと怖いよね。     
ヤシーニ:それと、ちゃんとヒューマンな人間模様が描かれているところも評価高いぞ。     
マリリン:地元警察署長、地元の漁師、海洋学者、それぞれ味があっていいじゃない。リチャード・ドレイファス、なんか懐かしかった(笑)。     
ヤシーニ:漁師役のロバート・ショウの表情もいいね。はまり役。     
マリリン:最後、ジョーズに食われちゃってすごくかわいそう。彼、すごく頑張っていたのに・・・私は悲しくなりました(涙)。     
ヤシーニ:この映画は後世に残るとあらためて思いました。 やっぱスピルバーグさんの最高傑作だと思います、はい。

『雨の訪問者』  Le Passager de la Pluie 1970年(フランス)

ame  監督:ルネ・クレマン
  出演:チャールズ・ブロンソン(Dobbs役)
     マルレーヌ・ジョベール(Mellie役)
     ジル・アイアランド(Nicole役)
     マーク・マッツァ(Le Passager役)
     ガブリエレ・ティンティ(Tony役)


「オ〜マンダム!」

マリリン:うーん、やっぱ、クレマン監督、いいわ。結構怖くて、最初から最後まで気をそらさない。
ヤシーニ:ホント、ホント。大人のサスペンス。
マリリン:主人公役のマルレーヌ・ジョベールが小粋なフランス娘って感じで、なかなかかわいいじゃない。ショートカット、いいね。
ヤシーニ:この人、声もいいよね。吹き替えじゃなく字幕で観てほしい。とにかくフランス映画っておしゃれだよね。その点、ドイツ映画はどうも・・・ね。
マリリン:『黒い稲妻』とか?(笑)
ヤシーニ:あれ、雪山讃歌(笑)。あと、この映画はメリーの服が全部白だったよね。あのバッグは赤。そういうコントラストもボクはいいと思ったね。  
マリリン:うんうん。おしゃれ。それからチャールズ・ブロンソン、私は元来決して好みのタイプではないんだけど、この作品では文句なしに渋くてカッコいい。認めます、はい。
ヤシーニ:「オ〜マンダム!」
マリリン:フランス語の響きがとても耳障りがいいし、映像も音楽も素敵。ファーストシーンからフランス映画独特のしゃれた、それでいてアンニュイなムードが漂っているよね。そうやって始まるのに、あっという間のあの展開だもんね、かなり怖かったですわ。
ヤシーニ:驚いたね。最後にメリーがクルマに乗って「殺人現場」に行ってしまうとこあったでしょ?
マリリン:うん、あれでばれちゃうのよね。ドブスが後ろに隠れていて・・・。
ヤシーニ:あれ、マンダム付けてたらどうなったかね。
マリリン:なるほど。匂いで気付いたかもね(笑)。
ヤシーニ:「オ〜マンダム!」(笑)     
マリリン:ずーっとモチーフの一つとして出てきていた「クルミ」、そしてラスト。もしかして恋しちゃったりなんかした? 完ぺきにブロンソンに持っていかれた感じですな。

『欲望という名の電車』  A Streetcar Named Desire 1951年(アメリカ)

yokubou  監督:エリア・カザン
  出演:ヴィヴィアン・リー(Blanche役)
     マーロン・ブランド(Stanley役)
     キム・ハンター(Stella役)
     カール・マルデン(Mitch役)
     ルディ・ボンド(Steve役)


「・・・」

マリリン:正しい判断と人を幸せにする判断は違う。お待ちくださいね。
ヤシーニ:ちょっとお待ちを。
あらすじ:父の死と共に南部の家を失ったブランシュ・デュボア(ヴィヴィアン・リー)はアルコールに身を持ち崩して、妹ステラ(キム・ハンター)が結婚しているニューウ・オルリンズのフランス街の家を訪れた。妹の夫スタンリー・コワルスキー(マーロン・ブランド)は暴力的な男で、カードと酒に狂ってはステラを打つのであったが、彼女はこの男に全身を捧げて悔いなかった。そのような妹夫婦の日常を見るにつけ、ブランシュはスタンリーのカード仲間ミッチ(カール・マルデン)に次第に関心を持つようになった。母と2人暮らしの純情な独身者で、真面目にブランシュとの結婚を考えはじめ、彼女も彼に、年若の夫を失った暗い過去を打ち明けて、将来への希望を語った。しかしスタンリーは街の仲間から、ブランシュが実は大変な莫連で、17歳の少年を加えこんだというので故郷を追われてきた女だということを聞き出して、ミッチにぶちまけた。ブランシュの誕生日に、むろんミッチは出て来ず、しかもスタンリーは彼女に贈り物として故郷へ帰る片道切符を渡した。その夜ステラが俄かに産気づき、スタンリーと病院に出かけたあと、ブランシュは訪ねてきたミッチに結婚を迫ったが、彼はもはやその言葉に動かされはしなかった。夜更けて帰ってきたスタンリーはブランシュが1人妄想に酔っているのを見ると暴力でこれを犯した。完全に発狂したブランシュは、紳士が自分を迎えに来たという幻想を抱いて、精神病院へ送られていった。

『シテール島への船出』  Taxidi sta Kithira 1984年(ギリシャ イタリア)

site-rusite-ru  監督:テオ・アンゲロプロス
  出演:Akis Kareglis(Spyros役)
     ドーラ・ヴァラナキ(Old Woman役)
     Tassos Saridis(German Soldier役)
     ジュリオ・ブロージ(Alexandros役)
     マノス・カトラキス(Old Man役)


「・・・」

マリリン:正しい判断と人を幸せにする判断は違う。お待ちくださいね。
ヤシーニ:ちょっとお待ちを。
あらすじ:現代の都会。朝、映画監督のアレクサンドロス(ジュリオ・ブロージ)は撮影所に向かった。おりから、彼の作品の主役になる俳優のオーディションが行なわれているが、アレクサンドロスの気に入る者はいない。女優のヴーラ(マリー・クロノプルー)は彼の愛人で、最近冷たいと彼にグチを言う。そんな矢先、ラヴェンダーの花を売る老人(マノス・カトラキス)が入ってくる。その老人こそイメージに描く老俳優だと、アレクサンドロスは直感した。老人を追って地下鉄に乗り港へ行く彼。埠頭まで追ったところで彼は花売り老人を見失う。同じ場面のまま映画中映画になって彼は妹のヴーラ(先出の女優のヴーラ)と二人で、32年前にロシアに亡命した父の帰国を待っている。ウクライナ号から降りたった父スピロ(ラヴェンダー売りの老人)を出迎え、母カテリーナ(ドーラ・ヴァラナキ)の待つ家に案内する。スピロとカテリーナの再会。しかしスピロが何を言ったのか、カテリーナは怒って台所に閉じこもり、スピロは家を去って町の安ホテルに泊った。翌日、親友のパナヨティス(ヨルゴス・ネゾス)らの歓迎を受けるスピロ。山にあるそのむらにスキー・リゾートを造る計画があり、村人は署名をするが、スピロは猛反対し、カテリーナに署名するのをやめさせる。そんな父を非難するヴーラ。今さら母に命令などできるはずはないと……。夜中、スピロはロシアでの生活をカテリーナに語り、あちらにも妻子ができたと告白する。朝、村人たちはみな帰ってゆくが、スピロは一人残った。山では、憲兵隊がスピロの行方を探していた。国籍のないままのスピロがこれ以上面倒を起こすと、滞在許可まで取り消されると、アレクサンドロスに警告して去る彼ら。しかしスピロはカテリーナと二人で山の家に残ると言いはる。雪山の中を追放されたスピロとカテリーナが降りてくる。港。警察はスピロをロシアの船に乗せて帰そうとするが、船は出てしまう。警察はあわててスピロを旧港へ運び彼を乗せたランチがロシア船に追いつくが、スピロ自身がソ連に帰る意思を見せないので、ロシア船は彼の乗船を拒否した。憲兵隊長と港湾警察官はスピロをランチで沖に沖に連れ出しそこにかけられた浮桟橋の上に降ろす。疲れはてて医務室で眠っていたカテリーナが目醒めてカフェに現れ、沖を見る。朝、浮桟橋の上でスピロとカテリーナが抱き合っている。夜明け、スピロは桟橋を繋いだロープをほどく。二人を乗せた浮桟橋は朝霧の中に消えてゆくのだった。

『わが命つきるとも』  A Man for All Seasons 1966年(イギリス)

wagawaga  監督:フレッド・ジンネマン
  出演:ポール・スコフィールド(Thomas More役)
     ウェンディ・ヒラー(Alice役)
     レオ・マッカーン(Cromwell役)
     ロバート・ショー(Henry 8役)
     オーソン・ウェルズ(Cardinal Wolsey役)


「正しい判断と・・・」

マリリン:正しい判断と人を幸せにする判断は違う。お待ちくださいね。
ヤシーニ:ちょっとお待ちを。
あらすじ:1528年、英国。当時の王はヘンリー8世(ロバート・ショウ)で、彼は若く精力旺盛であった。彼は女王カテリーヌと離婚し、アン・ボーリンと結婚しようとしていた。英国はローマ・カソリックの国であったから、離婚にはローマ法王の許しを得なければならなかった。王の2度目の結婚を法王に弁護出来る者は、英国中にただ1人しかいなかった。サー・トマス・モア(ポール・スコフィールド)彼は王の高等評議会の一員で信仰心あつく、ヨーロッパ中の人々から愛されている人であった。モアはチェルシーの領地で家族と楽しんでいた。妻のアリス(ウェンディ・ヒラー)、娘のマーガレット(スザンナ・ヨーク)や友人たちである。その時、ウォルジー枢機卿(オーソン・ウエルズ)からの使いが来て、モアはハンプトン宮殿へ召喚された。枢機卿はモアに、ヘンリー8世と女王の離婚を法王が承認するよう取りはからってくれと頼んだ。しかしモアはそれを拒否した。館に帰った彼はその夜、妻のアリスからノーフォーク卿がモアを大法官に推せんしていると告げた。1年後、ウォルジー枢機卿は王の離婚実現に失敗し、大寺院で寂しく死んだ。そしてサー・トマス・モアが大法官となった。ある夜ヘンリー8世がモアの館を訪れた。モアは王に忠誠を誓ったがローマ・カソリックの信者であるため、王の離婚には賛成しなかった。間もなく評議会がカンタベリー大寺院で招集され、国王はローマ法王に対する忠誠を放棄し、自ら英国教会の主となる、と発表された。モアはちゅうちょなく大法官の地位をすて、一市井人として静かな生活に入った。やがて王はカテリーヌと離婚し、アン・ボーリンと結婚した。ある日モアは大法官の秘書クロムウェル(レオ・マッカーン)に呼ばれた。彼はモアから王とその離婚についての言質をとって、罪におとしいれようとした。遂にモアは逮捕され、ロンドン塔に閉じこめられた。反逆の罪で彼はウエストミン・ホールの裁判に引き出された。死刑の宣告。モアは沈黙を破って言った。「私は王の忠実な召使いとして死にます。だが王より神のために死ぬのです!」と。

『処女の泉』  Jungfrukallan 1960年(スウェーデン)

syojyo  監督:イングマール・ベルイマン
  出演:マックス・フォン・シドー(Father Tore役)
     ビルギッタ・ヴァルベルイ(His Wife役)
     グンネル・リンドブロム(Ingeri役)
     ビルギッタ・ペテルソン(Karin役)


「宗教は分からないが・・・」

マリリン:無邪気がゆえに作ってしまう罪がテーマかな。お待ちくださいね。
ヤシーニ:ちょっとお待ちを。
あらすじ:十六世紀、スエーデンの片田舎。ヴェンゲ集落の豪農の一人娘カリン(ビルギッタ・ペテルソン)は、養女インゲリ(グンネル・リンドブロム)を連れて教会にローソクを捧げに行くことになった。下女代りのインゲリは父なし子を宿してい、美しい世間知らずのカリンを嫉妬していた。二人は信心深い母メレータ(ビルギッタ・ヴァルベルイ)と父テーレ(マックス・フォン・シドー)に見送られ馬に乗って出発した。教会までの道は長かった。小川の小屋にさしかかり、インゲリはここで待つといいだした。一人先を急ぐカリンは、途中でオシとヤセッポと少年の三人の羊飼いに会った。彼らはカリンに食事する場所に案内するといった。オシのカリンをみつめる目がしだいに変った。身の危険を感じた彼女が馬に乗ろうとすると、ヤセッポが邪魔をした。大声をあげようとした時、オシとヤセッポが彼女を襲いオシが犯した。--よろめきながら立ちあがるカリンを、オシが後から殴り殺した。これを目撃していたインゲリは、恐ろしさのあまり声も出なかった。--その日の夕暮、例の三人がテーレの家に夕飯を無心にやってきた。テーレは三人に食事を与えた。少年はカリンと同じお祈りに驚いた。テーレ家の人々はカリンの帰宅が遅いので心配していた。食事が済んだ。ヤセッポがカリンから強奪した衣服をメレータに買ってくれと頼んだ。すべてを察した彼女は夫に告げた。怒りにふるえるテーレは三人を殺す決意をした。不意をつかれた男たちは死んだ。あどけない少年までも。復讐したテーレは罪の深さにおののいた。片隅に隠れていたインゲリを案内に、家中で現場に急いだ。無惨に変りはてたカリンをみて、人々は呆ぜんとした。テーレは復讐の罪の償いに、ここに教会を建てると誓った。テーレがカリンを抱きあげると、不思議なことに泉がこんこんと湧き出した。--後世の多くの人々がこの地に建てられた教会に訪れたという。

『ベン・ハー』 Ben-Hur 1959年(アメリカ)

bennha  監督:ウィリアム・ワイラー
  原作:ルー・ウォレス将軍
  出演:チャールトン・ヘストン(Judah Ben-Hur役)
     ジャック・ホーキンス(Quintus Arrius役)
     スティブン・ボイド(Messala役)
     ハヤ・ハラリート(Esther役)


「よかった、長かった」

マリリン:お待ちくださいね。
ヤシーニ:ちょっとお待ちを。

あらすじ:西暦1世紀の初め、ユダヤがローマ帝国の支配下にあった頃の話。ユダヤの都エルサレムにローマ駐屯軍の新将校が着任した。メッセラ(スティーブン・ボイド)である。彼はこの地の豪族の息子ベン・ハー(チャールトン・ヘストン)と幼な友達だった。しかし、メッセラは立身出世主義者となっており、ベン・ハーと今は相いれなかった。ある事件からベン・ハーの一家がローマへの反逆罪に問われた時、メッセラは無罪の口添えをこわれたが、拒否した。ために、ベン・ハーの母と妹は地下牢に入れられ、ベン・ハー自身は奴隷としてローマ軍船へ送られた。途中、砂漠で渇に倒れようとした時、飲み水を恵んでくれた人があった。ベン・ハーはこの人を忘れなかった。ローマ艦隊が海賊船団と戦った際、ベン・ハーは司令官アリアスの命を救った。彼はその養子に迎えられたが、ユダヤの地に帰った。そこでハー家の財宝を守っていたサイモニデスとその娘エスター(ハイヤ・ハラリート)にめぐり合った。エスターは、ライの谷へ送られていくベン・ハーの母と妹に出会っていたが、彼女らの願いで2人は地下牢で死んだと告げた。ベン・ハーは2人の仇を討つことを誓い、大戦車競争に出場し、メッセラを破った。重傷を負ったメッセラは母と妹はライの谷にいるとベン・ハーに言った。早速彼は母と妹を迎えた。途中、十字架を負って刑場に向かうキリストを見送った。砂漠で水を恵んでくれた人だ。今度はバン・ハーが1杯の水を捧げた。その行列を見守った母と妹は、病いが奇蹟的にいえた。  bennha1

  

『男と女』 Un Homme et Une Femme 1966年(フランス)

otoko  監督:クロード・ルルーシュ
  音楽:フランシス・レイ
  出演:アヌーク・エーメ(Anne役)
     ピエール・バルー(Pierre役)


「アヌーク・エーメって」

マリリン:お待ちくださいね。
ヤシーニ:ちょっとお待ちを。

あらすじ:アンヌ(アヌーク・エーメ)はパリで独り暮し。夫をなくして、娘はドービルにある寄宿舎にあずけてある。年はそろそろ三〇歳。その日曜日も、いつも楽しみにしている娘の面会で、つい長居してしまい、パリ行きの汽車を逃してしまった。そんなアンヌに声をかけたのはジャン・ルイ(ジャン・ルイ・トランティニャン)彼も三〇前後で、息子を寄宿舎へ訪ねた帰りだった。彼の運転する車でパリへ向う途中、アンヌは夫のことばかり話しつづけた。その姿からは夫が死んでいるなどとは、とてもジャン・ルイには考えられなかった。一方彼はスピード・レーサーで、その妻は彼が事故を起したとき、ショックから自殺への道を選んでいた。近づく世界選手権、ジャン・ルイは準備で忙しかったが、アンヌの面影を忘れられなかった。次の日曜も自分の車でドービルへ…と電話をかけた。肌寒い日曜日の午後、アンヌ、ジャン・ルイ、子供たらの四人は明るい笑いにつつまれていた。が同時に、二人はお互いの間に芽生えた愛をかくしえなかった。血と汗と泥のレースを終えたとき、ジャン・ルイはアンヌからの電報を受けとった。それには、愛してます--と書いてあった。彼はすぐに車を駆ってパリへ、そしてドービルへ。二人は砂浜で身体をぶっつけ合い、その夜は安宿のベッドに裸身をうずめた。だが愛が高まったとき、思いもかけずアンヌの脳裡に割りこんできたのは、死んだ夫の幻影だった。二人は黙々と着物を着た。アンヌは汽車で、ジャン・ルイは自動車でパリへ向った。しかしアンヌを忘られぬ彼は、彼女を乗換え駅のホームに待った。思いがけぬ驚きと喜びをひとつにして、アンヌはジャン・ルイにとびついた。凍てついた空気の中での口づけ。それは最後の口づけかも知れなかった。だが二人には、そんなことはどうでもよかった。

『可愛い配当』 Father's Little Dividend 1951年(アメリカ)

kawaii  監督:ヴィンセント・ミネリ
  出演:スペンサー・トレーシー(Stanlrey Banks役)
     ジョーン・ベネット(Ellie Banks役)
     エリザベス・テーラー(Kay役)


「」

マリリン:お待ちくださいね。
ヤシーニ:ちょっとお待ちを。

あらすじ:娘のケイ(エリザベス・テイラー)をバックリー・ダンスタン(ドン・テイラー)に嫁がせて数ヶ月、スタンリー・バンクス(スペンサー・トレイシー)はようやく落ち着いて仕事に精を出そうとしていた矢先、娘がママになることを聞かされた。妻のエリー(ジョーン・ベネット)の喜びようは大変なものだったが、スタンリーは自分の人生も盛りが過ぎてしまったような気がして淋しくなり、いよいよおじいさんになったのかと感に堪えなかった。赤ん坊の生まれる日も近くなるにつれて、新家庭の住宅問題が悩みのたねになり、そのためバンクス家と間が気まずくさえなりかけたが、若夫婦は自分たちの力で新居を建築中だと発表し、親たちをほっとさせた。こんどは赤ん坊の名前のことで親たちが騒ぎはじめ、ケイはそれやこれやでいらいらした気持ちになり、家出までしたが、これまた丸くおさまった。生み月の11月になり、スタンリーもエリーも毎夜おちおち眠れぬうちに、ケイは病院で無事男の子を生んだ。だが、赤ん坊はスタンリーの顔を見るとすぐ泣き出すので、彼は怖いものに触れる思いでやきもきした。やがて6ヶ月たち、赤ん坊の可愛さも一入になった頃、ケイは赤ん坊を実家にあずけて旅行に出かけた。おかげでスタンリーは日曜も朝6時から起こされ、午後には公園で乳母車を押さねばならなかった。赤ん坊が車の中で寝ついたのをさいわい、スタンリーは公園のグランドで少年たちとフットボールに興じ、帰ってみると乳母車がなくなっていた。びっくりした彼は警察にかけつけた。赤ん坊はお巡りさんたちにとりかこまれて上機嫌、スタンリーの顔を見てはじめてニッコリ笑いかけた。それからスタンリーと赤ん坊は大の仲良しになった。やがて教会で洗礼が行われ、牧師は赤ん坊にスタンリー・バンクスと命名した。スタンリーはほんとに幸福な気持ちにみたされた。

『花嫁の父』 Father of the Bride 1950年(アメリカ)

hanayome  監督:ヴィンセント・ミネリ
  出演:スペンサー・トレーシー(Stanlrey Banks役)
     ジョーン・ベネット(Ellie Banks役)
     エリザベス・テーラー(Kay Banks役)


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マリリン:お待ちくださいね。
ヤシーニ:ちょっとお待ちを。

あらすじ:娘のケイ(エリザベス・テイラー)を新婚旅行に送り出して、弁護士のスタンリー・バンクス(スペンサー・トレイシー)は披露宴の残骸の中へがっくり身を落とした。--ケイが、バクリー・ダンスタン(ドン・テイラー)という青年と結婚したいと両親を驚かしたのは、何ヵ月前のことだったか。妻(ジョーン・ベネット)は落ち着き払っていたが、スタンリーはダンスタン家が立派な名門であり、バクリーがなかなかしっかりした青年であることを知るまでは、オチオチ眠れもしないのだった。晴れて2人の婚約がすむと、スタンリーの頭痛の種は結婚費用だった。なるべく式も内輪にすませたい彼の意志に反して、妻や娘は一生の願いとして教会で盛大な式を挙げたがった。いっそ、娘が男と駈け落ちしてくれた方が、まだ安くつくではないか。ようやく教会の式も決まり、披露宴招待の人数も折り合って、知人から続々と贈物が届くようになった頃、ケイは突然破談にしてくれと言い出した。新婚旅行の行き先について、バクリーと他愛ない喧嘩を始めたのである。所が親父が仲裁に乗り出す間もなく、若い2人はケロリと仲直りしてスタンリーに背負い投げを食わせる始末である。式の予行練習も済み、スタンリーは眠られぬ結婚式前夜を過ごした。晴れの式では、ケイは堂々たる花嫁ぶりで、逆上した親父を圧倒し去った。知人たちがただのシャンパンを飲みに集まる披露宴の混雑で、スタンリーは遂に去り行く娘に言葉をかけてやる暇さえなかった。--もの想いに沈むそのスタンリーに、その時電話がかかってきた。駅からケイが父親に送る最後の「おやすみ」であった。スタンリーは、晴れ晴れと妻を抱いて古い恋歌のレコードをかけながら踊り始めた。

『我等の生涯の最良の年』 The Best Years of Our Lives 1946年(アメリカ)

warera  監督:ウィリアム・ワイラー
  出演:マーナ・ローイ(Millie役)
     フレドリック・マーチ(Al役)
     テレサ・ライト(Peggy役)
     ダナ・アンドリュース(Fred役)


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マリリン:お待ちくださいね。
ヤシーニ:ちょっとお待ちを。

あらすじ:軍用輸送機B17に乗り合わせた復員兵三人は、同じ故郷の町の飛行場に着く。歩兵軍曹アル・スチヴンスンは中年の銀行員、青年飛行大尉フレッド・デリーは百貨店の番頭であった。一番若い水兵のホーマー・パーリッシュは両手の代わりに鉄のカギのついた義手の傷い軍人である。彼は両親と妹と恋人のウイルマに迎えられたが、彼の義手を見ると一同は声をのみ、母は泣き出してしまう。アルは妻ミリーが相変わらず女盛りの美しさであるのがうれしかった。4年前に少女だった娘ペギーが美しい一人前の女となり、息子ボップも生意気な青年になっているのが、何かしら勝手の違った感じで変である。その気持ちを精算するために、彼は妻と娘をつれてナイトクラブへ出かれる。フレッドを迎えたのはアルコール中毒の父と自堕落な継母で、新婚3週目に袂を分かったマリーは、家出してナイトクラブで働いているという。彼はあてもなく妻を探しに飛び出す。アルが妻と娘を伴ってプッチの酒場に二次会に乗込むと、マリーを探しあぐねたフレッドは、はれ物にさわるみたいに両親が気を使うので逆に堪らなくなった。ホーマーが来合わせる。酔っているアルは2人の戦友を歓迎して大酒盛を始め、ついに彼とフレッドはのびてしまう。ミリーたちは酔いどれ2名をアパートへ連れ帰り、正体もないフレッドをペギーの寝室に寝かせ、ペギーは客間のソファーに眠る。苦悶の声に目ざめた彼女は、戦争の悪夢にうなされているフレッドを起こし、静かに寝かしつける。その心使いを翌朝フレッドは感謝し、2人は好意以上の気持ちがわくのを感じる。その日彼はマリーを下等なアパートで探し出したが、ペギーのやさしさに比べると教養のない、はしたなさが見苦しい。しかし歓声をあげて迎える妻を、抱かずにはいられないフレッドである。アルは銀行に復職し、副社長に昇進、貸付主任となったが、銀行の営利主義には腹立たしい気持ちをおさえきれない。ホーマーは障害の身にひけ目を感じ、ウイルマの変わらぬ愛情もあわれみと解するほど、心がひがんで来る。フレッドは就職にかけまわったが、口が見つかる前に貯えがなくなり、妻の機嫌を直すために、以前の百貨店に復職する。香水売場主任となった彼は、買物に来たペギーを昼食に誘って、2人が愛し合っていることがはっきりする。ペギーはフレッド夫妻を晩食に招き、気持ちを精算しようとするが、却ってマリーが彼を愛していないことを知り、フレッドへ思慕の情が高まる。それを父に訴えると、アルはフレッドに嫁と会うなと言う。フレッドは電話でペギーに絶交を申し入れる。彼は店に来たホーマーが他の客に侮辱されたのを憤って、その客をなぐり解雇される。申し訳がないと言うホーマーに彼はウイルマに結婚を申し込めと力づける。ホーマーは肌抜ぎとなって、彼女に義手のからくりを見せ、彼女が真実彼を愛していることを知る。フレッドは妻が不貞であることを確かめると、ふらふら飛行場へ行く。そこで空の要塞の解体作業に彼は雇われる。ホーマーの結婚式場でフレッドはペギーと顔を見合せる。その顔は私たちも結婚しましょうと告げている。 warera1

『三人の妻への手紙』 A Letter to Three Wives 1949年(アメリカ)

sannninn  監督:ジョセフ・L・マンキーウィッツ
  出演:ジーン・クレイン
     アン・サザーン
     リンダ・ダーネル
     カーク・ダグラス


「」

マリリン:お待ちくださいね。
ヤシーニ:ちょっとお待ちを。

あらすじ:3人の若い人妻が遊覧船でピクニックに出かけようとしていたところに、見知らぬ女からの手紙が届いた。文面には「あなたたちの夫の1人と駆け落ちします」と書いてあった。帰宅して調べようにも、船はすでに動き始めていた。3人のうち誰が犠牲者なのかは夕方に帰るまではわからない。また、3人とも夫に逃げられても仕方がない理由を持っていた。デボラは農家の出身で、名門の子息ブラッドと不釣合な結婚をしたことを肩身に狭く思っていた。リタは貧乏な教師のジョージと結婚したが、彼の収入では家計が苦しく、ラジオ・ドラマの脚本家として夫以上の収入を得ており、それが原因で最近夫婦仲は気まずくなっていた…。 sannninn1

『赤ちゃん教育』 Bringing Up Baby 1938年(アメリカ)

akatyan  監督:ハワード・ホークス
  原作:ヘイガー・ワイルド
  出演:キャサリン・ヘップバーン(Susan役)
     ケーリー・グラント(Daved役)


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あらすじ:若き動物学者デイヴィッド・ハックスリーは3年を費やして雷龍の骨格を組立て、残るは肋間鎖骨1本で完成というところに到った。折しもコロラドにおける発掘隊から肋間鎖骨発見、直ぐ送る、と電報が来た。そこで彼は博物館での助手アリス・スワロウと明日結婚することとなる。その日は、彼が勤める博物館に百万ドル寄付してもよいと言っている未亡人の法律顧問ビーボディとゴルフをする約束があったので、デイヴィッドはアリスに促されて出掛けた。ところがゴルフ場では横着なわがまま娘に邪魔されて彼はろくにゴルフも出来ず、その晩レストランでビーボディと会食することとなる。ところがそこでもかの令嬢が来ていて、ビーボディ氏が来た時には、デイヴィッドは上着を、彼女はスカートを裂いてしまって食事どころではなくなった。彼女はスーザン・ヴァンスという娘で、ビーボディなら子供の時からの知り合いだから、その家へ連れていくという。ところが、訪ねたのが夜半過ぎでビーボディには会えなかった。翌日デイヴィッドのところへは例の肋間鎖骨が届いた。喜んで博物館へ行こうとするところへ、スーザンから電話で豹がいるから助けて、というSOSに接し、宙を飛んで駆けつけると、豹というのは慣らされた豹で「赤ちゃん」という名までついていた。スーザンはお人好しの動物学者が好きになったので、彼を博物館の助手と結婚させたくなくなり、「赤ちゃん」を使って、デイヴィッドをコネチカットの寒村にある伯母の別荘へ連れていく。デイヴィッドは直ぐ引返そうとするが、入浴中にスーザンが服を洗濯したのでニューヨークへ帰れなくなる。伯母は彼を気違いか、知的障害者かと思ってしまう。その伯母が百万ドル寄付の未亡人である。デイヴィッドは本名を知られては大変と、ボーンという偽名を使う。一方、彼の大切な肋間鎖骨を犬のジョージがどこかへ隠したのでデイヴィッドは広い庭をスーザンと探しまわる。夜になると今度はジョージも赤ちゃんも失踪してしまうのでデイヴィッドとスーザンは徹夜して捜した。その夜サーカスの人食豹を彼女が赤ちゃんと間違えたのが因で大騒ぎとなり、一同留置場に放り込まれ、ビーボディとアリスの発言でようやく放免された。結婚はアリスが憤慨したので無期限延期となり、デイヴィッドはしょげてしまう。そこへなくなった肋間鎖骨を持ってスーザンが訪ねて来た。デイヴィッドは早速それを眺めて、雷龍完成と喜んだのも束の間、スーザンが梯子からころげて雷龍はバラバラになってしまう。しかし、スーザンはデイヴィッドの腕にしっかりと抱かれていた。 akatyan1

『邂逅(めぐりあい)』 Love Affair 1939年(アメリカ)

kaikou  監督:レオ・マッケリー
  出演:シャルル・ボワイエ
     アイリーン・ダン


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あらすじ:歌手のアイリーン・ダンと画家のシャルル・ボワイエはヨーロッパからニューヨークに帰る船旅で、ふと知り合いやがて激しく愛し合う。共にニューヨークには婚約者がいたが、それぞれに解消し、半年後エンパイア・ステート・ビルの展望台で逢うことを約束する。彼女は歌手として成功し、彼も苦心の末ようやく絵が売れるようになる。彼は特に一枚の絵を心を込めて描いた。それは彼女の姿を描いたものだった。やがて半年後、彼はエンパイア・ステート・ビルで待っていたのだが彼女は来なかった。実はその直前、彼女は交通事故に遭ったのである。やがてクリスマス。二人はどんな形でめぐり逢うのか? 素晴らしいクライマックスである。 kaikou1

『わが谷は緑なりき』 ow Green Was My Valley 1941年(アメリカ)

wagatani  監督:ジョン・フォード
  原作:リチャード・レウェリン
  出演:ウォルター・ピジョン(Gruffydd役)
     モーリーン・オハラ(Anghard役)
     ドナルド・クリスプ(Morgan役)
     アンナ・リー(Bronwen役)


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あらすじ:ギリム・モーガンの一家は、10歳の末っ子のヒューをのぞいて、すべて炭坑で働いていた。彼等はみな応分の収入があり、平和だった。家族の受ける給料は家長のモーガン老によって保管され、家庭のために決められた使途にあてられていた。長男のイヴォーは、新任の村の教会の牧師グラフィードの手でブロンウェンと結婚して、家を出て一家を構えた。だが平和な鉱山町も、経営者が労賃値下げを断行してから波乱が生ずる。モーガンの息子たちは組合を組織して戦おうとしたが、ギリム老は反対だった。息子たちはヒューとアンハラドをのこして、両親の元を去ってしまった。鉱夫たちはストライキにはいった。鉱山の管理人はモーガン老に、鉱夫のストライキを中止するような説得方を依頼したが、老人は断る。彼が事務所から出てくるところを見た鉱夫たちは、モーガン老が管理側についていると判断し快くおもわなかった。モーガン夫人は森の中で行われた鉱夫の秘密会議にゆき、夫を傷つけないように頼んだがその帰途凍った河におちた。が、動向のヒューに辛うじて救われた。ヒューは足にひどい凍傷をうけ、医者から再び歩行はできまいといわれるが、グラフィードはヒューを力ずけ、少年は再び元気をとりもどすことができた。こうしてモーガン家に親しくなったグラフィードはアンハラドに愛情を感じてゆくようになるが、彼女の幸福をおもい、鉱山主の息子との結婚をすすめた。ストライキは終わったが、鉱夫の収入は依然として低かったので、モーガンの息子たちは渓谷の鉱山を去る決意をしていた。ヒューは学校に通うようになり、毎日みじめな日をおくっていたが、拳闘家だったデイ・ブランドとそのマネジャーのサイファーサと仲よくなり、拳闘を教わるようになってから昔のヒューに戻ってきた。モーガン家は昔のように楽しくなろうとしていたが、ブロンウェンの出産の日、イヴォーは坑内で事故のため死に、ヒューは学校をやめ、兄にかわって働くことになった。夫と南米に行っていたアンハラドも戻って夫の実家に暮らすようになったが、心ない召使いの口からグラフィードとの噂をたてられるがグラフィードの人格はその噂にも傷つけられることはなかった。やがてモーガン老も鉱山で死んだ。かつてはモーガン家の幸福を象徴するかにみえた緑の渓谷は、もはや昔の色を止めてはいない。

『A.I』 A.I. Artificial Intelligence 2001年(アメリカ)

ai  監督:スティーヴン・スピルバーグ
  原作:ブライアン・オールディス/イーアン・ワトソン
  出演:ハーレー・ジョエル・オスメント(David役)
     ジュード・ロウ(Jigolo役)
     フランシス・オーコナー(Monica役)
     サム・ロバーズ(Henry役)


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あらすじ:人間の日常生活が監視され、人間に代わってロボットが雑用や労働をこなしている時代。そんな中、愛という感情をインプットされた最初の少年型次世代ロボットとして誕生したデイヴィッド(ハーレイ・ジョエル・オスメント)は、彼を開発したサイバートロニクス・マニュファクチャリング社の従業員ヘンリー(サム・ロバーズ)とその妻モニカ(フランシス・オーコナー)に引き取られる。母親を永遠に愛し続けるようプログラムされていたデイヴィッドだったが、まもなく不治の病に冒されていた夫妻の実の息子マーティン(ジェイク・トーマス)が冷凍保存から生き返ったため、あっけなく捨てられてしまう。その時から、スーパートイのテディ(声=ジャック・エンジェル)やジゴロ・ロボットのジョー(ジュード・ロウ)を道連れにした、デイヴィッドの旅がはじまった。そし2000年後。地球は氷河期を迎え、従来の人類は絶滅していた。そこに生き残っていたデイヴィッドは、未来人たちに発見され、幻想の中で母親に抱かれるのだった。

『ユリイカ』 EUREKA 2000年(日本)

yuri  監督:青山真治
  出演:役所広司
     宮崎あおい
     宮崎将
     斉藤陽一郎


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作品紹介:浅野忠信主演の『Helpless』やARATA主演の『シェイディー・グローヴ』などで一部に熱狂的なファンを持つ青山真治監督が、白黒シネマスコープ画面で3時間37分という破格のスケールで描き出す叙事詩的な人間ドラマ。バスジャック事件に遭遇して生き残ったものの、多くのものを失った運転手と幼い兄妹が”生きること”のリアリティを取り戻すため、擬似家族を形成し、小さなバスで旅立つ姿を追っていく。細やかな伏線を淡々と積み重ね、大きくて太い主題を構築していく手腕がとにかく圧倒的。音響設計も緻密かつ大胆で、シカゴ音響派の雄、ジム・オルークの同名曲が流れるシークエンスは日本映画史に残る名シーンといっても過言ではないほど。九州弁を披露し、かつてない魅力を放つ役所広司以下、俳優陣の力演も見ごたえあり。

『紅の豚』  1992年(日本)

kurenai  監督:宮崎駿
  出演(声):森山周一郎
     加藤登紀子
     桂三枝
     上條恒彦


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あらすじ:第一次大戦時、イタリア空軍のエース・パイロットだったポルコ・ロッソ。彼はある事がもとで自分に魔法をかけ、豚に姿を変えた。今ではアドリア海にはびこる空賊を捕らえる賞金稼ぎ。その彼を煙たがる空賊達はポルコを倒すため、アメリカのパイロット、ドナルド・カーチスを雇い入れた。腕はやたら立つくせに、どこか陽気で女に惚れっぽい気のいい奴だ。彼は、エンジンの不調に手を焼くポルコを待ち伏せて、まんまと撃墜に成功する。ポルコのかつての飛行機仲間であり、今はホテル・アドリアーノのマダムであるジーナに一目惚れしていたカーチスは、ポルコがいない間に彼女に言い寄るが、私には待っている人がいると、あっさりかわされてしまう。ポルコは壊れた愛機を馴染みの修理工場ピッコロ社へと運び込む。そこで出会うピッコロの孫娘・フィオ。艇の設計改造をやるという彼女に、ポルコは一旦は憤慨するものの、熱意に満ちた彼女に負けて全てを任せてしまう。快活で屈託のない彼女の姿がポルコには新鮮に映った。そして完成したポルコ艇は想像通り完璧だった。やがてフィオはポルコ艇に乗り込み、彼と行動をともにする。蘇った艇を操り、ようやくアジトに戻ったポルコたちを待ち受けていたのは、例の空賊どもだった。地上でポルコを襲う彼らの卑劣さにフィオは激怒し、彼らにポルコ対カーチスの再試合を迫る。そこへ颯爽と登場するカーチス。高飛車に出ようと格好をつけるカーチスだったが、フィオを見るなり再び一目惚れ。彼女を賭けるという条件で話に乗ってしまう。決闘の前夜、ポルコはフィオにせがまれるままに、第一次大戦での体験を語った。そして遂にやって来た決闘当日、大勢の空賊やフィオに見守られながら大空中戦を繰り広げるポルコとカーチス。果ては2人の殴り合いとなりポルコはカーチスを倒すのだった。

『炎のランナー』 Chariots of Fire 1981年(イギリス)

honoo  監督:ヒュー・ハドソン
  出演:ベン・クロス(Harold役)
     イアン・チャールソン(Eric役)
     ナイジェル・ヘイヴァース(Andrew役)
     ニコラス・ファレル(Aubrey役)


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あらすじ:1919年、ケンブリッジ大に入学したハロルド・エイブラハムズ(ベン・クロス)は、自分がユダヤ人であることを強く意識していた。アングロ・サクソンの有形無形の差別に反発し、その鬱憤を発散するため走った。同じ頃、スコットランドではエリック・リデル(イアン・チャールソン)が駿足を謳われていた。彼は宣教師の家庭に生まれ、彼も父の後を継ぐつもりだった。彼にとって、走ることは神の思寵をたたえることだったが、妹のジェニー(シェリル・キャンベル)は彼が一日も早く宣教の仕事を始めることを望んでいた。ケンブリッジでは、ハロルドを中心に、障害物のアンドリュー(ナイジェル・ヘイヴァース)、中距離のオーブリー(ニコラス・ファレル)とヘンリー(ダニエル・ジェロール)が活躍をし、24年のパリ・オリンピックを目指して練習を続けた。ハロルドはスコットランドまで行き、エリックが走るのを見学。ある夜、オペラ見物に出かけたハロルドは、歌手のシビル(アリス・クリージャ)に一目惚れし、早速デートに誘い出す。23年、ロンドンでの競技会で、エリックとハロルドは対決。わずかの差でエリックが勝つ。ハロルドはサム・ムサビーニ(イアン・ホルム)のコーチを受けることになった。そのためトリニティの学寮長(ジョン・ギールグッド)とキースの学寮長(リンゼイ・アンダーソン)に、アマチュア精神にもとると批難されたが、彼は昂然と反論した。オリンピック出場が決定したケンブリッジ四人組とエリックは、パリに向かう。百メートルの予選が日曜日と知ってエリックは出場を辞退する。日曜は神が定めた安息日だから、走れないというのだ。選手団長のバーケンヘッド卿(ナイジェル・ダヴェンポート)、皇太子(デイヴィッド・イエランド)、サザーランド公(ピーター・イーガン)の説得も効はなかった。アンドリューが四百メートルに出る権利をエリックに譲ると申し出る。百メートルではハロルドが、米国のパドック(デニス・クリストファー)、ショルツ(ブラッド・デイビス)を押えて優勝。競技場近くの宿に一人残っていたサムは、ハロルドの勝利を知り感涙にむせぶ。四百メートルでは、エリックが勝利をおさめた。帰国した選手たちに、イギリス国民は惜しみない賞賛を与えるのだった。

『エレファントマン』 The Elephant Man 1980年(イギリス/アメリカ)

ere  監督:デイヴィッド・リンチ
  出演:ジョン・ハート(John役)
     アンオニー・ホプキンス(Frederick役)
     アン・バンクロフト(Mrs.Kendal役)


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あらすじ:19世紀末のロンドン。ロンドン病院の外科医フレデリック・トリーブス(A・ホプキンス)は、見世物小屋で、“エレファント・マン"〈象人間〉と呼ばれる奇型な人間を見て興味をおぼえた。ジョン・メリック(ジョン・ハート)という名をもつこの男を、フレデリックは、研究したいという理由で持ち主のバイツ(フレディ・ジョーンズ)からゆずり受ける。学会の研究発表では、トリーブスは大きな反響をえるが、快復の見込みは皆無だった。21歳と推定されるメリックは右腕がきかず、歩行も困難、言葉もはっきり発音できないという状態だった。院長カー・ゴム(サー・ジョン・ギールグッド)は、他の病院に移させることをトリーブスに告げるが、メリックとの面会で、彼が聖書を読み、詩を暗誦するのを聞いて感動し、病院に留まるようにと考えを変える。トリーブス夫婦に招かれて彼らの家を訪れたメリックは、トリーブス夫人(ハンナ・ゴードン)が美しく、メリックをやさしく扱ってくれることに感激し、涙を流しながら、誰にも見せたことのない美しい母親の写真を見せた。タイム誌に、メリックのことが報じられ、一躍有名人になった彼は、興昧を抱いた様々な人々の訪問を受ける。舞台の名女優ケンドール夫人(アン・バンクロフト)も、その一人だった。“商売品"を騙し取られたと、反感を持っていたバイツは、秘かにメリックを連れ出しヨーロッパヘ向かった。再び動物のような扱いを受け、容態の悪化したメリックは瀕死のところを見世物小屋の仲間に救われ、やっとロンドンにたどりつく。しかし、人々の好奇な目につきまとわれ、ついに“私は人間だ、動物じゃない"と叫ぶメリック。やっと、トリーブスのもとに戻れた彼は、ケンドール夫人の好意で観劇のひと時を過ごす。感激の時を過ごし部屋に戻ったメリックは、かねてより作り続けていた、窓から見える寺院の模型を完成させ、そこに自分の名を書き込んだ。そして、いつもの寝方であるうずくまって寝る姿をやめ、その夜は、人間たちがやるように仰向けになって眠りにつくのだった。それは安らぎに満ちたメリックの最後の姿であった。